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国内製薬会社 重要度増す海外事業―業績支えるグローバル製品 最近の動向は

国内の主要製薬会社12社の海外売上高比率は2017年度、50.0%に達し、前年度から3.0ポイント上昇しました。国内市場が停滞する中、重要度を増す海外事業。各社の業績を支えるグローバル製品の動向を中心に、各社の直近の動きをまとめました。

 

主要12社 海外売上高比率は50.0%に

AnswersNewsが2018年3月期を中心に国内製薬各社の直近の業績を集計したところ、主要12社の海外売上高比率は前年度から10.2%増加しました。ARBオルメサルタンの特許切れが響いた第一三共を除けば軒並み増収で、小野薬品工業や中外製薬、大日本住友製薬など12社中8社が2ケタ増収となりました。

国内主要製薬会社の海外売上高比率の推移の表。武田薬品工業<海外売上高比率>16年度:62.2パーセント、17年度:67.2パーセント。<17年度海外売上高>1,190,100百万円。アステラス製薬<海外売上高比率>16年度:63.3パーセント、17年度:67.6パーセント。<17年度海外売上高>879,100百万円。大塚HD<海外売上高比率>16年度:47.8パーセント、17年度:48.5パーセント。<17年度海外売上高>601,300百万円。第一三共<海外売上高比率>16年度:39.1パーセント、17年度:35.6パーセント。<17年度海外売上高>341,800百万円。エーザイ<海外売上高比率>16年度:45.2パーセント、17年度:49.6パーセント。<17年度海外売上高>297,600百万円。大日本住友製薬<海外売上高比率>16年度:55.3パーセント、17年度:60.3パーセント。<17年度海外売上高>281,400百万円。塩野義製薬<海外売上高比率>16年度:42.8パーセント、17年度:51.8パーセント。<17年度海外売上高>178,600百万円。中外製薬<海外売上高比率>16年度:19.6パーセント、17年度:23.1パーセント。<17年度海外売上高>123,300百万円。田辺三菱製薬<海外売上高比率>16年度:24.4パーセント、17年度:26.0パーセント。<17年度海外売上高>112,900百万円。協和発酵キリン<海外売上高比率>16年度:28.1パーセント、17年度:31.8パーセント。<17年度海外売上高>31.8百万円。参天製薬<海外売上高比率>16年度:27.0パーセント、17年度:29.5パーセント。<17年度海外売上高>66,289百万円。小野薬品工業<海外売上高比率>16年度:12.6パーセント、17年度:22.1パーセント。<17年度海外売上高>57,800百万円。

海外事業は好調な反面、国内市場は低調です。

 

IQVIAによると、2017年度の国内医療用医薬品市場は前年度比0.8%増と、薬価改定のない年としては異例の低成長となりました。主要12社では、国内医療用医薬品の売上高は前年度比1.0%のマイナス。海外事業の比重は高まっており、12社の海外売上高比率は50.0%と前年度から3.0ポイント上昇しました。

 

エンティビオが2000億円突破 イクスタンジは今期3000億円に

好調な海外事業を支えるのが、各社が主力とするグローバル製品です。

 

海外売上高比率が前年度比5.0ポイント増の67.2%に達した武田薬品工業は、潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬「エンティビオ」が2014億円(前年度比40.6%増)に成長。クリストフ・ウェバー社長がかねてから公言していた「18年度に20億ドル」の目標をおおむねクリアしました。抗精神病薬「トリンテリックス」や多発性骨髄腫治療薬「ニンラーロ」も50%を超える伸びを示しており、こうした新製品群が海外事業を牽引しています。

 

イクスタンジ 将来は5000億円規模

海外売上高比率が67.6%で国内トップのアステラス製薬は、抗がん剤「イクスタンジ」が好調です。17年度は16.8%増の2943億円を売り上げ、18年度は3000億円を突破する見通し。5月に発表した中期経営計画では、適応拡大を通じて将来的に4000~5000億円規模の製品に育てる方針を示しました。

 

17年度に海外売上高比率が初めて60%を超えた大日本住友製薬は、抗精神病薬「ラツーダ」が1786億円(31.4%増)に拡大。抗精神病薬「エビリファイ」の特許切れに苦しんだ大塚ホールディングスは、同剤の持続性注射剤「エビリファイメンテナ」や後継品の「レキサルティ」、利尿薬「サムスカ」など新製品がバランスよく伸びています。

 

エーザイは抗がん剤「レンビマ」が前年比50.2%増と大きく伸びました。18年度は米国での肝細胞がんへの適応拡大などで81.7%増の585億円を見込みます。

国内製薬会社の主なグローバル製品の売上高(17年度)の表。▼武田薬品工業<エンティピオ>:売上高2,014億円。<ベルケイド>:売上高1,373億円。<トリンテリックス>:売上高484億円。<ニンラーロ>:売上高464億円。<アドセトリス>:売上高385億円。▼アステラス製薬<イクスタンジ>:売上高2,943億円。<プログラフ>:売上高1,985億円。<ベシケア>:売上高1,023億円。▼大塚HD<エビリファイメンテナ>:売上高709億円。<サムスカ>:売上高642億円。<レキサルティ>:売上高473億円。<ロンサーフ>:売上高326億円。▼第一三共<オルメテック>:売上高1,497億円。<リクシアナ>:売上高771億円。<エフィエント>:売上高328億円。▼エーザイ<ハラヴェン>:売上高399億円。<レンビマ>:売上高322億円。<フィコンバ>:売上高147億円。▼大日本住友製薬<ラツーダ>:売上高1,786億円。▼中外製薬<アクテムラ>:売上高609億円。<アレセンサ>:売上高139億円。▼田辺三菱製薬<ラジカヴァ>:売上高123億円。

 

小野薬品 オプジーボのロイヤリティが1.5倍に

主要12社の中で海外売上高の伸びが87.7%増と最も大きかった小野薬品工業は、海外売上高578億円の大半がロイヤリティ収入。ロイヤリティ収入は17年度、前年度比83.3%増の559億円に達し、このうち398億円が米ブリストル・マイヤーズスクイブから支払われる免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」関連です。

 

抗HIV薬「テビケイ」「トリーメク」のロイヤリティ収入が伸びる塩野義製薬は、海外売上高比率が初めて50%を突破しました。ロイヤリティ収入は計1550億円で前年度から34.0%伸び、売上高全体に占める割合は45%に達しました。

国内製薬各社のロイヤリティー収入(17年度)の表。▼塩野義製薬<HIV>1,035億円、<クレストール>226億円。▼田辺三菱製薬<ジレニア>577億円、<インヴォカナ>139億円。▼小野薬品工業<オプジーボ>398億円。日本新薬は、海外での権利をスイス・アクテリオンに導出した肺動脈性肺高血圧症治療薬「ウプトラビ」が好調です。同剤のロイヤリティを含む工業所有権等収益は前年度比40.1%増の104億円に拡大。18年度は155億円を見込みます。アクテリオンは17年に米ジョンソン・エンド・ジョンが買収されており、同社の強力な販売力によってウプトラビもさらなる成長が期待されています。

 

海外事業の強化急ぐ

IQVIAが今年3月に発表した医薬品の世界市場の予測によると、日本は18~22年の5年間の年平均成長率が先進国で唯一マイナス成長になるとされました。新薬創出加算の縮小など薬価制度で市場環境が厳しくなる中、各社は海外事業の強化を急いでいます。

 

武田薬品工業は5月にアイルランド・シャイアーを約6兆8000億円で買収することで合意。買収が成立すれば、武田薬品の海外売上高比率は8割まで上がり、売上高の約半分を米国で稼ぐ会社に生まれ変わります。

 

田辺三菱 ラジカヴァが順調な立ち上がり

田辺三菱製薬は昨年8月に米国で筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療薬「ラジカヴァ」を発売し、米国での自社販売に乗り出しました。ラジカヴァは17年度に123億円を販売。欧州でも申請中で、18年度は315億円の売り上げを見込んでいます。昨年10月のイスラエル・ニューロダームの買収で獲得したパーキンソン病治療薬も投入し、20年度までに米国売上高を800億円に引き上げることを目指します。

 

協和発酵キリンも今年に入り、大型化を見込むX染色体遺伝性低リン血症(XLH)治療薬「クリスヴィータ」の承認を欧米で取得。米国では5月に販売を開始しました。

 

昨年は後発医薬品大手の日医工や沢井製薬も買収によって米国市場に進出しました。国内市場の環境悪化を受けて、各社は事業の軸足を海外に移しています。その動きは、もはや大手新薬メーカーだけにとどまりません。

 

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