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新型コロナウイルスワクチン 日本国内の開発・接種状況は(12月1日更新)

更新日

前田雄樹

新型コロナウイルス対策の切り札として期待されているワクチン。接種の状況や供給の見通しなど、国内の動向をまとめました。

 

 

77%が2回接種

政府のまとめによると、11月30日公表時点の国内の新型コロナウイルスワクチン接種回数は1億9710万1669回。総接種回数のうち、1回目は9977万1012回、2回目は9733万657回で、1回以上接種した人は人口の78.8%、2回の接種を完了した人は76.9%。優先接種対象の高齢者では、91.9%が1回以上接種を受け、91.4%が2回接種を完了しています。

 

接種のスタートで遅れをとった日本ですが、英オックスフォード大の統計サイト「Our World in Date」によると、2回接種した人の割合は先行していた米国や、先進国で最も早く接種を開始した英国を抜き、G7でトップとなりました。

 

厚生労働省によると、10月24日までに報告された副反応疑いの頻度は、2月から接種が行われているファイザー製で0.02%(2万4766例/1億5545万4673回)、5月から接種が行われているモデルナ製が0.01%(3737例/3063万2541回)、8月から接種が行われているアストラゼネカ製は0.01%(8例/6万4713回)。厚労省の専門家部会は「いずれのワクチンも、安全性の重大な懸念は認められない」と評価しています。

 

10月24日までにアナフィラキシーが疑われるとして報告があったのは、ファイザー製で2922件、モデルナ製で491件、アストラゼネカ製で3件。このうち、国際分類に照らしてアナフィラキシーに該当すると判断されたのは、ファイザー製555件(接種100万回あたり3.6件)、モデルナ製50件(接種100万回あたり1.6件)で、アストラゼネカ製は0件でした。いずれのワクチンでも、疑い例も含めてほとんどの症例が治療によって軽快・回復しています。

 

接種後に心筋炎や心膜炎を発症したとして10月24日までに報告があったのは、ファイザー製で210件、モデルナ製で152件、アストラゼネカ製0件。接種100万回あたりの報告件数は、ファイザー製が1.4件、モデルナ製5.0件となっています。心筋炎関連事象の報告頻度はファイザー製で20代男性、モデルナ製で10~20代男性に多く、厚労省は「接種体制に影響を与える重大な懸念は認められない」としつつ、ファイザー製とモデルナ製で添付文書を改訂するなどして注意喚起。10~20代男性の心筋炎関事象の報告はファイザー製に比べてモデルナ製で明らかに高いことから、この年代の男性では1回目にモデルナ製を接種した人でも2回目はファイザー製の接種を受けられるようにしています。

 

接種後に報告された死亡例は、10月3日時点で両ワクチンあわせて1325件(ファイザー製1279件、モデルナ製46件)。厚労省は「現時点では、ワクチンとの因果関係があると結論づけることのできた死亡例はなく、接種と疾患による死亡との因果関係が統計的に認められた疾患はない」としています。

 

3つのワクチンが使用可能

日本政府が2021年分として確保しているワクチンは、ファイザー製が1億9400万回分(9700万人分)、モデルナ製が5000万回分(2500万人分)、英アストラゼネカ製が1億2000万回分(6000万人分)。ファイザー製は今年2月、モデルナ製とアストラゼネカ製は今年5月に承認され、国内では現在、3種類の新型コロナワクチンが使用可能となっています。

 

アストラゼネカのワクチンは、海外で接種後に血小板減少を伴う血栓症を発症したケースが報告されていることもあり、政府は公的接種での使用を見合わせていましたが、8月から原則として40歳以上の人を対象に公的接種で使用できるようになりました。

 

「国産」も開発進展

国内ではこのほか、今年2月に米国で緊急使用許可が認められたジョンソン・エンド・ジョンソンのウイルスベクターワクチンが5月に承認申請。武田は、米ノババックスが開発した組換えタンパクワクチンを国内で製造・供給することになっており、2月から初期の臨床試験を行っています。ノババックスは海外で行った臨床第3相(P3)試験で90%の有効率を示したと発表。9月6日には、来年初頭から1億5000万回分を供給することで厚労省と契約を結びました。

 

組換えタンパクワクチンは、サノフィとグラクソ・スミスクラインも開発を進めており、今年7月から国内でP3試験が行われています。

 

日本企業では、アンジェス(DNAワクチン)、塩野義製薬(組換えタンパクワクチン)、KMバイオロジクス(不活化ワクチン)、第一三共(mRNAワクチン)などが開発を行っています。

 

アンジェスは昨年12月からP2/3試験を行っていましたが、今月5日、安全性に問題はなかったものの期待する効果が得られなかったと発表。同社は、有効性の向上を狙って今年8月から高用量製剤を使ったP1/2試験を行っており、「今後は高用量製剤の開発に注力していく」としています。

 

塩野義とKMバイオロジクスは10月からP2/3試験を開始し、第一三共は今月からP2試験をスタート。塩野義は最短で21年度中、第一三共は22年中、KMバイオロジクスは22年度中の承認を目指しています。田辺三菱製薬は、カナダ子会社のメディカゴが開発した植物由来ウイルス様粒子ワクチンのP1/2試験を10月から行っていて、22年度中の申請が目標です。

 

【新型コロナウイルスワクチン日本国内の開発状況】: ファイザー(mRNA)/承認 |アストラゼネカ(ウイルスベクター)/承認 |モデルナ*(mRNA)/承認 |ヤンセンファーマ(ウイルスベクター)/申請 |サノフィ(組み換えタンパク)/P3 |塩野義製薬(組換えタンパク)/P2/3|KMバイオロジクス(不活化)/P2/3 |ノババックス*(組換えタンパク)/P1/2 |アンジェス(DNA)/P1/2 |第一三共(mRNA)/P1/2 |エリクサジェン(mRNA)/P1/2 |メディカゴ/P1/2 |VLPセラピューティクス(mRNA)/P1|IDファーマ(ウイルスベクター)/前臨床 |*モデルナとノババックスのワクチンは武田薬品工業が国内で開発・供給 |※各社の発表をもとに作成

 

生産体制を整備

開発と並行して、生産体制の整備も進められています。政府は2020年度の第2次補正予算に、生産設備などの費用を補助する「ワクチン生産体制等緊急整備基金」として1377億円を計上。昨年の1次公募では、▽アストラゼネカ▽アンジェス▽塩野義製薬▽KMバイオロジクス▽第一三共▽武田薬品工業――の6社に総額900億円あまりが助成されました。今年の2次公募では、VLPセラピューティクス日本法人が143.4億円の助成を得ています。

 

塩野義は、アピとその子会社であるUNIGENと協力し、年内に年間6000万人分の生産体制が整う見通しといいます。KMバイオロジクスも、21年度末までに半年で3500万回分を生産できる体制を整備中。武田薬品は、ノババックスのワクチンについて、国内で年間2億5000万回分以上の生産能力を構築するとしています。

 

【新型コロナウイルスワクチンの国内供給・生産体制】 ▼海外からの供給(社名/供給量・供給体制/国の補助): ファイザー/21年中に約1億9400万回分を供給 (うち約5000万回分の追加供給分は7~9月に供給)/ ― |アストラゼネカ/21年初頭から1億2000万回分を供給. JCRファーマが国内で原液製造。製剤化などは▽第一三共▽第一三共バイオテック▽MeijiSeikaファルマ▽KMバイオロジクス▽ニプロファーマ――が実施/162.3億円 |モデルナ/21年9月までに5000万回分を供給/ ― ▼国内での生産(社名/供給体制/国の補助): アンジェス/タカラバイオなどと協力して生産体制を整備/93.8億円 |塩野義製薬/21年度末までに年3000万人分以上の生産体制を整備/223億円 |KMバイオロジクス/21年度末までに半年で3500万回分の生産体制を整備/60.9億円 |第一三共/―/60.3億円 |IDファーマ/―/― |武田薬品工業/ノババックスのワクチンについて年2.5億回分以上の生産能力を構築/301.4億円 VLPセラピューティクス/―/143.4億円 |※「国の補助」は「ワクチン生産体制等緊急整備事業」(第1次公募)からの補助/※各社の発表などをもとに作成

 

3回目接種へ

新型コロナウイルスワクチンをめぐっては、2回目の接種から時間がたつとともに抗体が減少することが報告されており、欧米各国では相次いで3回目の追加接種が始まっています。

 

日本では、医療従事者を皮切りに12月から追加接種が始まる予定。欧米では多くの国が、追加接種の対象を高齢者など重症化リスクの高い人や医療従事者らに限定していますが、日本では2回の接種を受けた18歳以上の希望者全員を対象とします。追加接種の時期は、2回目から8カ月後が目安となりますが、2回目接種後、半年程度で効果が弱まるとのデータもあり、流行状況などを踏まえた自治体の判断によって2回目から6カ月たった人も対象にすることができます。

 

厚生労働省は11月11日、ファイザーの新型コロナワクチンについて追加接種を特例承認。モデルナ製ワクチンも追加接種について承認審査が行われています。追加接種では、2回目までと異なるワクチンを打つことも認められます。

 

一方、ファイザーとビオンテックは今年9月、両社の新型コロナウイルスワクチンが5~11歳でも臨床試験で安全性と有効性を示したと発表。米FDAはこの年齢層に対する緊急使用を許可し、今月はじめから接種がスタートしました。ファイザーは11月10日、日本でも5~11歳への接種について承認申請を行っており、厚労省は「早ければ来年2月ごろから小児を対象とした接種が可能となる可能性がある」として自治体に準備を進めるよう要請しています。

 

(公開:2021年1月14日/最終更新:2021年12月1日)

 

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