住友ファーマ、ulotarontのP3で主要評価項目未達
住友ファーマは7月31日、大型化を期待して大塚製薬と共同開発している抗精神病薬ulotaront(一般名、開発コード・DEP-363856)について、急性期の統合失調症患者を対象とした2つの臨床第3相(P3)試験で主要評価項目を達成できなかったと発表した。住友ファーマは「いずれの試験でもプラセボ投与群で大きな改善が観察され、ulotarontの有効性をマスクした可能性がある」としている。両試験は新型コロナウイルス感染症のパンデミック期間中に行われたが、プラセボ効果には新型コロナの影響が示唆されているという。今後の開発方針については、詳細なデータ解析の結果を踏まえて規制当局と協議するとしている。同薬は統合失調症のほか、大うつ病補助療法や全般不安症を対象に開発中。統合失調症の適応では、米FDA(食品医薬品局)からブレークスルーセラピーの指定を受けている。
塩野義「抗菌薬の供給確保計画」認定…原薬の製造体制整備
塩野義製薬は7月31日、子会社のシオノギファーマなどが進めている抗菌薬の原薬等製造設備導入や備蓄体制整備の取り組みが、厚生労働省から「抗菌性物質製剤の安定供給にかかる計画(供給確保計画)」の認定を受けたと発表した。塩野義はこれまでも「医薬品安定供給支援事業」の採択を受けて原薬製造体制の整備に取り組んできたが、計画の認定を受け、サプライチェーン強靭化に向けた取り組みをさらに進める。シオノギファーマが千代田化工建設などとともに設立した合弁会社Pharmiraの連続生産技術も活用して効率的な生産手法の開発にも取り組む。
ゼリア新薬、米にバイオベンチャーを設立…潰瘍性大腸炎向け経口抗体を開発
ゼリア新薬工業は7月28日、子会社ティロッツ・ファーマ(スイス)がベンチャーキャピタルのTVMキャピタル・ライフサイエンスと共同で米バイオベンチャーMage Biologicsに最大2800万ドルを出資すると発表した。Mageは経口投与可能な抗体製剤の開発を進め、潰瘍性大腸炎治療薬としてのPoC確立を目指す。同抗体は、ティロッツがスイスのバイオテクノロジー企業の協力を得て開発。Mageは同抗体の開発を行うために設立された。ゼリア新薬は、開発初期のプロジェクトを外部との共同出資によって進めることで、開発後期段階の新薬候補に開発資源を集中する。
田辺三菱、遅発性ジスキネジア治療薬をASEAN3カ国で発売
田辺三菱製薬は7月31日、遅発性ジスキネジア治療薬「REMLEAS」(一般名・バルベナジン、日本製品名・ジスバル)をタイ、シンガポール、インドネシアで発売したと発表した。同薬は米ニューロクライン・バイオサイエンシズから導入した小胞モノアミントランスポーター2阻害薬。日本では2022年6月から販売している。
ユーシービー、抗てんかん薬ブリーバラセタムを申請
ユーシービージャパンは7月28日、抗てんかん薬ブリーバラセタムを日本で申請したと発表した。適応は「てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)」。錠剤に加え、一時的に経口投与できない場合の代替療法となる静注製剤もあわせて申請した。同薬は、てんかん発作に関わるとされる脳内の神経終末にあるシナプス小胞タンパク2Aに結合することで作用すると考えられている。海外では「BRIVIACT」の製品名で50カ国以上で承認されている。
ノボ 血友病薬コンシズマブ、インヒビター非保有で申請
ノボノルディスクファーマは7月28日、血友病治療薬として申請中の抗TFPI抗体コンシズマブについて、インヒビターを保有しない先天性血友病の適応で承認申請を行ったと発表した。日本では2022年8月、「インヒビターを保有する先天性血液凝固第VIII因子または第IX因子欠乏患者の出血傾向の抑制」の適応で申請している。
【決算】
大塚HD(2023年1~6月期、7月31日発表)
売上収益9475億3700万円(前年同期比16.4%増)、営業利益1306億9000万円(94.6%増)。抗精神病薬「レキサルティ」などのグローバル4製品が前年同期比15.8%増の計3371億3800万円と好調だった。23年12月期の業績予想は、売上収益1兆9050億円(従来予想比1050億円増)、営業利益2450億円(350億円増)に上方修正した。
鳥居薬品(2023年1~6月期、7月31日発表)
売上高256億9900万円(前年同期比11.2%増)、営業利益15億1000万円(43.7%減)。アレルゲン免疫療法薬「シダキュア」「ミティキュア」などが売り上げを伸ばした一方、売上原価の増加に加え、研究開発費が膨らんだことで大幅な減益となった。23年12月期の業績予想は、売上高を527億円(従来予想比18億円増)に上方修正。各利益は据え置いた。