4月に行われる2024年度薬価改定の内容が3月5日、告示されました。改定の概要をビジュアルを交えて詳報します。
関連記事:【ビジュアル解説】新薬創出加 314成分が薬価維持、市場拡大算定 23成分が薬価引き下げ【詳報・2024年度薬価改定1】
後発品企業指標、40社が「A区分」
後発医薬品の価格帯は、▽1価格帯が867成分▽2価格帯が209成分▽3価格帯が57成分▽4価格帯が7成分――。これとは別に、長期収載品の薬価引き下げルール(G1・G2)に関連して、市場から撤退予定のG1品目にかかわる後発品が▽1価格帯1成分▽2価格帯1成分▽3価格帯1成分――、市場から撤退予定のないG1品目とG2品目に関わる後発品が▽1価格帯366成分▽2価格帯166成分▽3価格帯18成分▽4価格帯2成分――となりました。
24年度の薬価制度改革では、後発医薬品の供給問題への対応策として、後発品メーカーの供給体制や供給実績をポイント化して評価(企業指標)し、それに基づいて薬価に差をつける仕組みが試行的に導入されます。
企業指標では、評価が高い上位20%の企業を「A区分」、評価が0ポイント未満の企業を「C区分」、それ以外を「B区分」に分類。24年度改定では、A区分の企業の品目のうち、「最初の後発品の薬価収載から5年以内」「安定確保医薬品AまたはBに該当」の要件を満たす品目について、現行の3価格帯より上の価格帯に集約することになっています。
24年度改定でA区分となった企業は40社、B区分は39社、C区分は111社。A区分とされた企業の品目で別価格帯に集約されるのは、78成分124品目となります。
基礎的医薬品、要件緩和で45成分が対象に
不採算品再算定は、原材料費の高騰や安定供給問題への対応として、乖離率7.0%を超えた品目を除いて企業から希望のあったすべての品目に特例的に適用。699成分1943品目で薬価が引き上げまたは維持されます。
医療現場で長期間にわたって広く使われている医薬品の安定供給を確保するために薬価を維持する基礎的医薬品は、424成分2121品目が対象(うち安定確保医薬品にかかわるものが13成分113品目)。不採算の品目や病原生物に対する医薬品が増え、対象品目数は23年度改定からほぼ倍増しました。
基礎的医薬品をめぐっては、24年度薬価制度改革で収載からの経過期間に関する要件が25年から15年に短縮されます。これによって、計45成分171品目(うち安定確保医薬品にかかわるものは5成分29品目)が対象に加わりました。
長期収載品の薬価引き下げ G1は127成分、G2は92成分
長期収載品の薬価引き下げでは、収載5年以上10年未満で後発品への置き換え率が80%未満の63成分134品目に「Z2」を適用。後発品への置き換え率が80%以上となった長期収載品の薬価を6年で後発品と同価格まで引き下げる「G1」は127成分318品目、後発品への置き換えが困難な長期収載品の薬価を10年で後発品の1.5倍まで引き下げる「G2」は92成分160品目が対象となりました。
G1の対象には、ヴィアトリス製薬の消炎鎮痛薬「セレコックス錠」や第一三共の認知症治療薬「メマリー錠/同OD錠」、住友ファーマとシオノギファーマのARB「アバプロ錠/イルベタン錠」、興和の高脂血症治療薬「リバロ錠/同OD錠」、大鵬薬品工業の抗がん剤「ティーエスワン配合OD錠/同カプセル」などが新たに加わりました。
長期収載品をめぐっては、最も高い後発品との差額の25%を患者の自己負担とする仕組みが今年10月に導入されます。このため24年度薬価制度では長期収載品の薬価引き下げルールについて変更が行われず、保険給付の見直しの影響を踏まえて次回以降の改定に向けて検討が続けられることになります。