第1回:統計は難しい?先入観をとりのぞこう!数式なしでもわかる医学統計への第一歩
[ 2014年01月08日(水) ]
この連載は、統計学が得意ではないのに日常的に臨床試験(治験)に触れる必要がある…という立場の代表として、CRA=臨床開発モニターの皆さんを対象にして書かれています。 CRA だけど統計は得意だぞという皆さん…失礼の段どうかお許しください。
CRA さんだけでなく、「実はあまり医学統計には自信ない…」と感じている皆さんも、登場人物の職業を自分の職業に置き換えて読んでいただけるよう構成されています。
さて、この連載では、架空の読者さんが登場します。
<架空の読者さん:小林さくら>
薬学部出身の新人CRA。 学生時代に統計学を履修していたものの、やっと単位がとれたレベルだった。 しかし、その後、CRAになることを決意。 「臨床開発モニターの仕事は、治験に参加する医療機関を訪問して担当医師と面談し、治験の目的やデザイン、 方法、統計学的な考察…*^-@」といった記述を見て統計に興味を持ち、勉強する意欲は十分。 以前学んだことはほぼ忘れているようだが、断片的に覚えており、たまに鋭い発言をすることも。
彼女は、ちょっとした疑問が生じたりわかりにくかったりすると、実際の読者の皆さんの代わりにいろいろと質問をしてくれます。 彼女は時々、物わかりが悪かったり、出過ぎなときもあるかもしれませんが、大目に見てあげてください…。 私も、さくらさんに質問をしたりします。そんな時は、皆さんも一緒に考えてみてください。 さくらさんは医学統計を学び、どのように成長していくのでしょうか? 彼女と一緒に、医学統計を学んでいきましょう。
この連載は「本当に基礎的な部分」から解説していきますが、その前に、皆さんにお伝えしておきたいことがふたつあります。 ひとつめは、もし、あなたが医学統計が本当に苦手なCRAさんだったとしても、製薬企業やCROにお勤めの皆さんは、実は一般の方々よりもはるかに、医学統計に関する知識を持っているということです。 一般の方を対象にした医学に関する講演の場で、演者の先生がこんな質問をしていました。
「EBMという言葉を初めて聞いたという人はどのくらいいらっしゃいますか?」
この連載を読んでいる現役CRAさんの中で、この言葉を一度も聞いたことがない方はさすがに、いないはずです。 実際の講義の場では、初めて聞いたという方が何人もいたわけですから、CRAの皆さんは、一般の方とは比較にならないほど優秀なわけです。 自信を持って、この連載を読み進めていただきたいと思います。 もし、あなたが、CRAを目指していてEBMを知らなかったら、こっそり検索しておきましょう。 さて、さくらさん、準備はいいですか?
『こんにちは。小林さくらです。新人のモニターです。一応、学生の頃に統計を学んではいたんですが、少しかじった程度で、あまり理解できていないんです…。』
ハイ、よろしくお願いしますね。 いずれにしても、この連載を読めば、統計が得意な人も苦手な人も、CRAという職業にとって本当に必要な統計学の知識を学ぶことができますよ。
『本当ですか?』
本当ですよ。 そうそう、忘れていました。もうひとつ大事なことをお伝えしておかなくては。 この連載では、基本的に数式を一切使いません。
『そうなんですか。大学では数式も覚えたような気がするんですけど、本当に数式を使わないんですか?』
はい。この連載では、本当に数式を使わずに、説明を進めていきます。ちなみに、数式を使わないのは、数式が苦手な方のため…ということだけではありません。その本当の理由は、追々明らかにされていくことでしょう。
いずれにせよ、医学統計を学ぶ時の最大の敵は、統計は苦手だという先入観です。 まずは、この苦手意識の先入観を取り除くことからはじめていこうと思います。
連載第1回は、まず、心の準備ができればOKです。 次回から肩の力を抜いて、医学統計の扉を開けるとしましょう。
出典:世界一わかりやすい。医学統計シンプルスタイル プラス
医学系出版社SCICUS(サイカス)の書籍
実際の臨床研究を題材に、論文吟味のポイントを踏み込んで解説
ドキドキワクワク論文☆吟味。医学統計ライブスタイル (\2,940)
大手新薬メーカーのMR研修資料も多数手がける、サイカスの新書
新人MRマニュアル (\1,500)