中央社会保険医療協議会(中医協)総会は4月14日、日本イーライリリーの片頭痛治療薬「エムガルティ皮下注」など新薬11成分17品目の薬価収載を了承した。収載は4月21日。第一三共のCAR-T細胞療法「イエスカルタ点滴静注」も再生医療等製品として収載が了承され、同日付で収載される。
エムガルティ ピーク時予測売上高173億円
「エムガルティ皮下注」(一般名・ガルカネズマブ)は、国内初のCGRPを標的とする片頭痛治療薬の抗体医薬で、適応は「片頭痛発作の発症抑制」。薬価は原価計算方式で算定され、オートインジェクターが120mg1mL1キット4万5165円、シリンジが120mg1mL1筒4万4940円となった。ピーク時の予測売上高は173億円で、今回薬価収載が了承された11新薬で唯一100億円を超えた。費用対効果評価の対象となる。昨年10月に締結した販売提携契約に基づき、販売と流通は第一三共が行い、両社で情報提供活動を展開する。
このほか4月21日に薬価収載されるのは、
▽腎性貧血治療薬「マスーレッド錠」(モリデュスタットナトリウム)=バイエル薬品
▽がん悪液質治療薬「エドルミズ錠」(アナモレリン塩酸塩)=小野薬品工業
▽抗がん剤「アルンブリグ錠」(ブリグチニブ)=武田薬品工業
▽抗がん剤「カルケンスカプセル」(アカラブルチニブ)=アストラゼネカ
▽遺伝性血管性浮腫治療薬「オラデオカプセル」(ベロトラルスタット塩酸塩)=オーファンパシフィック
――など。
マスーレッドは国内5剤目のHIF-PH阻害薬で、ピーク時に91億円の売り上げを予測。国内初のがん悪液質治療薬となるエドルミズは38億円のピーク時売上高を見込んでいる。
カルケンスは第二世代のBTK阻害薬で、アストラゼネカにとっては初の血液がん領域の製品。先駆け審査指定制度の対象品目であるオラデオは、同制度加算10%に加え、有用性加算II(5%)と市場性加算I(10%)がついた。
4成分に新薬創出加算
今回収載が了承された11新薬のうち、新薬創出加算の対象となったのは、▽オラデオ▽ムコ多糖症II型治療薬「ヒュンタラーゼ脳室内注射液」(イデュルスルファーゼ ベータ)=クリニジェン▽重症α1-アンチトリプシン欠乏症治療薬「リンスパッド点滴静注用」(ヒトα1-プロテイナーゼインヒビター)=オーファンパシフィック▽間質性膀胱炎治療薬「ジムソ膀胱内注入液」(ジメチルスルホキシド)=杏林製薬――の4つ。リンスパッドとジムソには、有用性加算と市場性加算がついた。
イエスカルタ キムリアと同額に
再生医療等製品では、国内2製品目のCAR-T細胞療法となる第一三共の「イエスカルタ点滴静注」(アキシカブタゲン シロルユーセル)の薬価収載が了承された。薬価は、同じ抗CD-19 CAR-T細胞療法である「キムリア」(ノバルティスファーマ)を最類似薬とする類似薬効比較方式Iで算定。同額の3411万3655円となったが、キムリアの薬価が費用対効果評価の結果に基づいて3264万7761円に引き下げることが決まっており、イエスカルタも収載日から同額に引き下げられる。
AnswersNews編集部が製薬企業をレポート
・小野薬品工業
・武田薬品工業
・キョーリン製薬ホールディングス(杏林製薬/キョーリンリメディオ)
・第一三共