2022年に世界で最も売れた医薬品は、前年に続いて米アッヴィの抗TNFα抗体「ヒュミラ」だったことが、米IQVIAのまとめでわかりました。2位は同ブリストル・マイヤーズスクイブと同ファイザーの抗凝固薬「エリキュース」、3位は同メルクの免疫チェックポイント阻害薬「キイトルーダ」で、上位3製品の顔ぶれは前年と変わらず。上位20製品のうち10製品が100億ドル超を売り上げました。
INDEX
ヒュミラ349.66億ドル
米IQVIAが発表した世界の医薬品市場に関する統計によると、2022年に世界で最も売り上げの大きかった医療用医薬品(新型コロナウイルスワクチンと一部の新型コロナ治療薬を除く)は、米アッヴィの抗TNFα抗体「ヒュミラ」。売上高は349億6600万ドル(1ドル=135円換算で約4兆7204億円)で、為替変動の影響を除く伸び率で前年から10.8%増となりました。
2位は240億5500万ドル(前年比15.9%増、約3兆2474億円)を売り上げた抗凝固薬「エリキュース」(米ブリストル・マイヤーズスクイブ/同ファイザー)、3位は238億8900万ドル(28.3%増、約3兆2250億円)の免疫チェックポイント阻害薬「キイトルーダ」(同メルク)。4位は昨年7位から浮上した糖尿病治療薬「オゼンピック」(デンマーク・ノボノルディスク)で、5位は昨年から1ランクダウンとなった乾癬・クローン病・潰瘍性大腸炎治療薬「ステラーラ」(米ジョンソン・エンド・ジョンソン)でした。
オゼンピックが79.1%増
上位20製品のうち10製品が売上高100億ドルを超えており、15位までが日本円で1兆円を超えました。前年からの伸び率が最も大きかったのは79.1%増となったオゼンピックで、14位のSGLT-2阻害薬「フォシーガ」(57.6%増)、7位の同「ジャディアンス」(45.3%増)、10位のアトピー性皮膚炎治療薬「デュピクセント」(43.8%増)なども大きく伸びました。
フォシーガは昨年のトップ20圏外からランクインし、かわりに昨年17位だった抗がん剤「レブラミド」(ブリストル)が姿を消しました。
世界市場は1.36兆ドルに
2022年の世界の医薬品市場(新型コロナワクチンと一部の新型コロナ治療薬を除く)は1兆3630億ドル(約184兆147億円)。前年比8.3%増と堅調に推移しました。
疾患領域・薬効別に見ると、最大市場の「がん」は1974億7300万ドル(約26兆6589億円)で、前年から11.1%増加。2位の「糖尿病」は1465億700万ドル(15.9%増、約19兆7784億円)、3位の「免疫」は1444億2700万ドル(16.9%増、約19兆4976億円)でした。
上位3領域のほかに2桁成長となったのは、19位の「脂質調整薬」(10.9%増)。一方、「その他循環器疾患」(6.9%減)、「神経系障害」(3.6%減)、「ホスピタルソリューション」(0.1%減)の3領域は前年を下回りました。
製品売上高トップはJ&J
医療用医薬品と一部の一般用医薬品を合わせた製品売上高では、J&Jが736億3600万ドル(15.5%増、約9兆9409億円)で前年に続いてトップ。2位はアッヴィ(733億4000万ドル、約9兆9009億円)、3位はスイス・ノバルティス(595億9900万ドル、約8兆459億円)で、上位3社の顔ぶれは前年と同じでした。
前年から順位を上げたのは、9位から5位に浮上したノボノルディスクや、ワンランクアップで9位となった米イーライリリー、12位から10位に上昇した英アストラゼネカなど。20位には前年トップ20圏外だったアステラス製薬が入りました。