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新型コロナウイルスワクチン 日本国内の開発・接種状況は(6月9日更新)

更新日

前田雄樹

新型コロナウイルス対策の切り札として期待されているワクチン。接種の状況や供給の見通しなど、国内の動向をまとめました。

 

 

一般向け接種もスタート

政府のまとめによると、6月7日時点の国内の接種回数は計1834万8184回。このうち医療従事者は849万4017回(うち353万9085回は2回目)、高齢者は985万4167回(うち105万9471回は2回目)となっています。英オクスフォード大の統計情報サイト「Our World in Data」によると、日本で少なくとも1回のワクチン接種を受けた人は人口の10.9%、2回のワクチン接種を完了した人は3.6%です(いずれも6月7日時点)。

 

厚生労働省によると、メーカーからの副反応疑い報告で5月16日までにアナフィラキシーとして報告された事例は943件。このうち、国際分類に照らしてアナフィラキシーに該当すると判断されたのは146件で、接種100万回あたりの発生件数は24件です。疑い例も含め、ほとんどの症例が治療により軽快・回復しています。

 

高齢者向け 7月末の完了目指す

政府はワクチン接種の優先順位を、(1)医療従事者=約500万人(2)65歳以上の高齢者=約3600万人(3)高齢者以外で基礎疾患のある人=約1030万人・高齢者施設などの職員=約200万人(4)12歳以上の一般の人――と定めています。現在、接種が行われているのは(1)と(2)で、政府は高齢者への接種を7月末までに完了させることを目指しています。

 

【新型コロナウイルスワクチン想定される接種のスケジュール】: 2月14日/ファイザーのワクチンが承認 |2月17日/医療従事者への先行接種開始 |3月3日/医療従事者への優先接種開始 |4月12日/高齢者への優先接種開始 |5月21日/アストラゼネカとモデルナのワクチンが承認 |5月24日/政府設置の大規模接種会場が運用開始 |6月21日/企業・大学での職域接種開始 |6月末まで/高齢者向けワクチン2回分の配布完了 |7月末まで/高齢者への優先接種を完了 |※政府の発表などをもとに作成

 

米ファイザーからの輸入量は増加しており、6月末までに1億回分が供給される見込み。5月には米モデルナのワクチンも承認され、4000万回分が6月末までに供給されることになっています。ワクチンの確保にメドがついたとして、政府は今月から12~64歳の一般向けの接種を開始する方針。6月中旬以降、高齢者向け接種の見通しがついた自治体から、一般向けの接種が始まる見込みで、6月21日からは企業や大学などでも産業医らによる接種が可能になります。

 

3種類のワクチンが承認

日本政府が確保しているワクチンは、ファイザー製が1億9400万回分(9700万人分)、モデルナ製が5000万回分(2500万人分)、英アストラゼネカ製が1億2000万回分(6000万人分)。ファイザー製は今年2月、モデルナ製とアストラゼネカ製は今年5月に承認され、国内では現在、3種類の新型コロナワクチンが使用可能となっています。ただし、アストラゼネカのワクチンは、海外で接種後に血栓を発症したケースが報告されていることから、当面は公的接種には使用せず、対象年齢などをあらためて検討することにしています。

 

国産は4社が臨床試験

国内ではこのほか、今年2月に米国で緊急使用許可が認められたジョンソン・エンド・ジョンソンのウイルスベクターワクチンが5月に承認申請。武田は、米ノババックスが開発した組換えタンパクワクチンの臨床試験を2月から行っており、今年後半の供給開始を目指しています。

 

日本企業では、アンジェスがDNAワクチンの臨床第2/3相(P2/3)試験を行っていて、塩野義製薬は組換えタンパクワクチンのP1/2試験を実施中。KMバイオロジクスと第一三共も3月からP1/2試験を行っています。

 

 【新型コロナウイルスワクチン日本国内の開発状況】: ファイザー(mRNA)/承認 |アストラゼネカ(ウイルスベクター)/承認 |モデルナ*(mRNA)/承認 |ヤンセンファーマ(ウイルスベクター)/申請 |アンジェス(DNA)/P2/3 |塩野義製薬(組換えタンパク)/P1/2 |ノババックス*(組換えタンパク)/P1/2 |KMバイオロジクス(不活化)/P1/2 |第一三共(mRNA)/P1/2 |エリクサジェン(mRNA)/P1/2 |IDファーマ(ウイルスベクター)/前臨床 |*モデルナとノババックスのワクチンは武田薬品工業が国内で開発・供給 |※各社の発表をもとに作成

 

ワクチンの開発は感染状況にも左右され、有効なワクチンの接種が始まれば、特に遅れをとっている日本勢は大規模な臨床試験を行うのが難しくなる可能性があります。医薬品医療機器総合機構(PMDA)は昨年9月に発表した指針で、海外で発症予防効果が確認されたワクチンと比較することで有効性を評価できる可能性に言及。海外での大規模臨床試験の実施も視野に入れる必要があり、国産ワクチンの実用化はまだはっきりと見通すことはできません。

 

生産体制を整備

開発と並行して、生産体制の整備も進められています。政府は2020年度の第2次補正予算に、生産設備などの費用を補助する「ワクチン生産体制等緊急整備基金」として1377億円を計上。昨年の第1次公募では、▽アストラゼネカ▽アンジェス▽塩野義製薬▽KMバイオロジクス▽第一三共▽武田薬品工業――の6社に総額900億円あまりが助成されました。

 

日本勢で開発が先行するアンジェスは、タカラバイオなどの参画を得て生産体制を構築。塩野義は、アピとその子会社であるUNIGENと協力し、21年度末までに年間3500万人分の生産体制を整備することを目指しています。23年度の実用化を目指しているKMバイオロジクスも、21年度末までに半年で3500万回分を生産できる体制を整備中。武田薬品は、ノババックスから技術移転を受けて国内生産することになっており、年間2億5000万回分以上の生産能力を構築するとしています。

 

アストラゼネカは、日本向けのワクチンの多くを国内で製造する方針。ワクチン原液をJCRファーマが製造し、国内での製剤化や流通は、第一三共、第一三共バイオテック、MeijiSeikaファルマ、KMバイオロジクス、ニプロファーマが担います。

 

 【新型コロナウイルスワクチンの国内供給・生産体制】 ▼海外からの供給(社名/供給量・供給体制/国の補助): ファイザー/21年中に約1億9400万回分を供給 (うち約5000万回分の追加供給分は7~9月に供給)/ ― |アストラゼネカ/21年初頭から1億2000万回分を供給。JCRファーマが国内で原液製造。製剤化などは▽第一三共▽第一三共バイオテック▽MeijiSeikaファルマ ▽KMバイオロジクス▽ニプロファーマ――が実施/162.3億円 |モデルナ/21年9月までに5000万回分を供給/ ― ▼国内での生産(社名/供給体制/国の補助): アンジェス/タカラバイオなどと協力して生産体制を整備/93.8億円 |塩野義製薬/21年度末までに年3000万人分以上の生産体制を整備/223億円 |KMバイオロジクス/21年度末までに半年で3500万回分の生産体制を整備/60.9億円 |第一三共/―/60.3億円 |IDファーマ/―/― |武田薬品工業/ノババックスのワクチンについて年2.5億回分以上の生産能力を構築/301.4億円 |※「国の補助」は「ワクチン生産体制等緊急整備事業」(第1次公募)からの補助/※各社の発表などをもとに作成

 

「1日100万回」目標とは開き

新型コロナウイルワクチンの接種は、予防接種法に基づく「臨時接種」の特例として、国の指示の下、都道府県が協力し、市区町村が主体となって実施。接種費用は国が全額負担し、接種は原則として住民票のある市区町村で受けることになります。接種の期間は来年2月末まで。接種対象者には、市区町村から接種券(クーポン券)が送付され、対象者は電話やインターネットで希望する医療機関・接種会場を予約します。

 

1日あたりの接種回数は50~60万回ほどまで拡大してきましたが、政府が掲げる「1日100万回」の目標とはまだ開きがあります。政府は、労働者派遣法でへき地以外では原則禁止されている医療機関への看護師の派遣を、新型コロナワクチン接種に限って容認。歯科医師による接種も認めました。打ち手を確保し、接種を加速させる方針です。

 

さらに政府は、自衛隊を活用して東京と大阪に大規模な接種会場を設置。いずれも5月24日から3カ月間の予定で運用を始めました。東京では1日1万人、大阪では1日5000人の接種を見込んでいます。自治体が独自に大規模接種会場を設ける動きもあり、愛知や宮城などではすでに運用が始まりました。企業や大学での職域接種を含め、選択肢を増やすことで接種の拡大を狙います。

 

(公開:2021年1月14日/最終更新:2021年6月9日)

 

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