「マンジャロ」など14新薬、15日に薬価収載…コロナ薬「パキロビッド」「ゾコーバ」も｜トピックス

中央社会保険医療協議会（中医協）総会は3月8日、日本イーライリリーの糖尿病治療薬「マンジャロ皮下注」など14新薬の薬価収載を了承した。収載は15日付。新型コロナウイルス感染症治療薬「パキロビッドパック」と「ゾコーバ錠」も収載される。両剤はこれまで国が買い上げて医療機関・薬局に配布してきたが、収載後は一般流通に移行する。

「マンジャロ」ピーク時に367億円

日本イーライリリーの「マンジャロ皮下注」（一般名・チルゼパチド）は、GIP/GLP-1受容体作動薬の2型糖尿病治療薬。薬価はGLP-1受容体作動薬「オゼンピック皮下注」を最類似薬とする類似薬効比較方式Iで算定された。既存のGLP-1受容体作動薬との比較試験でHbA1cの有意な低下が認められたことから有用性加算II（10%）がつき、外国平均価格調整による引き上げが行われた結果、薬価は汎用規格の5mg0.5mL1キットで3848円（1日薬価550円）となった。ピーク時の販売予測は367億円。流通と販売は提携先の田辺三菱製薬が行い、2社で情報提供を行う。

ファイザーの新型コロナウイルス感染症治療薬「パキロビッドパック」（ニルマトレルビル/リトナビル）は同「ラゲブリオカプセル」を最類似薬とする類似薬効比較方式Iで薬価算定され、パキロビッド300が1シート1万2538.60円、同600が1シート1万9805.50円。海外のガイドラインでラゲブリオより優先して使用するとされていることが評価され、有用性加算II（5%）がついた。ピーク時に281億円の販売を見込む。

塩野義製薬の同「ゾコーバ錠」（エンシトレルビル フマル酸 ）も類似薬効比較方式Iで薬価算定されたが、比較薬にはラゲブリオに加え、投与対象の広さを踏まえて抗インフルエンザウイルス薬「ゾフルーザ錠」を採用。両剤の1治療あたりの薬価の平均と同額とし、そこに有用性加算II（5%）を加えて125mg1錠7407.40円（1治療あたり5万1851.80円）となった。ピーク時の販売金額は192億円を予想している。

免疫チェックポイント阻害薬2剤も収載

このほか、3月15日付で薬価収載されるのは、
▽筋萎縮性側索硬化症（ALS）治療薬「ラジカット内用懸濁液」（エダラボン）=田辺三菱製薬
▽慢性特発性血小板減少性紫斑病治療薬「タバリス錠」（ホスタマチニブナトリウム水和物）=キッセイ薬品工業
▽抗真菌薬「クレセンバカプセル」「同点滴静注用」（イサブコナゾニウム硫酸塩）=旭化成ファーマ
▽急性白血病/リンパ腫治療薬「アーウィナーゼ筋注用」（クリサンタスパーゼ）=大原薬品工業
▽免疫チェックポイント阻害薬「イジュド点滴静注」（トレメリムマブ）=アストラゼネカ
▽同「リブタヨ点滴静注」（セミプリマブ）=サノフィ
▽アトピー性皮膚炎治療薬「アドトラーザ皮下注」（トラロキヌマブ）=レオファーマ
――など。

イジュドは抗CTLA-4抗体で、薬価は抗がん剤「アバスチン点滴静注用」を最類似薬とする類似薬効比較方式Iで算定。抗PD-1抗体リブタヨは同「キイトルーダ」を最類似薬とする類似薬効比較方式Iで算定され、PD-L1の発現状態によらず使用できることを踏まえて有用性加算II（5%）がついた。ピーク時の売り上げ予測は、イジュドが75億円、リブタヨが23億円となっている。

タバリスは、新規作用機序であることに加え、既存薬で十分な効果が得られなかった患者でも有用性が示されていることが評価され、有用性加算II（5%）を取得。アーウィナーゼには有用性加算II（5%）と小児加算（同）がついたが、原価の開示度で加算係数がゼロとなり、薬価の上乗せは行われなかった。

14成分のうち新薬創出・適応外薬解消等促進加算が適用されるのは7成分。パキロビッド、マンジャロ、ゾコーバは費用対効果評価の対象となった。