中外製薬は7月21日、血友病Aを対象に開発中の抗血液凝固第IXa/X因子二重特異性抗体エミシズマブ(開発コード・ACE910)について、日本で承認申請を行ったと発表した。
適応は「血液凝固第VIII因子に対するインヒビターを保有する先天性血液凝固第VIII因子欠乏患者における出血傾向の抑制」。希少疾病用医薬品に指定されている。
エミシズマブは、中外製薬が創製した二重特異性抗体(バイスペシフィック抗体)。活性型第IX因子と第X因子に結合し、血友病Aで欠乏している第VIII因子の機能を代替。第X因子の活性化反応を促進し、血液凝固反応を促す。
青年期・成人(12歳以上)のインヒビター保有の血友病Aを対象に行った国際共同臨床第3相(P3)試験「HAVEN1」では、エミシズマブを週1回投与群は、投与しなかった群に比べて治療を要した出血の頻度が87%減少。小児(12歳未満)のインヒビター保有患者を対象に行った国際共同P3試験「HAVEN2」の中間解析でも、治療を要した出血は対象患者19人中1人で、19人全員が関節出血や筋肉内出血ゼロを達成した。主な有害事象は、HAVEN1では注射部位反応、頭痛、疲労、上気道感染、関節痛、HAVEN2では軽度の注射部位反応と感冒様症状(鼻咽頭炎)だった。
中外製薬はエミシズマブについて、ピーク時に2000億円以上の世界売上高を期待。米国ではブレークスルーセラピー(画期的治療薬)の指定を受けている。インヒビター非保有の血友病Aを対象とした開発も進んでおり、日本では2018年に申請する予定だ。