2018年に国内で承認された新薬(新医薬品)を企業別に集計し、ランキングにしました。承認数が最も多かったのは、適応拡大を中心に8つの承認を取得したノバルティスファーマ。新規有効成分だけで見てみると、ヤンセンファーマとアストラゼネカ、中外製薬の3社が3つで最多となりました。
ヤンセン、中外など上位に 内資最高は小野
医薬品医療機器総合機構(PMDA)が年度ごとにまとめている「新医薬品の承認品目一覧」をもとに、2018年1月~12月に承認された新薬を「新規有効成分」と「その他(適応拡大など)」に分けて集計。後発医薬品やバイオシミラー、診断薬は除外しています。
2018年、新医薬品の承認取得数が最も多かった企業は、ノバルティスファーマでした。新規有効成分の承認取得はありませんでしたが、抗がん剤「タフィンラー」「メキニスト」の非小細胞肺がんへの適応拡大など、8つの承認を取得しました。
2位は承認数7のヤンセンと中外
2位は7つの承認を取得したヤンセンファーマと中外製薬。ともに新規有効成分で3つ、適応拡大などで4つの新薬が承認されました。ヤンセンファーマは、新規有効成分として抗HIV薬「オデフシィ」や乾癬治療薬「トレムフィア」などが承認。中外製薬は、免疫チェックポイント阻害薬「テセントリク」や血友病A治療薬「ヘムライブラ」などが承認されました。
承認取得数6で上位3社に続いたのは、アストラゼネカとファイザー、MSDの3社。アストラゼネカは抗がん剤「リムパーザ」や免疫チェックポイント阻害薬「イミフィンジ」など、ファイザーも抗がん剤「ローブレナ」「ビジンプロ」など、がん領域を中心に承認を取得。MSDはサイトメガロウイルス感染症の発症抑制に用いる「プレバイミス」のほか、免疫チェックポイント阻害薬「キイトルーダ」で国内初となるがん種横断型の適応(マイクロサテライト不安定性の固形がん)を取得しました。
承認数5で内資系企業としては最高の7位となった小野薬品工業は、免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」で腎細胞がんに対する同「ヤーボイ」との併用療法などが承認。承認数4で8位のアステラス製薬は、国内初のFLT3阻害薬として抗がん剤「ゾスパタ」の承認を取得しました。
新規有効成分ではアストラゼネカ、中外、ヤンセンがトップ
新規有効成分に限ってランキングにしてみると、トップは3つの承認を取得したアストラゼネカ、中外製薬、ヤンセンファーマの3社。アステラス製薬とサノフィ、武田薬品工業、バイエル薬品、ファイザー、ノボノルディスクファーマの6社が承認数2で続きました。
18年に承認された新規有効成分37成分のうち、ピーク時に薬価ベースで100億円以上の売上高を見込むのは11製品。最も高いのは374億円を予想するアストラゼネカのイミフィンジで、サノフィのアトピー性皮膚炎治療薬「デュピクセント」(329億円)、中外のテセントリク(285億円)、日本イーライリリーの抗がん剤「ベージニオ」(254億円)、武田の潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬「エンタイビオ」(212億円)と続きました。
世界に先駆けて日本で承認を取得する画期的新薬を審査で優遇する「先駆け審査指定制度」の対象品目では、塩野義製薬の抗インフルエンザウイルス薬「ゾフルーザ」とアステラスのゾスパタが承認を取得。ファイザーのローブレナは条件付き早期承認の第1号となりました。
承認数は前年比26増 がん領域が最多
18年に承認された新医薬品は、適応拡大などを含めて計107で、前年に比べて26増加。このうち新規有効成分は37で、前年比で13増えました。
領域(PMDAが承認品目一覧で用いている「分野」)別に見てみると、最も多かったのは「がん」。適応拡大も含めて39の新医薬品が承認されました。次いで多かったのは「呼吸器・アレルギー・炎症」(14)で、「消化管用薬・外皮用薬」「抗菌・抗ウイルス薬」(いずれも10)と続きました。
企業別の承認取得数ランキングでは、適応拡大を含めた全体でも新規有効成分でも、上位は軒並み外資系企業が独占。国内企業の再編の必要性も指摘される中、規模を背景とする開発力の差を改めて見せつけられたと言えるでしょう。
(亀田真由)
製薬業界 企業研究 |
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