塩野義、米社からポンペ病治療薬候補を導入
塩野義製薬は5月10日、米メイズ・セラピューティクスからポンペ病治療薬候補「MZE001」を導入したと発表した。塩野義は全世界での開発・製造・販売権を獲得。契約一時金1億5000万ドル(約233億円)と開発・販売のマイルストン、売上高に応じたロイヤリティを支払う。MZE001はメイズが創製した低分子の経口薬。グリコーゲンの合成を担う酵素GYS1を阻害し、筋肉中のグリコーゲン濃度を低下させることで症状を改善することが期待される。臨床第1相(P)試験でグリコーゲン濃度の低下作用が確認されており、塩野義は単独療法と酵素補充療法との併用療法の2適応を目指してP2試験を始める。
サワイGHD、前期最終8.2%増益へ
サワイグループホールディングス(HD)は5月10日、米国子会社売却の影響で「未定」としていた2024年3月期の最終利益が137億円になる見通しだと発表した。前期比で8.2%の増益となる。売上収益は、一部品目で販売数量が想定を下回ったため、従来予想から30億円減の1770億円に下方修正。営業利益、税引き前利益についても、従来予想から14億円引き下げ、それぞれ186億円、183億円とした。
住友ファーマ「フロンティア事業」を分割
住友ファーマは5月9日、医薬品以外のヘルスケア領域で新規ソリューションの開発などを手掛ける「フロンティア事業」を分割し、4月1日付で設立した子会社FrontActに承継すると発表した。分割によって機動性を高めるとともに、企業・アカデミアとの提携機会を拡大。他社資本の取り込みも視野に入れる。フロンティア事業では2022年にメルティンMMIと共同開発したリハビリロボットを発売。FrontActはメルティンMMIから関連事業を譲り受け、後継品の開発などを進める。
アムジェン「オテズラ」掌蹠膿疱症の適応追加申請
アムジェンは5月10日、PDE4阻害薬「オテズラ錠」(一般名・アプレミラスト)について、掌蹠膿疱症への適応拡大を申請したと発表した。申請は、日本人患者を対象に行ったP3試験の結果に基づく。承認されれば4つ目の適応となる。
決算
明治HD(2024年3月期、5月10日発表)
医薬品事業の売上高2061億円(前期比4.5%増)、営業利益227億円(4.6%増)。需要増で抗菌薬の売り上げが伸びた。25年3月期は売上高2458億円(19.3%増)、営業利益250億円(10.2%増)を予想。新型コロナウイルス感染症ワクチン「コスタイベ」の供給開始により、ワクチン事業で大幅な増収を見込む。
日本新薬(2024年3月期、5月10日発表)
▽売上収益1482億5500万円(前期比2.8%増)▽営業利益332億9500万円(10.8%増)▽税引前利益336億1600万円(10.3%増)▽当期利益258億5100万円(13.3%増)――。デュシェンヌ型筋ジストロフィー治療薬「ビルテプソ」が22.2%増の175億3000万円を売り上げたほか、肺動脈性肺高血圧症・慢性血栓塞栓性肺高血圧症治療薬「ウプトラビ」も129億1800万円で22.5%増。工業所有権等収益は31.2%増の403億400万円に達した。25年3月期の業績予想は売上高1500億円(1.2%増)、営業利益310億円(6.9%減)。主力製品が伸びるものの、一部製品の販売価格低下により減益を見込む。
杏林製薬(2024年3月期、5月10日発表)
▽売上高1195億3200万円(前期比5.5%増)▽営業利益60億1300万円(17.4%増)▽経常利益66億200万円(13.3%増)▽純利益53億2200万円(12.7%増)――。オーソライズド・ジェネリックが前期を下回ったものの、主力の過活動膀胱治療薬「ベオーバ」(181億円、40.3%増)やニューキノロン系抗菌薬「ラスビック」(49億円、99.5%増)などが伸びた。25年3月期の業績予想は売上高1234億円(3.2%増)、営業利益65億円(8.1%増)。国内新医薬品の売り上げ拡大や後発医薬品の寄与を見込む。
あすか製薬HD(2024年3月期、5月10日発表)
▽売上高628億4300万円(前期比3.9%増)▽営業利益65億円(27.3%増)▽経常利益65億2200万円(24.6%増)▽純利益75億4500万円(78.0%増)――。子宮筋腫・子宮内膜症治療薬「レルミナ」(99億円、12.1%増)が堅調で、月経困難症治療薬「ドロエチ」(61億円、66.3%増)も大きく伸びた。25年3月期の業績予想は売上高630億円(0.2%増)、営業利益67億円(3.1%増)とした。
扶桑薬品工業(2024年3月期、5月10日発表)
▽売上高554億700万円(前期比8.6%増)▽営業利益19億6400万円(11.0%減)▽経常利益18億6800万円(15.7%減)▽純利益13億7700万円(14.2%減)――。主力品の人工腎臓用透析剤「キンダリー」や二次性副甲状腺機能亢進症治療薬「マキサカルシトール」が売り上げを伸ばしたが、売上原価率の上昇で利益を減らした。25年3月期は売上高570億円(2.9%増)、営業利益26億円(32.4%増)を見込んでいる。
JCRファーマ(2024年3月期、5月10日発表)
▽売上高428億7100万円(前期比24.8%増)▽営業利益75億3100万円(51.4%増)▽経常利益72億6400万円(34.1%増)▽純利益55億700万円(46.0%増)――。成長ホルモン製剤「グロウジェクト」(179億1300万円、46.1%増)やムコ多糖症2型治療薬「イズカーゴ」(51億7100万円、17.2%増)などが好調だった。25年3月期は売上高413億円(3.7%減)、営業利益54億円(28.3%減)を予想。受託製造の売り上げが減少し、研究開発費も増えることで減収減益となる見通し。
東邦HD(2024年3月期、5月10日発表)
売上高1兆4767億1200万円(前期比6.1%増)▽営業利益193億3100万円(18.1%増)▽経常利益217億8700万円(13.6%増)▽純利益206億5700万円(51.5%増)――。スペシャリティ領域を中心に取引卸を限定する製品の売り上げが伸び、一部メーカーの流通体制の変更も寄与した。25年3月期の業績予想は、売上高1兆4920億円(1.0%増)、営業利益182億円(5.9%減)。