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【2021年の新薬#1】がん治療用ウイルス 国内初承認へ…胆管がんにFGFR阻害薬、糖尿病には2新薬

更新日

2021年に国内で発売が見込まれる主な新薬を、領域別に2回に分けて紹介します。1回目は「がん」「循環器・腎・糖尿病」「皮膚」「婦人科」です。(2回目はこちら

 

 

【がん】「G47Δ」今年半ばに承認か

【【がん】今年発売が見込まれる新薬】(○は薬事・食品衛生審議会の部会で承認が了承されている品目。★は先駆け審査指定制度の対象品目)( 一般名/製品名/社名/申請時期/適応/薬効・作用機序): アナモレリン塩酸塩○/エドルミズ錠/小野薬品工業/18年11月/非小細胞肺がん、胃がん、膵がん、大腸がんにおけるがん悪液質/グレリン様作用薬 |アカラブルチニブ○/カルケンスカプセル/アストラゼネカ/20年1月/再発・難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)/BTK阻害薬 |ジクロフェナクナトリウム/―/久光製薬/20年2月/がん疼痛/経皮吸収型非ステロイド性消炎鎮痛薬/ |ブリグチニブ○/アルンブリグ錠/武田薬品工業/20年2月/ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発非小細胞肺がん/ALK阻害薬 |デニロイキン ジフチトクス/―/エーザイ/20年3月/皮膚T細胞性リンパ腫および末梢性T細胞リンパ腫/IL-2の受容体結合部分とジフテリア毒素の融合タンパク |アキシカブタゲン シロルユーセル○/イエスカルタ点滴静注/第一三共/20年3月/再発・難治性の大細胞型B細胞リンパ腫/抗CD19 CAR-T細胞療法 |ラロトレクチニブ/―/バイエル薬品/20年5月 /NTRK融合遺伝子陽性の局所進行・転移性固形がん/TRK阻害薬 |リソカブタゲン マラルユーセル/―/セルジーン/20年6月/再発・難治性の大細胞型B細胞リンパ腫/抗CD19 CAR-T細胞療法 |ボラツズマブ ベドチン/―/中外製薬/20年6月/再発・難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫/抗CD79b ADC |タゼメトスタット臭化水素酸塩/―/エーザイ/20年6月/B細胞性非ホジキンリンパ腫/EZH2阻害薬 |ペミガチニブ/―/インサイト/20年9月/FGFR2融合遺伝子陽性の局所進行・転移性胆管がん/FGFR阻害薬 |HBI-8000/―/フヤ・ジャパン/20年9月/再発・難治性の成人T細胞白血病/リンパ腫/HDAC阻害薬 |テセルパツレブ ★/―/第一三共/20年12月/悪性神経膠腫/腫瘍溶解性ウイルス |※各社のパイプラインなどをもとに作成

 

市場拡大が続くがん領域では、今年も注目の新薬が相次いで登場する見込みです。

 

第一三共のテセルパツレブ(G47Δ)は、脳腫瘍の1つである悪性神経膠腫を対象とするがん治療用ウイルス。昨年12月に再生医療等製品として申請しており、承認されれば国内初の腫瘍溶解性ウイルスとなります。先駆け審査指定制度の対象品目で、今年半ばの承認が見込まれます。

 

CAR-T細胞(キメラ抗原受容体T細胞)療法では、2019年承認の「キムリア」(ノバルティスファーマ)に続く2剤目、3剤目の製品が承認される見通しです。第一三共のアキシカブタゲン シロルユーセル(製品名・イエスカルタ)とセルジーンのリソカブタゲン マラルユーセルで、いずれも大細胞型B細胞リンパ腫の適応で申請中。イエスカルタは昨年12月、厚生労働省の部会で承認が了承されており、1月承認・4月薬価収載が見込まれます。

 

エーザイ 2品目が承認の見込み

インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパンのペミガチニブは、国内初のFGFR阻害薬。FGFR2融合遺伝子陽性胆管がんを対象に昨年9月に申請しました。FGFR(線維芽細胞増殖因子受容体)は、がんの増殖・生存・遊走・血管新生・薬剤耐性などに重要な役割を果たすタンパク質。JAK阻害薬「オルミエント」の創製などで知られる米インサイトは、ペミガチニブの販売で日本市場に本格参入します。

 

エーザイは今年、がん領域で2つの新薬の承認が見込まれます。昨年3月、皮膚T細胞性リンパ腫と末梢性T細胞リンパ腫を対象に申請したデニロイキン ジフチトクスは、インターロイキン(IL)-2の受容体結合部分とジフテリア毒素の融合タンパク。腫瘍細胞表面のIL-2受容体に結合し、細胞内に移行したジフテリア毒素がタンパク質の合成を阻害することで細胞死を誘導します。ファースト・イン・クラスのEZH2阻害薬として注目されるタゼメトスタット臭化水素酸塩は、エピジェネティクス関連タンパク質群の1つであるEZH2を阻害する薬剤。がん関連遺伝子の発現を制御し、がん細胞の増殖を抑制します。

 

がん悪液質に初の治療薬

フヤ・ジャパンが成人T細胞白血病/リンパ腫の適応で申請中の経口HDAC(ヒストン脱アセチル化酵素)阻害薬HBI-8000は、承認取得後にMeijiSeikaファルマが販売する予定。武田薬品工業のブリグチニブ(製品名・アルンブリグ)は、国内5剤目のALK阻害薬となります。

 

「ロズリートレク」(中外製薬)に続くTRK(神経栄養因子受容体)阻害薬となるバイエル薬品のラロトレクチニブは、NTRK融合遺伝子陽性の固形がんに対する臓器横断的な適応で承認を取得する見込みです。

 

がん領域ではこのほか、国内初のがん悪液質治療薬となる小野薬品工業のアナモレリン塩酸塩(製品名・エドルミズ)が1月に承認される見通し。血液検体を用いたがん遺伝子パネル検査FoundationOne Liquid CDx(中外製薬)の承認も予想されます。

 

【循環器・腎・糖尿病】糖尿病にミトコンドリア機能改善薬

【【循環器・腎・糖尿病】今年発売が見込まれる新薬】(○は薬事・食品衛生審議会の部会で承認が了承されている品目またはすでに承認済みの品目。*20年6月承認・同年11月薬価収載済み)(一般名/製品名/社名/申請時期 /適応/薬効・作用機序): セマグルチド○/リベルサス錠/ノボノルディスク/19年7月*/2型糖尿病/経口GLP-1受容体作動薬 |モリデュスタットナトリウム○/マスーレッド錠/バイエル薬品/20年2月/腎性貧血/HIF-PH阻害薬 |ベルイシグアト/―/バイエル薬品/20年6月/慢性心不全/sGC刺激薬 |イメグリミン塩酸塩/―/大日本住友製薬/20年7月/2型糖尿病/ミトコンドリア機能改善薬 |※各社のパイプラインなどをもとに作成

 

糖尿病には今年、2つの新薬が発売される見通しです。

 

ノボノルディスクファーマのセマグルチド(製品名・リベルサス)は、初の経口GLP-1受容体作動薬で、昨年11月に薬価収載されています。大日本住友製薬のイメグリミン塩酸塩は、ミトコンドリア機能を改善する新規の作用機序を持つ薬剤。インスリン分泌不全とインスリン抵抗性の両方を改善することで血糖降下作用を示すと考えられています。

 

2018年以降、新薬の発売が相次いでいる心不全では、バイエル薬品のsGC(可溶性グアニル酸シクラーゼ)刺激薬ベルイシグアトが承認される見込み。同薬は、既存の治療法では対処されていないNO-sGC-cGMP経路に作用し、心機能を回復させます。

 

心不全ではさらに、日本ベーリンガーインゲルハイムのSGLT2阻害薬「ジャディアンス」が適応拡大の承認を取得する見通し。SGLT2阻害薬では、昨年11月承認の「フォシーガ」(アストラゼネカ)に続く心不全への適応拡大となります。

 

今年1月の承認が見込まれるバイエル薬品の腎性貧血治療薬モリデュスタットナトリウム(製品名・マスーレッド)は、国内5剤目のHIF-PH阻害薬。4月の薬価収載が想定され、市場競争は一段と激しくなりそうです。

 

【皮膚】アトピー性皮膚炎に2つの新薬

【【皮膚】今年発売が見込まれる新薬】(一般名/製品名/社名/申請時期 /適応/薬効・作用機序): ジファミラスト/―/大塚製薬/20年9月/アトピー性皮膚炎/PDE4阻害薬 |アブロシチニブ/―/ファイザー/20年12月/アトピー性皮膚炎/JAK阻害薬 |※各社のパイプラインなどをもとに作成

 

皮膚領域では、アトピー性皮膚炎に対する2つの新薬が承認される見込みです。

 

大塚製薬が昨年9月に申請したジファミラストは、PDE4(ホスホジエステラーゼIV)阻害薬の軟膏剤。炎症性サイトカインなどの産生を抑制し、抗炎症作用を発揮することで、アトピー性皮膚炎の症状を改善します。

 

ファイザーの経口JAK阻害薬アブロシチニブも、中等症から重症のアトピー性皮膚炎を対象に年内の承認が見込まれます。JAK阻害薬では昨年、日本たばこ産業(JT)の軟膏剤「コレクチム」が発売され、日本イーライリリーの「オルミエント」も適応拡大の承認を取得。アッヴィも昨年10月に「リンヴォック」の適応拡大を申請しています。

 

【婦人科】更年期障害に経口の天然型黄体ホルモン製剤

【婦人科】今年発売が見込まれる新薬】(一般名/製品名/社名/申請時期 /適応/薬効・作用機序): ウリプリスタル酢酸エステル/―/あすか製薬/19年12月/子宮筋腫/プロゲステロン受容体調整薬 |プロゲステロン/―/富士製薬工業/20年12月/更年期障害/天然型黄体ホルモン |※各社のパイプラインなどをもとに作成

 

あすか製薬が申請中のウリプリスタル酢酸エステルは、欧米で販売されている緊急避妊薬「Ella/EllaOne」としても知られるプロゲステロン受容体調整薬。子宮筋腫治療薬として年内の承認が予想されます。

 

富士製薬工業の天然型黄体ホルモン製剤(プロゲステロン)は、更年期障害を対象に昨年12月に申請。天然型黄体ホルモンをマイクロナイズド化(微粒子化)することで、これまで難しかった経口投与での吸収を可能にしました。

 

(前田雄樹)

 

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