2023年に世界で最も売れた医療用医薬品は米アッヴィの自己免疫疾患治療薬「ヒュミラ」だったことが、米IQVIAのまとめでわかりました。2位はノボノルディスク(デンマーク)の糖尿病治療薬「オゼンピック」、3位は米メルクのがん免疫療法薬「キイトルーダ」。上位20製品のうち15製品が100億ドル超を売り上げました。
ヒュミラ373.59億ドル、オゼンピック365.83億ドル
米IQVIAが発表した世界の医薬品市場に関する統計によると、2023年に世界で最も売り上げの大きかった医療用医薬品はアッヴィの抗TNFα抗体「ヒュミラ」。売上高は373.59億ドル(1ドル=155円換算で5兆7906億円)。バイオシミラーの参入にもかかわらず、為替変動の影響を除外した伸び率で前年から7.0%増加しました。
2位は365.83億ドル(前年比72.2%増、約5兆6704億円)を売り上げたGLP-1受容体作動薬「オゼンピック」(ノボノルディスク)で、前年4位からランクアップ。メルクの免疫チェックポイント阻害薬「キイトルーダ」は292.18億ドル(21.9%増、約4兆5288億円)で前年と同じ3位でした。4位の抗凝固薬「エリキュース」(米ブリストル・マイヤーズスクイブ/同ファイザー)は前年2位から後退。5位は乾癬・クローン病・潰瘍性大腸炎治療薬「ステラーラ」(米ジョンソン・エンド・ジョンソン)でした。
マンジャロ、発売2年目でトップ10入り
前年からの伸び率が最も大きかったのは、10位に入った米イーライリリーの糖尿病治療薬「マンジャロ」。377.7%増の131.57億ドルを売り上げ、発売2年目でトップ10入りを果たしました。アッヴィの乾癬治療薬「スキリージ」は99.7%増と倍増し、前年のトップ20圏外から13位にランクアップしました。英アストラゼネカのSGLT2阻害薬「フォシーガ」や仏サノフィ/米リジェネロンのアトピー性皮膚炎などの治療薬「デュピクセント」も40%を超える高い伸びとなっています。
売上高が100億ドルを超えたのは15製品で、昨年から5製品増加しました。
世界市場は10.6%増の1.48兆ドルに
23年の世界市場は前年から10.6%増加して1兆4876億ドル(230兆5892億円)に達しました。
疾患領域・薬効別に見てみると、最大市場のがんは2235.11億ドル(34兆6442億円)で前年比13.8%増。2位の糖尿病は1778.52億ドル(22.1%増、27兆5671億円)、3位の免疫は1701.76億ドル(17.8%増、26兆3773億円)でした。
上位3薬効のほかに2桁成長となったのは、12位のワクチン(15.4%増)と17位の脂質調整薬(14.6%増)。一方、多発性硬化症(2.9%減)と神経障害(1.3%減)は前年を下回りました。
製品売上高 アッヴィが3年ぶり首位
医療用医薬品と一部の一般用医薬品を合わせた製品売上高では、アッヴィが2020年以来3年ぶりのトップ。売上高は17.1%増の858.90億ドル(13兆3130億円)でした。
2位は前年首位のJ&J(772.41億ドル、8.9%増)で、3位のノボ(690.29億ドル、38.0%増)は前年5位からランクアップ。4位のイーライリリー(592.62億ドル、29.2%増)も前年9位から5つ順位を上げており、GLP-1受容体作動薬を販売する2社の好調ぶりが際立っています。
日本企業は、武田薬品工業が16位にランクイン。前年20位だったアステラス製薬はトップ20圏外となりました。