中央社会保険医療協議会(中医協)は11月14日、アステラス製薬の急性骨髄性白血病治療薬「ゾスパタ」やファイザーの非小細胞肺がん治療薬「ローブレナ」、日本イーライリリーの乳がん治療薬「ベージニオ」など新薬12成分20品目の薬価を了承した。20日に収載される予定。
ゾスパタ、ローブレナに有用性加算II
アステラス製薬の「ゾスパタ」(ギルテリチニブ)は、国内初のFLT3阻害薬で、FLT3遺伝子変異のある再発・難治性の急性骨髄性白血病が対象。薬価はサノフィの「エボルトラ」を最類似薬とする類似薬効比較方式Iで算定された。臨床試験で一定の寛解率が認められたことから有用性加算II(5%)がついたほか、先駆け審査指定制度加算(10%)も上乗せされ、薬価は40mg1錠1万9409.10円(1日薬価5万8227.30円)。ピーク時に71億円の売り上げを見込む。
ファイザーの「ローブレナ」(ロルラチニブ)は、国内では4剤目となるALK阻害薬で、昨年創設された条件付き早期承認制度の下で初めて承認された医薬品。同社の「ザーコリ」を最類似薬とする類似薬効比較方式Iで薬価算定。ALK阻害薬に抵抗性の患者に効果が認められたことから有用性加算II(5%)がついた。薬価は25mg1錠7216.40円、100mg1錠2万5961.00円(1日薬価2万5961.00円)で、ピーク時の売上高は75億円と予想している。
ベージニオ ピーク時に254億円の売り上げを予想
日本イーライリリーの「ベージニオ」(アベマシクリブ)は、国内2剤目のCDK4/6阻害薬。ホルモン受容体陽性/HER2陰性の進行・再発乳がんにホルモン療法剤と併用する。薬価は先行する「イブランス」を最類似薬とする類似薬効比較方式Iで算定され、1日薬価は同薬と同じ1万6920.20円となった。ピーク時の売上高は254億円を見込んでいる。
この日の中医協で薬価収載が了承されたのは、これら3剤のほか
▽慢性便秘症治療薬「モビコール」(マクロゴール4000/塩化ナトリウム/炭酸水素ナトリウム/塩化カリウム、EAファーマ)
▽過活動膀胱治療薬「べオーバ」(ビベグロン、杏林製薬)
▽糖尿病治療薬「トラディアンス」(エンパグリフロジン/リナグリプチン、日本ベーリンガーインゲルハイム)
▽B細胞性急性リンパ性白血病治療薬「ビーリンサイト」(ブリナツモマブ、アステラス・アムジェン・バイオファーマ)
▽遺伝性血管性浮腫治療薬「フィラジル」(イカチバント、シャイアー・ジャパン)
など。
ビーリンサイトには有用性加算II(10%)と小児加算(5%)、フィラジルには有用性加算II(5%)と市場性加算I(10%)がついた。ベオーバはピーク時に185億円の売上高を見込んでいる。