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新型コロナウイルスワクチン 日本国内の開発・接種状況は(9月15日更新)

更新日

前田雄樹

新型コロナウイルス対策の切り札として期待されているワクチン。接種の状況や供給の見通しなど、国内の動向をまとめました。

 

 

2回接種 人口の半分超える

政府のまとめによると、9月14日公表時点の国内の新型コロナウイルスワクチン接種回数は1億4579万344回。全体の接種回数は、1週間前(9月7日)の公表時から約857万回増えました。総接種回数のうち、1回目は8057万6158回、2回目は6521万4186回で、1回以上接種した人は人口の63.6%、2回の接種を完了した人は51.5%。優先接種対象の高齢者では89.7%が1回以上接種を受け、88.1%が2回接種を完了しています。

 

接種のスタートで遅れをとった日本ですが、英オックスフォード大の統計サイト「Our World in Date」によると、1回以上接種した人の割合は先行していた米国を抜き、先進国で最も早く接種を開始した英国に迫りつつあります。

 

厚生労働省によると、8月22日までに報告された副反応疑いの頻度は、2月から接種が行われているファイザー製で0.02%(1億180万9021回中2万1381例)、5月から接種が行われているモデルナ製が0.01%(1650万1085回中1564例)。厚労省の専門家部会は「いずれのワクチンも、安全性の重大な懸念は認められない」と評価しています。

 

8月22日までにアナフィラキシーが疑われるとして報告があったのは、ファイザー製で2372件、モデルナ製で199件。このうち、国際分類に照らしてアナフィラキシーに該当すると判断されたのは、ファイザー製439件(接種100万回あたり4件)、モデルナ製25件(接種100万回あたり2件)です。いずれのワクチンでも、疑い例も含めてほとんどの症例が治療によって軽快・回復しています。

 

接種後に心筋炎や心膜炎を発症したとして8月22日までに報告があったのは、ファイザー製で62件、モデルナ製で27件。接種100万回あたりの報告件数は、ファイザー製が0.6件、モデルナ製が1.6件となっています。

 

接種後に報告された死亡例は、8月22日時点で両ワクチンあわせて1093件(ファイザー製1076件、モデルナ製17件)。厚生労働省は「現時点では、ワクチンとの因果関係があると結論づけることのできた死亡例はなく、接種と疾患による死亡との因果関係が統計的に認められた疾患はない」としています。

 

希望者全員 10~11月に接種完了目標

政府はワクチン接種の優先順位を、(1)医療従事者=約500万人(2)65歳以上の高齢者=約3600万人(3)高齢者以外で基礎疾患のある人=約1030万人・高齢者施設などの職員=約200万人(4)12歳以上の一般の人――と定めています。政府は、希望する全国民への接種を10月から11月にかけて完了させることを目指しています。

 

自治体による接種に加え、6月21日からは企業や大学などでモデルナ製ワクチンを使った職域接種が行われており、9月5日までに全国3346の会場で1436万2075回(1回目814万1454回、2回目622万621回)の接種が行われています。

 

主に職域接種や自治体の大規模接種会場で使用されているモデルナ製ワクチンをめぐっては、複数の接種会場から未使用のバイアルに異物が混入しているとの報告があり、供給元の武田薬品工業と厚労省は8月26日から3ロット計163万回分の使用を見合わせ、9月2日に自主回収を開始しました。モデルナの調査によると、混入したのは「316ステンレススチール」と判明。製造を受託しているスペインの製薬会社ロビによると、製造ラインに取り付けられた金属部品の設置不具合が原因と考えられます。ステンレススチールは心臓人工弁などの医療機器にも使われており、武田などは「見つかった極めて小さな粒子状金属が筋肉内に注射されたとしても、医療上のリスクが増大する可能性は低いと考えられる」としています。

 

アストラゼネカ製も公的接種がスタート

日本政府が確保しているワクチンは、ファイザー製が1億9400万回分(9700万人分)、モデルナ製が5000万回分(2500万人分)、英アストラゼネカ製が1億2000万回分(6000万人分)。ファイザー製は今年2月、モデルナ製とアストラゼネカ製は今年5月に承認され、国内では現在、3種類の新型コロナワクチンが使用可能となっています。

 

アストラゼネカのワクチンは、海外で接種後に血小板減少を伴う血栓症を発症したケースが報告されていることもあり、政府は公的接種での使用を見合わせていましたが、8月から原則として40歳以上の人を対象に公的接種で使用できるようになりました。政府は8月・9月分として2000万回分を確保しており、感染者数の多い自治体に供給しています。

 

国内メーカー4社が臨床試験

国内ではこのほか、今年2月に米国で緊急使用許可が認められたジョンソン・エンド・ジョンソンのウイルスベクターワクチンが5月に承認申請。武田は、米ノババックスが開発した組換えタンパクワクチンを国内で製造・供給することになっており、2月から初期の臨床試験を行っています。ノババックスは海外で行った臨床第3相(P3)試験で90%の有効率を示したと発表。9月6日には、来年初頭から1億5000万回分を供給することで厚生労働省と契約を結びました。

 

組換えタンパクワクチンは、サノフィとグラクソ・スミスクラインも開発を進めており、今年7月から国内でP3試験が行われています。

 

日本企業では、アンジェスがDNAワクチンのP2/3試験を昨年12月から行っていて、今年8月には高用量製剤を使ったP1/2試験を開始。塩野義製薬は組換えタンパクワクチンのP1/2試験を昨年12月に開始し、今年7月からはアジュバントを変更した新たな製剤でP1/2試験を行っています。第一三共(mRNAワクチン)とKMバイオロジクス(不活化ワクチン)も、今年3月からP1/2試験を実施中です。

 

塩野義と第一三共、KMバイオロジクスは年内の最終治験入りを目指しており、塩野義は最短で21年度中、第一三共は22年中の承認が目標。mRNAワクチンを開発している米VLPセラピューティクスは今年10月から日本でP1試験を始める予定で、年内のP2/3試験開始を目指しています。

 

【新型コロナウイルスワクチン日本国内の開発状況】: ファイザー(mRNA)/承認 |アストラゼネカ(ウイルスベクター)/承認 |モデルナ*(mRNA)/承認 |ヤンセンファーマ(ウイルスベクター)/申請 |サノフィ(組み換えタンパク)/P3 |アンジェス(DNA)/P2/3 |塩野義製薬(組換えタンパク)/P1/2 |ノババックス*(組換えタンパク)/P1/2 |KMバイオロジクス(不活化)/P1/2 |第一三共(mRNA)/P1/2 |エリクサジェン(mRNA)/P1/2 |IDファーマ(ウイルスベクター)/前臨床 |VLPセラピューティクス(mRNA)/前臨床 |*モデルナとノババックスのワクチンは武田薬品工業が国内で開発・供給 |※各社の発表をもとに作成

 

生産体制を整備

開発と並行して、生産体制の整備も進められています。政府は2020年度の第2次補正予算に、生産設備などの費用を補助する「ワクチン生産体制等緊急整備基金」として1377億円を計上。昨年の1次公募では、▽アストラゼネカ▽アンジェス▽塩野義製薬▽KMバイオロジクス▽第一三共▽武田薬品工業――の6社に総額900億円あまりが助成されました。今年の2次公募では、VLPセラピューティクス日本法人が143.4億円の助成を得ています。

 

塩野義は、アピとその子会社であるUNIGENと協力し、年内に年間6000万人分の生産体制が整う見通しといいます。KMバイオロジクスも、21年度末までに半年で3500万回分を生産できる体制を整備中。武田薬品は、ノババックスのワクチンについて、国内で年間2億5000万回分以上の生産能力を構築するとしています。

 

【新型コロナウイルスワクチンの国内供給・生産体制】 ▼海外からの供給(社名/供給量・供給体制/国の補助): ファイザー/21年中に約1億9400万回分を供給 (うち約5000万回分の追加供給分は7~9月に供給)/ ― |アストラゼネカ/21年初頭から1億2000万回分を供給. JCRファーマが国内で原液製造。製剤化などは▽第一三共▽第一三共バイオテック▽MeijiSeikaファルマ▽KMバイオロジクス▽ニプロファーマ――が実施/162.3億円 |モデルナ/21年9月までに5000万回分を供給/ ― ▼国内での生産(社名/供給体制/国の補助): アンジェス/タカラバイオなどと協力して生産体制を整備/93.8億円 |塩野義製薬/21年度末までに年3000万人分以上の生産体制を整備/223億円 |KMバイオロジクス/21年度末までに半年で3500万回分の生産体制を整備/60.9億円 |第一三共/―/60.3億円 |IDファーマ/―/― |武田薬品工業/ノババックスのワクチンについて年2.5億回分以上の生産能力を構築/301.4億円 VLPセラピューティクス/―/143.4億円 |※「国の補助」は「ワクチン生産体制等緊急整備事業」(第1次公募)からの補助/※各社の発表などをもとに作成

 

(公開:2021年1月14日/最終更新:2021年9月15日)

 

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