
中央社会保険医療協議会(中医協)総会は3月12日、日本イーライリリーの肥満症治療薬「ゼップバウンド皮下注」や第一三共の抗がん剤「ダトロウェイ点滴静注用」、BeiGene Japanの同「ブルキンザカプセル」など新薬11成分19品目の薬価収載を了承した。収載は19日。
ゼップバウンド、ピーク時319億円の販売予測
ゼップバウンド皮下注(一般名・チルゼパチド)は、肥満症を対象とするGIP/GLP-1受容体作動薬。薬価は、組成・投与形態が同一で効能・効果が異なる既収載品がある新薬の薬価算定の特例によって原価計算方式で算定され、▽2.5mg3067円▽5mg5797円▽7.5mg7721円▽10mg8999円▽12.5mg1万180円▽15mg1万1242円――となった。同一成分の糖尿病治療薬「マンジャロ」と比べると、汎用規格の10mgで1.17倍となる。ピーク時に投与患者数13万人、販売金額319億円を見込む。
ダトロウェイ点滴静注用(ダトポタマブ デルクステカン)は抗TROP2抗体薬物複合体(ADC)で、「化学療法歴のあるホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能または再発乳がん」の治療薬。薬価は同じ作用機序の「トロデルビ点滴静注用」(サシツズマブ コ゚ビテカン)を比較薬とする類似薬効比較方式Iで算定され、100mg1瓶31万1990円となった。ピーク時に127億円の売り上げを見込む。
BTK阻害薬ブルキンザカプセル(ザヌブルチニブ)は、同「イムブルビカカプセル」(イブルチニブ)を比較薬とする類似薬効比較方式Iで薬価算定。80mg1カプセル6636.10円となった。対象疾患は、慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)と原発性マクログロブリン血症およびリンパ形質細胞リンパ腫で、ピーク時の販売予測は176億円。BeiGene Japanにとっては日本で販売する初の製品となる。
バイオジェン・ジャパンの筋萎縮性側索硬化症治療薬「クアルソディ髄注」(トフェルセン)には、いずれも15%の有用性加算IIと市場性加算Iがついた。ただ、原価の開示度によって加算係数はゼロとなり、価格への上乗せは行われなかった。薬価は100mg15mL1瓶278万8883円。
ウプトラビに20%の小児加算
このほか、19日付で収載されるのは、
▽潰瘍性大腸炎治療薬「ゼポジアカプセル」(オザニモド塩酸塩)=ブリストル・マイヤーズスクイブ
▽抗てんかん薬「ブリィビアクト静注」(ブリーバラセタム)=ユーシービージャパン
▽多発性骨髄腫治療薬「テクベイリ皮下注」(テクリスタマブ)=ヤンセンファーマ
▽濾胞性リンパ腫治療薬「ルンスミオ点滴静注」(モスネツズマブ)=中外製薬
▽血友病治療薬「ヒムペブジ皮下注」(マルスタシマブ)=ファイザー
――など。
日本新薬の肺動脈性高血圧症治療薬「ウプトラビ錠」(セレキシパグ)には、小児用製剤の薬価収載が了承され、20%の小児加算がついた。アストラゼネカの気管支喘息・好酸球性多発血管炎性肉芽腫症「ファセンラ皮下注」(ベンラリズマブ)にはペン製剤が収載される。小児の用法・用量が明示されていることから、10%の小児加算がついた。
ピーク時の販売予測が100億円を超えたのは7成分。ゼップバウンド、ダトロウェイ、テクベイリ、ルンスミオの4成分は費用対効果評価の対象となった。