厚生労働省は6月16日、後発医薬品の薬価追補収載を官報告示した。初めて後発品が収載されるのは、高尿酸血症治療薬「フェブリク」や利尿薬「サムスカ」、高脂血症治療薬「ロトリガ」など12成分。17日付で収載される。
フェブリク、サムスカ、ロトリガなどにAG
今回、初めて後発品が収載されるのは、
▽高尿酸血症治療薬「フェブリク」(一般名・フェブキソスタット、製造販売元・帝人ファーマ)
▽利尿薬「サムスカ」(トルバプタン、大塚製薬)
▽抗がん剤「スプリセル」(ダサチニブ水和物、ブリストル・マイヤーズスクイブ)
▽抗がん剤「トレアキシン」(ベンダムスチン塩酸塩、シンバイオ製薬)
▽骨髄異形成症候群治療薬「ビダーザ」(アザシチジン、日本新薬)
▽がん疼痛・慢性疼痛治療薬「トラマール」(トラマドール塩酸塩、日本新薬)
▽骨粗鬆症治療薬「テリボン」(テリパラチド酢酸塩、旭化成ファーマ)
▽高脂血症治療薬「ロトリガ」(オメガ-3脂肪酸エチル、武田薬品工業)
▽不眠症治療薬「ロゼレム」(ラメルテオン、武田)
▽カルチニン欠乏症治療薬「エルカルチンFF」(レボカルニチン、大塚)
▽月経困難症治療薬「ヤーズ」(ドロスピレノン/エチニルエストラジオール、バイエル薬品)
――の12成分(エルカルチンFFは内用薬と注射薬をそれぞれ1成分として集計)。このうち、フェブリク、サムスカ、ロトリガ、ロゼレムにはオーソライズド・ジェネリック(AG)が収載される。
ロゼレムはAGのみ収載
フェブリクは2022年3月期に388億円を売り上げた帝人ファーマの最主力品。後発品は13社50品目が収載され、第一三共エスファのAGも含まれる。
サムスカには5社5品目が参入。大塚製薬工場のAGも収載される。同薬の21年12月期の売上高は730億円。先発品は▽心不全における体液貯留▽肝硬変における体液貯留▽抗利尿ホルモン不適合分泌症候群における低ナトリウム▽血症常染色体優性多発性のう胞腎――の適応を持つが、このうち後発品は肝硬変における体液貯留のみとなる。大塚は同薬の22年12月期の売上高を630億円(前期比13.7%減)と見込んでいる。
ロトリガ(22年3月期売上高327億円)とロゼレム(同117億円)には、武田テバファーマがAGを投入する。今回収載されるロゼレムの後発品はAGのみで、ロトリガにはAGを含め5社5品目が参入する。後発品参入により、23年3月期の売上高はロトリガが130億円(60.2%減)、ロゼレムが80億円(31.6%減)まで落ち込む見込みだ。
特許係争のテリボン、沢井が収載へ
22年3月期に183億円を売り上げたビダーザには3社5品目が参入する。日本新薬はグループ会社のシオエ製薬を通じてAGの承認を取得しているが、6月追補では収載されなかった。日本新薬は23年3月期のビダーザの売り上げを前期比32.4%減の124億円と予想している。
テリボンの後発品は沢井製薬の1品目のみが収載される。旭化成ファーマは4月、沢井を相手取り特許侵害訴訟を起こした。トレアキシンとヤーズ配合錠も参入は1社のみで、それぞれ東和薬品とあすか製薬の製品が薬価収載される。