小野、22年通期予想を下方修正…「オプジーボ」薬価引き下げを受け
小野薬品工業は5月13日、11日に公表した2022年3月期の業績予想を修正したと発表した。修正後の予想は、売上収益3450億円(従来予想比50億円減)、営業利益1030億円(20億円減)。12日の中央社会保険医療協議会(中医協)で、主力の免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」の薬価が8月に11.5%引き下げられることが決まったのを受け、同薬の売り上げ予想を1200億円から1100億円に修正。その他の主要製品の売上高予想を上方修正した。
日医工 業績予想を下方修正、営業利益は1億円
日医工は5月13日、2021年3月期の業績予想を下方修正したと発表した。修正後の業績予想は、売上収益1880億円(従来予想比20億円減)、コア営業利益9億円(21億円減)。今年2月に日医工岐阜工場を子会社化したことによるプラスの影響があったものの、製造委託先の生産・出荷停止や自主回収、行政処分の影響で計画を下回る。無形資産の減損損失や棚卸資産評価損を計上したことで、従来「未定」としていた営業利益は1億円となる見込み。
第一三共 代表取締役に日本事業ユニット長の木村氏
第一三共は5月13日、新代表取締役に日本事業ユニット長の木村悟取締役専務執行役員が就任する人事を発表した。任期満了に伴う異動で、現在、代表取締役を務めている齋寿明副社長は顧問に就く。異動は6月21日付。同日の株主総会とその後の取締役会を経て正式決定する。木村氏は1981年に同社に入社。営業本部長などを経て、今年4月から現職。63歳。
第一三共「タリージェ」中枢性神経障害性疼痛に適応拡大申請
第一三共は5月13日、疼痛治療薬「タリージェ」(一般名・ミロガバリン)について、中枢性神経障害性疼痛への適応拡大を申請したと発表した。同薬は第一三共が創製。19年に末梢性神経障害性疼痛の適応で発売した。
アステラス 大学発シーズの社会実装へ京都iCAPと連携
アステラス製薬は5月13日、京都大学イノベーションキャピタル(京都iCAP)と戦略的連携協定を結んだと発表した。協定に基づき両者は、相互に情報や意見を交換する体制を整備。国立大発シーズの発掘やベンチャー企業の支援・育成を通じ、大学の研究成果の社会実装を推進する。アステラスは今年1月にも、京都iCAPの運営するファンドに出資している。
ファイザー 患者・一般向けにバイオシミラー情報サイト開設
ファイザーは5月13日、患者や一般生活者を対象にバイオシミラーに関する情報を提供するサイト「バイオシミラー.jp」を開設したと発表した。今年3月の中医協で報告された2021年度診療報酬改定の結果検証に関する特別調査で、バイオシミラーの認知度が1割程度にとどまったことを受け、バイオシミラーの理解促進を図る。
武田 血友病などで患者サポートプログラムを開始
武田薬品工業は5月13日、患者サポートプログラム「TOMO」を開始したと発表した。プログラムでは、専任の看護師が薬剤や社会保障制度に関する情報を提供したり、自己注射を支援したりして、患者の治療や生活を支援する。まずは血友病A治療薬「アドベイト」「アディノベイト」と遺伝性血管性浮腫治療薬「フィラジル」を使用する患者を対象に開始し、今後、対象製品の拡大を検討する。
シミック バイオ医薬品CDMOで台湾団体と連携
シミックホールディングス(HD)は5月13日、台湾の非営利団体「ディベロップメント・センター・フォー・バイオテクノロジー(DCB)」と協働することで基本合意書を結んだと発表した。シミックはDCBが開発したCHO-C細胞株プラットフォーム導入し、バイオ医薬品のCDMO事業を展開。DCB傘下企業が管理するベンチャーキャピタルファンドとの協業も検討する。
エクサウィザーズ、粉体秤量を自動化するAIを開発…ツムラが試験導入
エクサウィザーズは5月13日、粉体製造業現場の秤量作業を自動化するAIシステムを開発し、ツムラが漢方薬の品質試験作業に試験導入したと発表した。秤量を自動化する際、従来は粉体の特性ごとに専用の機械を開発する必要があったが、同システムを使えば、特性の異なる粉体の秤量を行えるという。129種類の漢方薬を取り扱うツムラは、システムの導入で品質試験を効率化。22年度には漢方薬生産施設への導入を目指す。
FRONTEO 電子カルテ情報もとに診断・診療支援、ソリューションの提供を開始
FRONTEOは5月13日、電子カルテなどの医療情報をもとに潜在疾患のスクリーニングや予後予測、診断・診療支援などを行うソリューションの提供を始めたと発表した。電子カルテのテキスト情報をもとに、見落とされがちな患者の心理的側面を解析することで、診療効率や患者満足度の向上を目指す。
サワイ PHRシステムの普及でインテグリティ・ヘルスケアと連携
サワイグループホールディングス(HD)は5月12日、インテグリティ・ヘルスケアとPHR(パーソナルヘルスレコード)事業で協業を始めたと発表した。取り組みでは、インテグリティ・ヘルスケアが今年3月にリリースしたPHR管理システム「Smart One Health」を、沢井製薬ブランドとしてOEM提供し、沢井のアプリや健康サイトと連携。沢井の営業網を活用し、医療機関でのPHR利用を推進する。将来的には、企業や健康保険組合、自治体へのソリューション提供も視野に入れている。
決算
旭化成(2021年3月期、5月13日発表)
ヘルスケアセグメントは、売上高4079億円(前期比20.8%増)、営業利益676億円(55.4%増)。人工呼吸器の需要が大きく伸び、昨年3月に買収した米ベロキシスも寄与した。医薬事業の売上高は811億円(27.7%増)。主力の骨粗鬆症治療薬「テリボン」の売上高は310億円で、前年から12.7%伸びた。22年3月期のヘルスケアセグメントの業績予想は、売上高4000億円(1.9%減)、営業利益550億円(18.6%減)。人工呼吸器の需要が一段落することで減収減益となる。
JCRファーマ(2021年3月期、5月13日発表)
売上高300億8500万円(前期比21.4%増)、営業利益82億6900万円(154.9%増)。ヒト成長ホルモン製剤「グロウジェクト」(132億5600万円、4.8%増)や腎性貧血治療薬が好調で、売り上げ、営業利益とも過去最高を更新した。22年3月期の業績予想は、売上高490億円(62.9%増)、営業利益187億円(126.1%増)。ハンター症候群治療薬「イズカーゴ」の発売や、アストラゼネカの新型コロナウイルスワクチン原液の製造受託などで大幅な増収増益を見込む。
生化学工業(2021年3月期、5月13日発表)
売上高276億6200万円(前期比3.4%減)、営業利益15億3000万円(21.9%減)。昨年3月にカナダ・ダルトンを子会社化した増収要因があったものの、薬価改定や新型コロナウイルスによる受診抑制により、医薬品事業は12.1%減の120億1900万円となった。利益面では、腰椎椎間板ヘルニア治療薬の米国での追加臨床試験に伴う費用の増加が響いた。22年3月期は、関節機能改善薬「ジョイクル」の発売などで、売上高322億円(16.1%増)、営業利益45億5000万円(102.3%増)を見込む。
メディパルHD(2021年3月期、5月13日発表)
売上高3兆2111億2500万円(前期比1.3%減)、営業利益385億7600万円(27.4%減)。本業の医療用医薬品等卸売事業は、売上高2兆1124億5500万円(1.4%減)、営業利益105億2200万円(59.6%減)。薬価改定に加え、新型コロナによる受診抑制や手術件数の減少が影響した。22年3月期は、売上高3兆2290億円、営業利益430億円を予想する。