大日本住友 次世代抗精神病薬が米国でブレークスルーセラピー指定
大日本住友は5月10日、統合失調症治療薬として開発中の「SEP-363856」について、米FDA(食品医薬品局)からブレークスルーセラピー(画期的治療薬)の指定を受けたと発表した。同薬は、既存の抗精神病薬とは異なり、ドパミンD2受容体やセロトニン5-HT2A受容体に作用しない新世代の薬剤。2019年度中に臨床第3相(P3)試験を開始する予定で、23年の発売を目指す。
エーザイ、独メダックスからメトトレキサート皮下注製剤を導入
エーザイは5月10日、独メダックスから抗リウマチ薬メトトレキサートの皮下注製剤(プレフィルドシリンジ製剤)を導入したと発表した。エーザイは同薬の日本での独占的販売権を獲得。メダックスに一時金と開発、販売のマイルストンを支払う。
メトトレキサート皮下注製剤は、メダックスが欧米を中心に販売。週1回の投与でバイオアベイラビリティを高く維持できるという。国内では、メダックスが臨床試験を行い、申請する予定。承認取得後、エーザイが販売を行う。
日本新薬、リリーからタダラフィルを承継
日本新薬は5月10日、日本でのホスホジエステラーゼ5阻害薬タダラフィルの製造販売承認について、日本イーライリリーから承継する契約を結んだと発表した。日本では現在、日本イーライリリーが同薬の製造販売を、日本新薬が販売を担っている。契約に基づき、2020年1月~3月をめどに日本新薬が同薬の製造販売元になる予定。
武田 潰瘍性大腸炎治療薬「Entyvio」の皮下注製剤を米国で申請
武田薬品は5月10日、潰瘍性大腸炎治療薬「Entyvio」(一般名・ベドリズマブ、日本製品名・エンタイビオ)について、皮下注製剤を米国で申請し、受理されたと発表した。中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎患者に対する維持療法での使用を見込んでおり、プレフィルドシリンジ製剤とペン製剤を申請した。現在承認されているのは静注製剤。
ペプチドリーム・JCR、血液脳関門を通過するキャリアペプチドを創製
ペプチドリームとJCRファーマは5月10日、両社の共同研究で血液脳関門(BBB)を通過できる特殊環状ペプチドの創製に成功したと発表した。このペプチドに薬剤を結合させて「ペプチド薬物複合体」とすることで、薬剤がBBBを通過できるようになり、脳内への取り込み効率を向上させることができるという。両社は今後、脳内で薬効が期待できる薬剤の開発を進めるとともに、ほかの製薬企業などに対してライセンス活動を展開する。
第一三共、木村営業本部長が取締役就任へ
第一三共は5月10日、木村悟・専務執行役員医薬営業本部長が6月17日付で取締役に就任する人事を発表した。同日の株主総会で正式決定する。木村氏は1981年に旧第一製薬に入社。京都支店長などを経て、2014年に執行役員医薬営業本部長兼マーケティング部長に就任。16年4月から現職。61歳。
大日本住友、田村信頼性保証本部長が取締役に
大日本住友製薬は5月10日、田村伸彦・常務執行役員信頼性保証本部長が6月20日付で取締役に就任する人事を発表した。同日の株主総会で正式決定する。田村氏は1982年に旧住友化学工業(現住友化学)に入社後、84年に旧住友製薬に入社。2012年開発本部長、16年サノビオンChair and Presidentなどを経て、19年4月から現職。63歳。
決算
大日本住友製薬(2019年3月期、5月10日発表)
売上高4592億6700万円(前期比1.6%減)、営業利益578億8400万円(34.4%減)。開発品の減損損失や生産拠点統合に伴う事業構造改善費用の計上で大幅な減益となった。主力の抗精神病薬「ラツーダ」は1845億円(3.3%増)と好調だったが、薬価改定や後発医薬品の影響で国内が前期比9.8%減の1293億円と落ち込んだ。20年3月期は売上高4600億円(0.2%増)、営業利益690億円(19.2%増)を予想。
田辺三菱製薬(2019年3月期、5月10日発表)
売上高4247億円(前期比2.1%減)、営業利益503億円(34.9%減)。関節リウマチ治療薬「シンポニー」や2型糖尿病治療薬「カナリア」など重点品は増収となったものの、薬価改定や海外ロイヤリティ減少が響いた。20年3月期は、売上高3760億円(11.5%減)、営業利益115億円(77.1%減)と減収減益の予想。多発性硬化症治療薬「ジレニア」のロイヤリティをめぐってスイス・ノバルティスと係争中で、同薬のロイヤリティの一部は売上高に認識しない。
ゼリア新薬工業(2019年3月期、5月10日発表)
売上高618億3100万円(4.2%減)、営業利益37億3700万円(22.6%減)。潰瘍性大腸炎治療薬「アサコール」など主力品が市場競争の激化などで売り上げを落とし、減収減益となった。20年3月期は650億円(5.1%増)、営業利益50億円(33.8%減)の予想。国内は厳しい状況が続くが、海外市場での拡大を図る。
あすか製薬(2019年3月期、5月10日発表)
売上高467億600万円(前期比4.6%減)、営業利益17億8200万円(36.9%減)。抗菌薬「リフキシマ」(24億8000万円、133%増)など売り上げを伸ばした製品もあったものの、薬価改定の影響をカバーし切れなかった。20年3月期は、産婦人科領域の売り上げ拡大により、売上高530億円(13.5%増)、営業利益20億円(12.2%増)となる見通し。
扶桑薬品工業(2019年3月期、5月10日発表)
売上高460億7400万円(前期比0.4%増)、営業利益12億6100万円(58.0%増)。製造原価の低減や販管費の減少により大幅な増益となった。20年3月期は売上高462億円(0.3%増)、営業利益6億5000万円(48.5%減)を見込んでいる。
生化学工業(2019年3月期、5月10日発表)
売上高283億8400万円(5.9%減)、営業利益9億7700万円(31.3%減)。医薬品原体の売上高が21.4%増の12億円となったものの、薬価改定の影響などで医薬品の売り上げが振るわなかった。20年3月期の業績予想は282億5000万円(0.5%減)、営業利益4億円(59.1%減)。基幹業務システムの更新で販管費が増大する見込み。
JCRファーマ(2019年3月期、5月10日発表)
売上高231億6000万円(前期比12.5%増)、営業利益49億6700万円(31.3%増)。主力の成長ホルモン製剤「グロウジェクト」や再生医療等製品「テムセル」が好調だったほか、研究開発の進展に伴い契約金収入も増えた。20年3月期は売上高264億円(14.0%増)、営業利益51億4000万円(3.5%増)を予想している。
旭化成(2019年3月期、5月10日発表)
ヘルスケアセグメントは売上高3162億円(前期比6.7%増)、営業利益418億円(5.8%増)。このうち医薬・医療事業は、薬価改定の影響で売上高1355億円(0.2%減)、営業利益184億円(6.3%減)と減収減益だった。主力の骨粗鬆症治療薬「テリボン」は前期比5.6%増の283億円。20年3月期は、医薬・医療事業で売上高1380億円(1.8%増)、営業利益160億円(13.0%減)を見込む。
日本化薬(2019年3月期、5月10日発表)
医薬事業の売上高は462億3100万円(前期比2.6%減)、営業利益は40億6100万円(36.6%減)。バイオシミラーの「インフリキシマブ」などが伸びたが、薬価改定の影響を補い切れなかった。