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【UPDATE】免疫チェックポイント阻害薬、抗PD-1/PD-L1/CTLA-4抗体 最新の国内開発状況まとめ

がん治療の新たな潮流となった免疫チェックポイント阻害薬。急速に開かれていく新市場をめぐり、開発競争が繰り広げられています。

 

免疫チェックポイント阻害薬は、その作用機序からさまざまがん種で効果が期待されるだけに、多くの開発プログラムが進行しています。日本国内での最新の開発状況を整理しました。

 

「CTLA-4」「PD-1」「PD-L1」9品目が開発中

現在、国内で販売されている免疫チェックポイント阻害薬は▽抗PD-1抗体▽抗PD-L1抗体▽抗CTLA-4抗体――の3種類。販売中の6つの薬剤で適応拡大に向けた臨床試験が活発に行われているほか、3つの薬剤が新規成分として開発中です。

 

抗PD-1抗体と抗PD-L1抗体、抗CTLA-4抗体の作用機序を簡単に見ていきます。

 

免疫チェックポイント阻害薬1-5

 

がん細胞は、免疫細胞からの攻撃を逃れるためにPD-L1というタンパク質を出し、これが免疫細胞のPD-1に結合すると、免疫細胞の働きが抑制されます。抗PD-1抗体は免疫細胞のPD-1に結合し、PD-L1との結合を阻害。抗PD-L1抗体は、がん細胞が出すPD-L1に結合し、PD-1との結合を阻害します。

 

小野薬品工業/米ブリストル・マイヤーズスクイブの「オプジーボ」(ニボルマブ)や米メルク(MSD)の「キイトルーダ」(ペムブロリズマブ)は抗PD-1抗体。独メルク/米ファイザーの「バベンチオ」(アベルマブ)と、スイス・ロシュ/中外製薬の「テセントリク」(アテゾリズマブ)、英アストラゼネカの「イミフィンジ」(デュルバルマブ)は抗PD-L1抗体です。

 

一方、抗CTLA-4抗体は、免疫細胞表面のCTLA-4というタンパク質を標的とした抗体医薬です。

 

免疫細胞は、抗原提示細胞である樹状細胞からがん抗原の提示を受けると働きが活発になり、それを目印にがん細胞を攻撃します。ところが、抗原提示を受ける際、免疫細胞のCTLA-4に樹状細胞のB7というタンパク質が結合すると、逆に免疫細胞の働きが抑制され、がん細胞を攻撃できなくなります。そこで、CTLA-4に結合してB7との結合を防ぐのが抗CTLA-4抗体。ブリストル・マイヤーズの「ヤーボイ」(イピリムマブ)がこれにあたります。

 

国内で開発中の免疫チェックポイント阻害薬(抗CTLA-4/PD-1/PD-L1抗体)

 

【小野/ブリストル】抗PD-1抗体オプジーボ(ニボルマブ)/抗CTLA-4抗体ヤーボイ(イピリムマブ)

 

抗PD-1抗体「オプジーボ」(ニボルマブ)の開発状況

 

腫瘍免疫の領域で幅広い提携を結ぶ小野薬品工業と米ブリストル・マイヤーズスクイブ。2014年9月には小野薬品が「オプジーボ」を悪性黒色腫の適応で世界に先駆けて発売。翌15年8月にはブリストルが「ヤーボイ」を同じ適応で発売し、国内の免疫チェックポイント阻害薬市場をリードしてきました。

 

「オプジーボ」はこれまでに、▽悪性黒色腫(14年7月)▽非小細胞肺がん(15年12月)▽腎細胞がん(16年8月)▽古典的ホジキンリンパ腫(同年12月)▽頭頸部がん(17年4月)▽胃がん(同年9月)▽悪性胸膜中皮腫(18年8月)――で承認。悪性黒色腫では、術後補助療法の承認も取得しています。

 

このほか、▽高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸がん(19年3月)▽食道がん(同年5月)――への適応拡大を申請中。小細胞肺がんや肝細胞がんなどで臨床第3相(P3)試験が行われています。

 

「オプジーボ」と「ヤーボイ」の併用療法では、18年5月に悪性黒色腫の適応で承認を取得。18年8月には腎細胞がんの適応でも承認されました。このほか、非小細胞肺がんなど7つの適応でP3試験が行われています。

 

「オプジーボ」と「ヤーボイ」の併用療法の開発状況

 

オプジーボやヤーボイ以外にも、ブリストルの複数のがん免疫療法薬との併用療法を開発中。IDO1阻害薬「ONO-7701」との併用療法が悪性黒色腫や膀胱がんを対象にP3試験に入っているほか、抗CSF-1R抗体「ONO-4687」(cabiralizumab)との併用療法も開発の後期段階に進んでいます。

 

「オプジーボ」とがん免疫療法薬の併用療法の開発状況(ヤーボイ除く)

 

【米メルク】抗PD-1抗体キイトルーダ(ペムブロリズマブ)

 

抗PD-1抗体「キイトルーダ」(ペムブロリズマブ)の開発状況

 

米メルク(日本法人はMSD)が開発を進めているのは、抗PD-1抗体「キイトルーダ」。16年9月に悪性黒色腫の適応で、16年12月にはPD-L1陽性の非小細胞肺がんの適応で承認を取得しました。「オプジーボ」の薬価をめぐる議論のあおりを受けて発売が先送りされていましたが、17年2月に満を持して発売されました。

 

これまでに、▽悪性黒色腫(16年9月)▽非小細胞肺がん(同年12月)▽古典的ホジキンリンパ腫(17年11月)▽尿路上皮がん(17年12月)▽高頻度マイクロサテライト不安定性のある固形がん(18年12月)――で承認を取得。悪性黒色腫では術後補助療法、非小細胞肺がんでは化学療法との併用療法も承認されています。

 

18年12月に承認された高頻度マイクロサテライト不安定性のある固形がん(MSI-High固形がん)は臓器横断型の適応。がん種を問わず、共通のバイオマーカーに基づく適応で承認された国内初のがん治療薬となりました。

 

19年2月には、腎細胞がんに対する分子標的薬「インライタ」(アキシチニブ)との併用療法を申請。頭頸部がんへの適応拡大も申請中です。このほか、乳がんや大腸がん、食道がんなど9つのがん種・適応でP3試験を行っています。戦略提携を結ぶエーザイの抗がん剤「レンビマ」との併用療法は、子宮内膜がんを対象に日本でもP3試験に入りました。

 

【独メルク/ファイザー】抗PD-L1抗体バベンチオ(アベルマブ)

 

抗体PD-L1抗体「バベンチオ」(アベルマブ)の開発状況

 

2014年に腫瘍免疫領域で提携を結んだ独メルクとファイザー。独メルクが創製し、両社で共同開発する抗PD-L1抗体「バベンチオ」は、2017年9月、メルケル細胞がんの適応で承認を取得しました。抗PD-L1抗体としては国内初。メルケル細胞がんは、神経終末部近くの皮膚最表層にできるがん細胞に由来する希少がん。頭頸部や腕など、日光にさらされることが多い部位の皮膚に発症します。日本での患者数は100人に満たないとされています。

 

19年1月には、腎細胞がんに対するインライタとの併用療法を申請。4つのがんでP3試験を行っており、直近では卵巣がんに対する併用療法がP3試験に入りました。

 

【ロシュ/中外】抗PD-L1抗体テセントリク(アテゾリズマブ)

 

抗PD-L1抗体「テセントリク」(アテゾリズマブ)の開発状況

 

ロシュグループが開発を進めているのは、抗PD-L1抗体「テセントリク」。日本での開発は同グループの中外製薬が担っています。2018年1月、抗PD-L1抗体としては国内で初めて、非小細胞肺がん(2次治療)の適応で承認を取得。18年12月には、1次治療に対する化学療法(カルボプラチン・パクリタキセル・ベバシズマブ)との併用療法が承認されました。

 

さらに18年12月には、小細胞がんと乳がんへの適応拡大を申請。このほか、非小細胞肺がんに対するアジュバント療法や尿路上皮がんなど11適応でP3試験が行われています。直近では、非小細胞肺がんに対するネオアジュバント療法のP3試験が始まりました。

 

中外製薬によると、テセントリクは▽卵巣がん▽腎細胞がん▽筋層浸潤尿路上皮がん(アジュバント)――で20年の申請を予定。21年には▽肝細胞がん▽前立腺がん▽早期乳がん▽尿路上皮がん▽非小細胞肺がん(ネオアジュバント)▽頭頸部がん(維持療法)――の申請を予定しています。

 

【アストラゼネカ】抗PD-L1抗体イミフィンジ(デュルバルマブ)/抗CTLA-4抗体トレメリムマブ

 

抗PD-L1抗体「イミフィンジ」(デュルバルマブ)と抗CTLA-4抗体トレメリムマブの開発状況

 

アストラゼネカは、抗PD-L1抗体「イミフィンジ」と抗CTLA-4抗体トレメリムマブを開発中。PD-1またはPD-L1とCTLA-4という2つの免疫チェックポイントに対する開発品を持つのは、小野薬品・ブリストル陣営とアストラゼネカのみ。1社単独ではアストラゼネカだけです。

 

イミフィンジは18年8月にステージIIIの非小細胞肺がんを対象に発売。ステージIIIの非小細胞肺がんに使える免疫チェックポイント阻害薬は初めてで、20年近く進展がなかった治療に大きなインパクトを与えました。

 

ステージIIIの非小細胞肺がんに対しては、イミフィンジと化学放射線療法の併用でP3試験を実施中。さらに早期のステージI/IIの非小細胞肺がんでも、イミフィンジ単剤のP3試験を行っています。

 

日本で臨床試験の段階にある21プロジェクトのほとんどが、イミフィンジとトレメリムマブの併用療法。非小細胞肺がんなどでP3試験が行われています。

 

分子標的薬とイミフィンジの併用療法も開発しており、卵巣がんに対するPARP阻害薬「リムパーザ」との併用療法がP3試験を実施中。STAT3阻害薬danvatirsenとの併用療法も、固形がんを対象にP1試験が始まりました。

 

【ノバルティス】抗PD-1抗PDR001

 

抗PD-1抗体「PDR001」の開発状況

 

スイス・ノバルティスが開発を進めているのは、抗PD-1抗体「PDR001」(開発コード)。BRAF遺伝子変異陽性の悪性黒色腫を対象に、BRAF阻害薬「タフィンラー」(ダブラフェニブ)・MEK阻害薬「メキニスト」(トラメチニブ)との併用療法でP3試験を行っています。

 

【サノフィ】抗PD-1抗体cemiplimab

 

抗PD-1抗体cemiplimabの開発状況

 

仏サノフィは、抗PD-1抗体cemiplimabを開発中。海外では昨年、「LIBTAYO」の製品名で皮膚扁平上皮がんを対象に承認されています。

 

日本では現在、子宮頸がんを対象にP3試験、非小細胞肺がんを対象にP1試験が行われています。

 

(前田雄樹)

 

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