中央社会保険医療協議会(中医協)総会は5月15日、アステラス製薬の胃がん治療薬「ビロイ点滴静注用」やアストラゼネカのRSウイルス感染症予防薬「ベイフォータス筋注」など新薬18成分22品目の薬価収載を了承した。収載は22日付。ノーベルファーマの自己免疫性肺胞蛋白症治療薬「サルグマリン吸入用」には75%の画期性加算がついたが、原価の開示度によって価格への上乗せは行われなかった。
「サルグマリン」に画期性加算も加算係数ゼロ
ノーベルファーマの「サルグマリン吸入用」(一般名・サルグラモスチム)は顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子を補充することで自己免疫性肺胞蛋白症を治療する薬剤。既存のコロニー刺激因子製剤と異なり肺胞で作用を発現することや、標準治療で見られる安全性上の重大な懸念が示されていないことが評価され、75%の画期性加算がついた。15%の市場性加算も適用されたが、原価の開示度が50%未満だったため加算係数はゼロとなり、実際の価格への上乗せは行われなかった。
アステラス製薬の胃がん治療薬「ビロイ点滴静注用」(ゾルベツキシマブ)は、抗CLDN18.2抗体。薬価は抗PD-1抗体「オプジーボ」を最類似薬とする類似薬効比較方式Iで算定され、有用性加算II(5%)が上乗せされた結果、100mg1瓶5万4502円となった。ピーク時に145億円の販売を見込む。
アストラゼネカの抗RSウイルス抗体「ベイフォータス筋注」(ニルセビマブ)は、同社の「シナジス」を最類似薬とする類似薬効比較方式で薬価算定。有用性加算II(5%)と小児加算(10%)がつき、50mg0.5mL1筒45万9147円、100mg1mL1筒90万6302円となった。ピーク時の販売予測は179億円。
ピーク時100億円超は5成分
ビロイとベイフォータスのほかにピーク時の売上高予測が100億円を超えたのは、▽アストラゼネカのAKT阻害薬「トルカプ錠」(カピバセルチブ)▽ファイザーの抗BCMA/CD3二重特異性抗体「エルレフィオ皮下注」(エルラナタマブ)▽中外製薬の抗補体(C5)抗体「ピアスカイ注」(クロバリマブ)――。トルカプは、新規作用機序であることなどが評価され、35%の有用性加算がついた。
このほか22日付で薬価収載されるのは
▽造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病治療薬「レズロック錠」(ベルモスジルメシル酸塩)=MeijiSeikaファルマ
▽先天性血栓性血小板減少性紫斑病治療薬「アジンマ静注用」(アパダムターゼ アルファ/シナキサダムターゼ アルファ)=武田薬品工業
▽高リスク急性骨髄性白血病「ビキセオス配合静注用」(ダウノルビシン塩酸塩/シタラビン)=日本新薬
など。
アジンマには40%の有用性加算Iと15%の小児加算、5%の迅速導入加算がついた。ビキセオスには45%の有用性加算Iと10%の市場性加算がついたが、原価の開示度が50%未満のため加算係数はゼロとなった。