J-TECとVCCT、iPS再生医療実用化へ提携/第一三共、抗TA-MUC1抗体の知財権買い取り など|製薬業界きょうのニュースまとめ読み(2025年1月14日)
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AnswersNews編集部
J-TECの畠賢一郎社長(左)とVCCTの高橋政代社長
J-TECとVC Cell Therapyが資本業務提携…網膜変性向けiPS再生医療、実用化加速
ジャパン・ティッシュエンジニアリング(J-TEC)は1月14日、VC Cell Therapy(VCCT、神戸市)と資本業務提携したと発表した。VCCTが開発中の網膜変性疾患に対するiPS細胞を使った再生医療製品「MastCT-03」について、J-TECが原料細胞となるセルバンクの作製、治験製品の品質を保持する容器開発などの製剤化、規制当局対応のサポートなどを行い、VCCTによる国内での承認取得を支援。VCCTは、製造販売を外部委託する場合の優先交渉権をJ-TECに付与する。J-TECはVCCTへの出資も行う。VCCTの高橋政代社長は同日の記者会見で「提携によって治験開発が加速し、確度も上がる」と語った。
第一三共、抗TA-MUC1抗体の知的財産権買い取り…ADC「DS-3939」の抗体部分
第一三共は1月14日、独Glycotopeから同社創製の抗TA-MUC1抗体gatipotuzumabの知的財産権を買い取ったと発表した。抗TA-MUC1抗体は、第一三共が開発している抗体薬物複合体(ADC)「DS-3939」の抗体部分。Glycotopeとは2018年にライセンス契約を結び、gatipotuzumabをADC化した薬剤を開発・商業化する権利を取得した。新たな契約に基づき第一三共はGlycotopeに1億3250万ドル(約209億円)を支払い、18年の契約で定めたマイルストンやロイヤリティの支払い義務を果たしたこととする。DS-3939は現在、固形がんを対象としたグローバル臨床第1/2相(P1/2)試験が行われている。
中外「タルセバ」をチェプラファームに譲渡
中外製薬は1月14日、抗がん剤「タルセバ」(一般名・エルロチニブ塩酸塩)の日本での事業をチェプラファームに譲渡すると発表した。承認の承継は今年4月1日、販売移管は6月中をめどに両社で調整する。販売移管以降はチェプラファームが単独で販売と情報提供活動を行う。製品ライフサイクルが成熟する中、今後の国内マーケティングについて中外とロシュ、チェプラファームの3社で協議した結果、関連資産をチェプラファームに譲渡して同社の単独販売とすることが望ましいと判断した。
キッセイ「ミニリンメルト」など販売提携終了、4月からフェリングが販売
フェリング・ファーマとキッセイ薬品工業は1月14日、フェリングが創製したデスモプレシン酢酸塩水和物を有効成分とする「ミニリンメルト」などの販売提携を終了すると発表した。対象製品は▽ミニリンメルトOD錠25μg/50μg(適応症・男性における夜間多尿による夜間頻尿)▽同60μg/120μg/240μg(尿浸透圧あるいは尿比重の低下に伴う夜尿症、中枢性尿崩症)▽デスモプレシン点鼻スプレー2.5μg「フェリング」(中枢性尿崩症)▽デスモプレシン静注4μg「フェリング」(軽症・中等症血友病AとTypeⅠ・TypeⅡAのvon Willebrand病の自然発生性出血、外傷性出血および抜歯時、手術時出血の止血管理)――。両社は2019年9月から販売提携してきたが、キッセイによる販売・情報提供活動は今年3月末で終了し、4月1日からフェリングが行う。
エーザイ「レケンビ」皮下注製剤による維持療法、FDAが申請受理
エーザイは1月14日、アルツハイマー病治療薬「レケンビ」(レカネマブ)について、皮下注射オートインジェクターによる週1回の維持投与の申請が米FDA(食品医薬品局)に受理されたと発表した。審査終了目標日は今年8月31日に設定された。皮下注射オートインジェクターによる維持療法は、2週間に1回の静注投与による初期治療のあとに行う。初期治療の具体的な期間はFDAと協議中。
第一三共 ダトポタマブ デルクステカン、米で肺がんの申請受理
第一三共は1月14日、抗TROP2 ADCダトポタマブ デルクステカンについて、EGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺がんでの申請が米FDAに受理されたと発表した。申請した適応は「EGFR遺伝子変異を有する、前治療歴のある局所進行または転移性の非小細胞肺がん」。優先審査に指定され、審査終了目標日は今年7月12日に設定された。
杏林製薬、仏社と疼痛治療薬のオプション契約
杏林製薬は1月14日、仏BIODOL Therapeuticsと、同社が創製した疼痛治療薬候補化合物「BDT272」に関するオプション契約を結んだと発表した。杏林は、日本とアジア地域(中国を除く)での開発・販売権のライセンスに関するオプション権を取得。BIODOLにオプションフィーを支払うとともに、オプション権を行使した場合は一時金とマイルストン、販売ロイヤリティを支払う。BDT272は、神経障害性疼痛などの慢性疼痛の発症と持続に関与するFLT3を阻害する化合物。
大塚、認知症診断支援プログラムを発売
大塚製薬は1月14日、提携先のアイ・ブレインサイエンス(大阪府吹田市)が承認を取得した認知症診療支援のための神経心理検査用プログラム「ミレボ」を発売したと発表した。アイトラッキング(視線計測)技術を用いており、約3分間の検査で客観的な検査結果を得ることが可能。タブレット端末の画面に表示される質問に沿って被験者が正解の箇所を見つめることで、データが自動的にスコア化される。認知症領域のSaMD(プログラム医療機器)として初めて、1月1日付で保険適用された。
ロート製薬、創傷治療システムの販売開始
ロート製薬は1月14日、難治性創傷に対する創傷治療システム「オートロジェル システム」を発売したと発表した。患者の血液から多血小板血漿を分離し、薬剤でゲル化して損傷部位に塗布する。2022年11月に医療機器として承認され、昨年10月1日に保険適用された。販売は、メディパルホールディングス傘下の医薬品卸4社とよんやく(松山市)、中澤氏家薬業(高知県南国市)に委託する。
あすか製薬、Veneno Technologiesと共同研究
あすか製薬とVeneno Technologies(茨城県つくば市)は1月14日、新規イオンチャネル治療薬の開発に向けた共同研究契約を結んだと発表した。両社で選択したイオンチャネルに対し、Veneno Technologiesの次世代ペプチド探索技術を使って機能性ジスルフィドリッチペプチドを取得。新たな治療薬の開発を目指す。