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【再生医療・体外診断薬】先駆け審査指定制度、対象品目の一覧と開発状況まとめ

世界に先駆けて日本で承認申請を目指す医薬品・医療機器・体外診断用医薬品・再生医療等製品の審査期間を短縮する「先駆け審査指定制度」。2015年の制度創設以来、再生医療等製品では11品目、体外診断用医薬品では2品目が指定を受け、それぞれ1品目が承認を取得しています。再生医療等製品と体外診断用医薬品の対象品目の開発状況をまとめました。

 

再生医療等製品は11品目、体外診断用医薬品は2品目が指定

先駆け審査指定制度とは、世界に先駆けて日本で申請を目指す画期的な医薬品、医療機器、再生医療等製品、体外診断用医薬品を承認審査で優遇する制度。2015年に「試行的実施」という形で制度が創設されました。

 

対象品目には優先審査が適用される上、医薬品医療機器総合機構(PMDA)による事前評価で実質的に審査を前倒し。厚生労働省は、対象品目の審査期間の目標を6カ月に設定しています。

 

それぞれ1品目が承認

対象となるのは、▽医療機器では新規原理、体外診断用医薬品では新規原理/新規測定項目、再生医療等製品では新規作用機序を持つ▽対象疾患が重篤である▽対象疾患に対して極めて高い有効性がある▽世界に先駆けて日本で早期開発・申請する意思があり、申請できる体制がある――を満たすもの。企業からの応募をもとに厚労省が選定します。

 

これまでに4回の公募(5回目の公募は2019年10月1日から実施中)で、再生医療等製品は11品目、体外診断用医薬品は2品目が選ばれ、このうち19年10月28日現在でそれぞれ1品目が承認を取得。再生医療等製品で1品目が申請中です。

 

【再生医療等製品】ステミラックが承認、SMA遺伝子治療薬が申請中

再生医療等製品の先駆け審査指定制度対象品目では、ニプロの「ステミラック」が18年12月に承認を取得。適応症は「脊髄損傷に伴う神経症候および機能障害の改善」で、患者から採取した髄液中の間葉系幹細胞を培養・増殖し、点滴で静脈内投与します。承認は7年間

の条件・期限付き。ニプロはこの期間中に本承認に向けたデータを収集します。

 

申請中なのは、ノバルティスファーマの脊髄性筋萎縮症(SMA)に対する遺伝子治療薬「AVXS-101」。18年11月に申請したものの、審査が長引いており、目標の6カ月を過ぎた今も承認に至っていません。

 

SMAは、運動ニューロンの正常な機能を維持するのに必要なSMNタンパク質をつくるSMN遺伝子の変異が引き起こす難病。AVXS-101はSMN遺伝子を主成分とし、SMNタンパク質の産生を誘導することで神経や筋骨格の機能を改善します。米国では「ゾルゲンスマ」の製品名で19年5月に承認され、1回2億円を超える価格がついたことで話題となりました。日本でも高薬価となることが予想されています。

 

【再生医療等製品】先駆け審査指定制度の対象品目と開発状況(2019年10月28日現在)(製品名/開発コード(分類)/対象疾患/開発段階(P1・P2・P3・申請・承認)):【指定1】ステミラック(自家骨髄間葉系幹細胞)/ニプロ/脊髄損傷に伴う神経症候・機能傷害の改善/申請18年6月・承認18年12月、G47Δ/DS-1647(腫瘍溶解性ウイルス)/第一三共/悪性神経膠腫/P2、JRM-001(自家心臓内幹細胞)/日本再生医療/小児先天性心疾患/P3、【指定2】CLS2702C/D(口腔内粘膜由来食道細胞シート)/セルシード/食道がんにおける広範囲内視鏡的粘膜下層剥離術後の狭窄抑制・再上皮化までの日数短縮/P3、―(他家iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞)/大日本住友製薬/パーキンソン病/※P1/P2、HLCM051(骨髄由来多能性前駆細胞)/ヘリオス/急性期の脳梗塞/※P2/P3、【指定3】TBI-1031(NY-ESO-1・siTCR療法)/大塚製薬/滑膜肉腫/※P1/P2、CLBS12(CD34陽性細胞/カラドリウスバイオサイエンシズ/重症下肢虚血/P2、AVXS-101(SMN遺伝子治療薬)/ノバルティスファーマ/脊髄性筋萎縮症/申請18年11月、【指定4】OBP-301(腫瘍溶解性ウイルス)/中外製薬/食道がん/P1、SB623(他家骨髄間葉系幹細胞)/サンバイオ/外傷性脳損傷における運動障害の改善/P2、※指定の数字は回(第1回16年2月10日/第2回17年2月28日/第3回18年3月27日/第4回19年4月8日)PMDAの資料と各社のパイプライン、臨床試験登録情報をもとに作成

 

サンバイオのSB623など申請間近

先駆け指定を受けている再生医療等製品のうち承認申請が近づいているのは、サンバイオの他家骨髄由来間葉系幹細胞「SB623」、第一三共の腫瘍溶解性ウイルス「G47Δ/DS-1647」、セルシードの食道細胞シート「CLS2702C/D」など。

 

SB623は外傷性脳損傷の適応で2020年1月期に申請を行う方針です。G47Δ/DS-1647は、がん治療用に遺伝子改変を施した単純ヘルペスウイルス1型で、東京大の藤堂具紀教授らの研究グループが膠芽腫を対象に行った医師主導臨床第2相(P2)試験で高い有効性を確認。第一三共は2020年の承認取得を目指しています。

 

「CLS2702C/D」は、患者の口腔粘膜から採取した上皮細胞を培養した細胞シート。食道がんの治療で行われる広範囲内視鏡的粘膜下層剥離術のあとに起こる食道の狭窄を抑制したり、再上皮化までの日数を短縮したりする目的で使います。現在、P3試験を行っており、セルシードは2022年に申請する方針です。

 

大日本住友製薬のパーキンソン病向けiPS細胞由来細胞医薬は2022年度の発売が目標。腫瘍溶解性ウイルス「OPB-301」(テロメライシン)は、ライセンス契約によって開発がオンコリスバイオファーマから中外製薬に移りました。

 

【体外診断薬】がん遺伝子パネル検査「OncoGuide」が承認

体外用診断薬では、先駆け審査指定制度の指定を受けている2品目のうち、シスメックスのがん遺伝子パネル検査「OncoGuide NCC オンコパネルシステム」が18年12月に承認を取得しました。がん遺伝子パネル検査は、がん関連遺伝子の変異を一括して検査するもので、OncoGuideは114のがん関連遺伝子の検査が可能。国立がん研究センターと共同開発し、19年6月に保険適用されました。

 

先駆け指定を受けているもう1つの体外用診断薬は、東レが開発を進める膵臓・胆道がん検査キット「MI-004」。血液中のマイクロRNAの発現パターンを解析することによって膵臓がんと胆道がんの診断を補助する検査システムで、ごくわずかな血液から高い精度でがんを見つけ出すことが可能といいます。現在、早期の申請を目指して臨床性能試験を実施中です。

 

【体外診断用医薬品】先駆け審査指定制度の対象品目と開発状況(2019年10月28日現在 						 )(品名/社名/概要/開発段階(試験・申請・承認)):【指定2】OncoGuide NCC(オンコパネルシステム)/シスメックス/がん遺伝子パネル検査/申請18年6月・承認18年12月、【指定4】MI-004/東レ/膵臓・胆道がん検査キット/P1、※指定の数字は回(第2回17年2月28日/第4回19年4月8日)PMDAの資料と各社の発表などをもとに作成

 

【医療機器】9品目が指定「チタンブリッジ」が承認

医療機器では9品目が先駆け審査指定制度の対象品目に指定。このうち、ノーベルファーマの「チタンブリッジ」が17年12月に承認を取得しています。

 

チタンブリッジは、発声時に声帯が過剰に閉鎖することで声に障害が出る「内転型痙攣性発声障害」に対する手術(甲状軟骨形成術2型)に使うチタン製の蝶番型プレート。医薬品や再生医療等製品、体外診断用医薬品も含め、先駆け指定品目の承認取得第1号となりました。

 

チタンブリッジのほかに医療機器で先駆け指定を受けているのは、▽ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)に用いる中性子線照射装置(住友重機械工業)▽心・血管修復パッチ(帝人)▽マイクロ波マンモグラフィ(Integral Geometry Science)――など。BNCT用中性子線照射装置は、ステラファーマのホウ素剤「SPM-011」とともに指定を受けており、SPM-011は19年10月に同社が申請を行いました。

 

(前田雄樹)

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