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【NDBオープンデータを読む|喘息・COPD】ステロイド単剤は「パルミコート」 配合剤は「アドエア」が金額トップ

更新日

厚生労働省が10月、初めて公開した「レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)」のオープンデータ。薬効分類別の処方数上位30製品が公開された薬剤データは、医薬品市場を丸裸にするものとして注目を集めています。

 

NDBオープンデータから医薬品市場にフォーカスするこのシリーズ。今回は、治療の主流である吸入薬を中心に、喘息・COPD(慢性閉塞性肺疾患)を取り上げます(ランキング表の処方金額は編集部算出)。

 

 

ステロイド単剤、2大ブランドが院外/院内でトップ分け合う

 

【吸入ステロイド/配合剤】処方数ランキング

 

喘息治療の中心となる吸入ステロイド薬(ICS)や、COPD(慢性閉塞性肺疾患)にも使われるICS/長時間作用型β2刺激薬(LABA)の配合剤は、薬効分類上「その他の呼吸器官用薬」に分類されます。上の表は、この「その他の呼吸器官用薬」の外用薬の処方数ランキングです。タイトルは便宜上、「吸入ステロイド/配合剤」としています。

 

このカテゴリでトップとなったのは、院外処方がアストラゼネカの吸入ステロイド「パルミコート吸入液0.25mg/2mL」、院内処方がグラクソ・スミスクラインの同「フルタイドロタディスク100μg」。「パルミコート」と「フルタイド」という喘息治療薬の2大ブランドが首位を分け合う形となりました。

 

「パルミコート」と「フルタイド」の院外/院内を合わせた外来での処方金額を比べてみると、「パルミコート」(院外の100μg112吸入のみデータなし)は院外が64億6300万円、院内が10億8100万円で計75億4400万円。一方、「フルタイド」は院外が40億2900万円、院内が10億6200万円で計51億4800万円でした。

 

配合剤 「アドエア」が「シムビコート」に90億円の差

ICSだけでは効果不十分な喘息やCOPDの治療に使われるICS/LABA配合剤は、現在販売されている4製品全てが上位30製品にランクインしました。規格別に見ると、アステラス製薬の「シムビコートタービュヘイラー60吸入」が院外/院内で処方数・処方金額ともに首位。ところが、全規格を合わせた外来での処方金額を見ると、グラクソ・スミスクラインの「アドエア」が90億円の差をつけてトップとなっています。

 

ICS/LABA配合剤の外来処方金額(14年度)

 

「アドエア」と「シムビコート」が長らくシェアを二分していたICS/LABA配合剤の市場ですが、2013年11月に杏林製薬が「フルティフォーム」を、同年12月にはグラクソ・スミスクラインが「アドエア」とは異なる組み合わせの「レルベア」を相次いで発売しました。いずれも適応は喘息のみで、14年度の時点ではほぼ「レルベア」がわずかにリードする結果となりました。

 

気管支拡張薬 吸入は「スピリーバ」が断トツ 競合の新薬に大差

 

【気管支拡張薬・外用】処方数ランキング

 

喘息やCOPDの治療によく使われるもう1つの主なカテゴリ、気管支拡張薬(外用)では、アボットジャパンの貼付型β2刺激薬「ホクナリンテープ」(ツロブテロール)が院外/院内とも1位と2位を独占。1日1回貼るだけで済む手軽さもあり、小児の気管支炎にも広く使われています。上位30製品には「ホクナリンテープ」の後発医薬品も多くランクインしています。

 

院内/院外とも3位に入ったのは、日本ベーリンガーインゲルハイムの抗コリン薬「スピリーバ吸入用カプセル」。COPDの適応を持つ気管支拡張薬では、ノバルティスファーマのLABA「オンブレス」が院外で6位、院外で5位にランクインしました。MeijiSeikaファルマの抗コリン薬「シーブリ」や「ウルティブロ」(オンブレスとシーブリの配合剤)も上位30製品に入りましたが、処方金額ではやはり「スピリーバ」が圧倒的です。

 

COPD適応を持つ主な吸入気管支拡張薬の外来処方金額

 

「シングレア/キプレス」は院外処方だけで745億円

 

喘息の適応を持つ主な抗アレルギー内服薬の処方数

 

喘息治療でICSとともに使用頻度の多いロイコトリエン受容体拮抗薬などの抗アレルギー薬では、MSDの「シングレア」と杏林製薬の「キプレス」が多く処方されています。両剤は同じ成分(モンテルカスト)のロイコトリエン受容体拮抗薬で、院外処方だけで処方金額は745億円に上りました。

 

小野薬品工業のロイコトリエン受容体拮抗薬「オノン」(プランルカスト)も多く処方されていますが、後発品に押されています。杏林製薬の子会社キョーリンリメディオは今年9月、「シングレア/キプレス」のオーソライズド・ジェネリック(AG)を発売。12月には多くの企業が後発品を発売する予定ですが、キョーリンリメディオはAGで後発品内のシェア50%以上を目標に掲げています。

 

【NDBオープンデータとは】
厚生労働省がレセプトや特定健診などの情報を収集・格納している「レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB=ナショナルデータベース)」のデータの一部を、誰でも自由に利用できるよう単純な集計表として公開したもの。10月に初めて公表されたオープンデータの集計対象は、2014年4月~15年3月診療分のレセプト約18億800万枚。薬剤に関するデータは、「内用」「外用」「注射」のそれぞれについて、「外来院外」「外来院内」「入院」ごとに、薬効別に処方数上位30品目を集計。「性別年齢別」「都道府県別」の集計表が公開されている。

 

AnswersNews編集部が製薬企業をレポート

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