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第8回 統計の基礎用語をマスターしよう!(3)データを集める際の注意点とは?

[ 2014年04月25日(金) ]

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医学統計を理解するために必要な最低限の基礎用語として、前回まではわたしたちの身の回りにあるさまざまなデータの種類について説明しました。 データについての説明は前回でひと段落です。

この第8回からは、データを集める際に気をつけなければならないこと、そして、それに関する用語について解説していきます。

さて、さくらさん、以前解説した「推論統計」の考え方を覚えていますか?

『ええと、限られたデータからいかにして普遍的な結論を引き出すか…でしたっけ?』

すばらしい。その通りです。

そして、この「推論統計」について解説した際にも触れたように、たとえば、新薬の有効性を検証するために、全人類を対象に調査をするということは現実問題としてあり得えません。実際には全体の一部分を対象に検証を行うことになりますね。

ここで登場するのが、母集団標本といった言葉です。 この例だと、全人類が母集団であり、実際に検証した全体の一部分が標本ということになります。

『データを調べたい対象が母集団。母集団の一部分で、実際にデータを集めたものが標本ということですね。』

そうです。 もちろん、調査内容によっては標本を必要としない母集団もあります。

たとえば、ある会社の社内統計をとる場合は、基本的に全員を調査するはずです。 つまり、母集団全体をそのまま調査することになるわけです。

しかし、臨床開発モニターの皆さんが治験でかかわる薬は、究極的には全人類への貢献を目指すものですので、想定する母集団は、常に広大な集団になります。

さくらさん、治験は、第Ⅰ相〜第Ⅲ相に分けられ、それぞれ目的が違いますよね。 せっかくなので、少し、解説していただいてもいいでしょうか?

『いいですよ。治験は第Ⅰ相〜第Ⅲ相に分けられます。

第Ⅰ相試験は、薬物に対して人体は許容できるかその忍容性と、その治験薬の吸収・分布・代謝・排泄などの薬物動態を検討するために実施されます。

次に第Ⅱ相試験ですが、これは目標効能に対する探索的試験です。そして第Ⅲ相試験につなげるため、適応疾患や用法・用量の検討を行うことが目的です。

第Ⅲ相試験は、治療上の利益を確認する検証的試験となり、すなわちきちんと有効性があるかを検証し、また安全であるかも検討されることが目的となります。』

ありがとうございます。 すばらしい。

毎回の治験を全国民で実施するなんてことになったら、CRAの仕事が成り立ちますか?

『第Ⅰ相試験の50人を集めるだけでも大変な仕事ですよ。モニターがいくらいても無理ですよ。』

そうですよね。 さくらさんのおっしゃる通り、その集団すべてを網羅することは到底不可能なので、標本を取り出して調査することになるのです。

そして、母集団から標本を選び出すことを、サンプリング(抽出)といいます。 サンプリングでは、母集団の相似形となるような標本を選び出すことが大前提となります。

たとえば、骨粗鬆症治療薬のような高齢者をターゲットにした新薬の効能を調査するために、若者だけを抽出した標本を調査しても意味がありません。 サンプリングで大事なことは、母集団をきちんと代表できるような標本を選ぶことです。

ここで、2つの図を見比べてみましょう。 まず、最初の図を見てください。 図Aのように、母集団と同じ構成割合の標本がサンプリングできてはじめて、母集団の真の姿を推定できるのです。 もうひとつの図はこちらです。 この図Bだと、母集団と標本が同じ構成になっていません。これでは真の姿を推定することは不可能です。

そして、このような標本から母集団を推定しようとすると、大変な間違いをおかしてしまう可能性があります。

治験でも、標本に関してさまざまなデータを集め、解析し、その結果を母集団へあてはめていますよね。 サンプリングは、そのデータを集める際の大変重要な下準備です。

研究者たちは、いかに正確に標本を抽出するかに神経を使っています。 間違いをおかさないためには、まずは正しい標本を選ばなくてはなりません。

正しい標本を選ぶための具体的な方法についてはここでは触れませんが、その標本が本当に母集団を代表しているかどうかが、サンプリングを行う際に何よりも重要であることを覚えておいてください。

これは非常に重要なことですので、次回も引き続き、母集団と標本の関係について解説していくことにします。

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