IQVIAは11月17日、2023年7~9月の国内医療用医薬品市場が前年同期比4.9%増の2兆8935億円だったと発表した。製品別では、MSDの新型コロナウイルス感染症治療薬「ラゲブリオ」が売上高759億円でトップ。今年3月に一般流通を開始した塩野義製薬の同「ゾコーバ」は346億円を売り上げて5位にランクインした。
市場が前年同期を上回るのは10四半期連続。内訳を見ると▽病院(100床以上)1兆3516億円(前年同期比5.1%増)▽開業医5542億円(3.1%増)▽薬局その他9877億円(5.2%増)――だった。
トップ10にコロナ治療薬3製品
製品別売上高(薬価ベース)では、ラゲブリオが前年同期を999%以上上回る759億円を売り上げてトップ。2位は小野薬品工業の免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」(416億円、2.7%増)、3位はMSDの同「キイトルーダ」(406億円、24.7%増)だった。
4位はギリアド・サイエンシズの新型コロナ治療薬「ベクルリー」(354億円、10.6%減)。5位のゾコーバを含め、7月から9月にかけての感染者の増加を受けて3つの新型コロナ治療薬が上位10製品にランクインした。
ラゲブリオを除いて最も売り上げの伸びが大きかったのは、7位の免疫チェックポイント阻害薬「イミフィンジ」(アストラゼネカ)。昨年12月の胆道がん・肝細胞がんへの適応拡大が追い風となり、136.1%増の313億円を売り上げた。
全身性抗ウイルス剤が倍増、インフルエンザ流行も影響
薬効別の1位は4868億円(9.9%増)の「抗腫瘍剤」。2位は2030億円(129.0%増)の「全身性抗ウイルス剤」で、新型コロナ治療薬の伸長に加え、季節外れのインフルエンザの流行で「イナビル」「ゾフルーザ」「タミフル」の処方が例年に比べて多かったことも影響した。3位は1774億円(6.5%増)の「糖尿病治療剤」だった。
一方、「診断用検査試薬」は33.1%減の大幅なマイナス。新型コロナの感染症法上の分類が5類に変更され、検査に自己負担が発生するようになったことも影響したとみられる。