品質検査不正、沢井に業務改善命令…総責の変更も命じる
沢井製薬が胃炎・胃潰瘍治療薬テプレノンの品質検査で不正を行っていた問題で、同社は12月22日、大阪府と福岡県から業務改善命令、厚生労働省から総括製造販売責任者の変更命令を受けたと発表した。業務改善命令を受けたのは同社と不正が行われた九州工場(福岡県飯塚市)。同工場では、テプレノンの安定性モニタリングの溶出試験で、新しいカプセルに中身を詰め替えて試験を行う不正が行われていた。沢井の澤井光郎会長、木村元彦社長、澤井健造副会長ら役員5人は不正の責任をとって役員報酬の一部を自主返納する。寺島徹・取締役専務執行役員信頼性保証本部長は来年1月1日付で辞任。サワイグループホールディングスの取締役も辞任し、専務執行役員から常務執行役員への降格処分を受けた。
カイゲンファーマに39日間の業務停止命令
カイゲンファーマは12月22日、製造する医薬品に承認されていない添加物を使用したり、試験結果を改ざんしたりしたとして、大阪府と北海道から業務停止命令を受けたと発表した。業務停止の期間は、大阪市の本社が今月25日から39日間、不正のあった奥沢工場(北海道小樽市)が同日から36日間。同社は役員に対して報酬減額などの処分を行い、不正が行われていた当時の役員らにも自主返納を要請。関係した従業員に対しても懲戒処分を行った。
サンド「ヒュミラ」バイオシミラーの国内販売権取得
サンドは12月22日、抗TNFα抗体「ヒュミラ」のバイオシミラー「アダリムマブBS皮下注『FKB』」の国内独占販売権を取得したと発表した。アダリムマブ「FKB」は、開発した協和キリン富士フイルムバイオロジクスとの提携に基づいてヴィアトリスグループのマイランEPDが2021年に発売。米ヴィアトリスはグローバルのバイオシミラー事業を22年にインドのバイオコン・バイオロジクスに売却しており、サンドはバイオコンから国内販売権を取得した。サンドはアダリムマブ「FKB」の販促活動を来年2月15日に開始する予定。その後、段階的に流通や販売を引き継ぐ。
アステラス、米プロペラの買収完了
アステラス製薬は12月22日、米プロペラ・セラピューティクスの買収を完了したと発表した。約1億7500万ドルで同社の全株式を取得し、完全子会社化した。アステラスは買収によって、プロペラが開発中の次世代アンドロゲン合成阻害薬「PRL-02」を獲得。同薬はアビラテロンの長時間作用型のプロドラッグ。現在、臨床第1相(P1)試験が進行中で、2024年中にP2a試験を開める予定。
大塚「レキサルティ」うつ病・うつ状態の適応取得
大塚製薬は12月22日、抗精神病薬「レキサルティ」(一般名・ブレクスピプラゾール)について、「うつ病・うつ状態」への適応拡大の承認を取得したと発表した。国内では統合失調症に続く2つ目の適応。国内P3試験では、抗うつ薬への上乗せで統計学的に有意な改善効果が示された。
ユーシービー「ビンゼレックス」の適応拡大承認
ユーシービージャパンは12月22日、抗IL-17A/IL-17F抗体「ビンゼレックス皮下注」(ビメキズマブ)について、乾癬性関節炎(PsA)、強直性脊椎炎(AS)、X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎(nr-axSpA)への適応拡大の承認を取得したと発表した。承認は各疾患を対象に行った計4本の国際共同P3試験の結果に基づく。同薬は2022年1月に尋常性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症の適応で承認。今年11月には化膿性汗腺炎への適応拡大も申請している。
ノバルティス「レボレード」再生不良性貧血の小児適応が承認
ノバルティスファーマは12月22日、トロンボポエチン受容体作動薬「レボレード錠」(エルトロンボパグ オラミン)について、再生不良性貧血の小児適応が承認されたと発表した。対象は6歳以上。東アジアで行われたP2試験では、投与26週時の完全奏効率が16.7%、奏効率が77.8%だった。成人では2017年に再生不良性貧血の適応を取得したが、小児では承認されておらず、治療選択肢が限られていた。
「リツキサン」移植の抗体関連型拒絶反応に適応拡大
中外製薬は12月22日、抗CD20抗体「リツキサン点滴静注」(リツキシマブ)について、「臓器移植における抗体関連型拒絶反応の抑制および治療」への適応拡大の承認を取得したと発表した。日本移植学会から未承認薬・適応外薬の開発要望が出され、厚生労働省の医療錠必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」の検討結果に基づいて開発を開始。治験や特定臨床研究で得られたデータなどをもとに申請を行った。
ジェノトロピン「プラダー・ウィリ症候群における体組成異常」の適応が承認
ファイザーは12月22日、「ジェノトロピン」(ソマトロピン)について、「プラダー・ウィリ症候群における体組成異常」の適応が承認されたと発表した。承認は、日本人の成人と小児を対象に行ったP3非盲検試験の結果に基づく。今回の承認により、プラダー・ウィリ症候群と診断された患者が良好な体組成を維持することを目的に、食事療法や運動療法に加えて成長ホルモン治療を選択できるようになる。プラダー・ウィリ症候群は、肥満、糖尿病、低身長、性腺機能不全などの内分泌学的異常と、発達遅滞、筋緊張低下、特異な性格障害・行動異常といった神経学的異常を呈する症候群。国内患者数は約1000人とされる。
武田、難治性CMV感染症治療薬「LIVTENCITY」が中国で承認
武田薬品工業は12月22日、抗サイトメガロウイルス(CMV)薬「LIVTENCITY」(maribavir)が中国で承認されたと発表した。適応は、造血幹細胞移植または固形臓器移植後の既存療法に難治性のCMV感染症の成人患者。同薬はUL97キナーゼ阻害薬。中国のほか、米国、カナダ、オーストラリア、欧州で承認されており、日本では申請中。
AGC、横浜の研究拠点にバイオCDMOの新施設…500億円投じ開発・製造能力拡大
AGCは12月21日、横浜市鶴見区の研究拠点「AGC横浜テクニカルセンター」に約500億円を投資し、バイオ医薬品CDMOの開発・製造能力を拡大すると発表した。感染症世界的大流行時にワクチン製造に切り替え可能なデュアルユース仕様の設備を導入。国内CDMOでは最大級の動物細胞培養槽やmRNA医薬品と遺伝子・細胞治療薬の開発・製造設備も導入する。2025年に遺伝子・細胞治療薬の開発サービスを先行して開始し、26年には新施設でmRNA医薬品やバイオ医薬品、遺伝子・細胞治療薬の開発・製造サービスを始める予定。フル稼働時には約400人の雇用を見込む。