IQVIAは2月18日、2019年の国内医療用医薬品市場が前年比2.8%増の10兆6256億3100万円となったと発表した。国内市場が暦年で前年を上回るのは3年ぶり。10月に消費増税に伴う薬価改定(平均で2.4%引き下げ)があったものの、抗がん剤などの販売拡大が市場全体を押し上げた。製品別ではMSDの免疫チェックポイント阻害薬「キイトルーダ」がトップだった。
開業医市場と薬局市場が4年ぶりに増加
国内市場が暦年で10兆円を上回ったのは5年連続。市場の内訳を見ると、▽病院(100床以上)4兆7471億5000万円(前年比4.6%増)▽開業医(100床未満)2兆1378億8700万円(1.1%増)▽薬局その他3兆7405億9300万円(1.6%増)――。開業医と薬局は4年ぶりに前年を上回った。
薬効分類別では「抗腫瘍剤」が1兆4042億2200万円(17.0%増)でトップ。2位は「糖尿病治療剤」(5768億6800万円、5.0%増)、3位は「抗血栓症薬」(4417億1500万円、3.2%増)だった。
19年10~12月期の市場は2兆8202億2300万円(前年同期比0.6%増)。19年は4~6月が2.3%増、7~9月が8.9%増と堅調に推移していたが、薬価改定の影響で成長は鈍化した。
キイトルーダが初の年間トップ
製品別では、MSDの免疫チェックポイント阻害薬「キイトルーダ」が前年比64.3%増となる1284億400万円を売り上げて初の年間トップとなった。2位は中外製薬の抗がん剤「アバスチン」(1180億300万円、0.4%増)、3位はファイザーの疼痛治療薬「リリカ」(1014億6200万円、2.9%増)だった。
抗がん剤「タグリッソ」(アストラゼネカ)や抗凝固薬「リクシアナ」(第一三共)、利尿薬「サムスカ」(大塚製薬)などが大きく伸びた一方、小野薬品工業の免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」は982億8600万円(7.5%減)で上位10製品では唯一前年割れとなった。
販売会社は武田がトップ
販売会社レベル(卸に製品を販売し、その代金を回収する機能を持つ企業)では武田薬品工業がトップ。2位は第一三共、3位はファイザーと上位3社は前年と同じで、4位には順位を1つ上げた中外製薬がランクイン。アストラゼネカは売り上げを6割伸ばし、前年のトップ20圏外から13位に食い込んだ。
販促会社レベル(MRによる学術宣伝を通じて販促活動を行っている企業。2社以上ある場合はよりオリジネーターに近い企業)では、ファイザーが首位。2位は中外製薬で、前年4位だった武田薬品工業が3位に入った。