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【NDBオープンデータを読む|高血圧】ARBトップは「オルメテック」 アムロジピンGEは東和が圧勝

更新日

厚生労働省が10月、初めて公開した「レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)」のオープンデータ。薬効分類別の処方数上位30製品が公開された薬剤データは、医薬品市場を丸裸にするものとして注目を集めています。

 

NDBオープンデータから医薬品市場にフォーカスするこのシリーズ。今回取り上げるのは、国内患者数が1000万人を超える高血圧です。第一選択薬として広く使われるARBとカルシウム拮抗薬を中心に、高血圧症治療薬市場の姿を見ていきます(ランキング表の処方金額は編集部算出)。

 

 

【血圧降下剤】ARBが上位独占 配合剤はエックスフォージがトップ

 

血圧降下剤処方数ランキング

 

ARBやACE阻害薬などが含まれる「血圧降下剤」のカテゴリで、院外処方/院内処方ともに処方数トップとなったのは、第一三共のARB「オルメテック20mg」。院内/院外を合わせた外来で計5億1122万錠が処方され、処方金額は630億円に上りました。

 

2位は院外/院内ともアステラス製薬のARB「ミカルディス40mg」で、処方数は計4億740万錠、処方金額は509億円。3位は武田薬品工業(現在は武田テバ薬品に移管)のARB「ブロプレス4mg」(計3億403万錠、計212億円)、4位は「ブロプレス8mg」(計2億8022万錠、計380億円)、5位はノバルティスファーマのARB「ディオバン80mg」(計2億5308万錠、276億円)でした。

 

ARBを含む配合剤では、ノバルティスの「エックスフォージ」が院外/院内ともトップ。2位以下は、院外では「ミカムロAP」「ユニシアHD」「レザルタスHD」「プレミネントLD」と続く一方、院内では「レザルタスHD」と「プレミネントLD」の順位が逆転しています。

 

ARBがランキング上位を独占する結果となりましたが、科研製薬のα遮断薬「エブランチル」や大日本住友製薬の利尿薬「ナトリックス」、MSDのACE阻害薬「レニベース」など、1980年代に発売された医薬品も根強く処方されています。年齢別のデータを見ると、こうした薬剤は年齢の高い患者ほど処方されやすい傾向にありました。

 

ARB市場では近年、「ブロプレス」や「ディオバン」に後発医薬品が参入し、「オルメテック」や「ミカルディス」も特許切れが近付くなど、変化の激しい時期にあります。今回のデータは2014年度(14年4月~15年3月)のものですが、15年度以降のデータでは順位や顔ぶれが大きく入れ替わることが予想されます。

 

【血管拡張剤】院外処方トップはノルバスク 東和のGEが3位に

 血管拡張剤処方数ランキング

 

ARBと並んで高血圧の治療に広く使われるカルシウム拮抗薬などを含む「血管拡張剤」でトップとなったのは、院外処方がファイザーのCa拮抗薬「ノルバスク5mg」(1億8360万錠)、院内処方が「ノルバスクOD錠5mg」(9974万錠)でした。

 

「ノルバスク5mg」は院内でも2位(9326万錠、院外/院内計151億円)、「ノルバスクOD錠5mg」は院外で4位(1億2736万錠、院外/院内計124億円)にランクインしています。

 

ノルバスクと同じ成分(アムロジピン)の「アムロジン」(大日本住友製薬)は、5mg錠が院外で10位(7217万錠)、院内で7位(3726万錠、院外/院内計58億円)、OD錠5mgが院外/院内とも5位(院外1億2560万錠、院内6906万錠、計104億円)。

 

院外/院内を合わせて見てみると、「ノルバスク」の5mgは普通錠の方が処方数が多いのに対し、「アムロジン」の5mgはOD錠の方が多いのは興味深いところです。

 

「ノルバスク」「アムロジン」には2008年7月に後発医薬品が発売され、処方数ランキングにも多くの後発品がランクインしています。中でも目を見張るのが、東和薬品の「アムロジピンOD錠5mg『トーワ』」。院外では1万2770錠とブランド品を上回る処方数を叩き出して3位に入り、競合他社を圧倒している状況が明らかになりました。

 

【NDBオープンデータとは】
厚生労働省がレセプトや特定健診などの情報を収集・格納している「レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB=ナショナルデータベース)」のデータの一部を、誰でも自由に利用できるよう単純な集計表として公開したもの。10月に初めて公表された第1回オープンデータの集計対象は、2014年4月~15年3月のレセプト約18億800万枚。薬剤に関するデータは、「内用」「外用」「注射」のそれぞれについて、「外来院外」「外来院内」「入院」ごとに、薬効別に処方数上位30品目を集計。「性別年齢別」「都道府県別」の集計表が公開されている。

 

AnswersNews編集部が製薬企業をレポート

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