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独バイエル、次世代抗凝固薬アスンデキサンに自信「ピーク時売り上げ50億ユーロ」

更新日

ロイター通信

(写真:ロイター)

 

[フランクフルト ロイター]独バイエルが、開発中の新規抗凝固薬についてピーク時の年間売上高が50億ユーロ(54億ドル、約7100億円)を超えるとの予測を明らかにした。最近の株価低迷で同社には複数のアクティビスト(物言う投資家)が関心を寄せており、バイエルは株価回復へ有望新薬のアピールに躍起だ。

 

Xareltoの後継

バイエルが開発を進めているasundexian(アスンデキサン)は、血栓症や脳卒中を予防する新規の経口抗凝固薬。今回初めて明らかにされた同薬の売り上げ見通しは、2026年に欧州で主要な特許による保護を失う抗凝固薬「Xarelto」(一般名・リバーロキサバン、日本製品名・イグザレルト)に代わる収益源としての自信を示すものだ。

 

バイエルの株価は低迷している。除草剤ラウンドアップと化学物質ポリ塩化ビフェニル(PCB)による環境汚染をめぐる訴訟が影を落としている。いずれも、18年に600億ドル超で買収した米モンサントの遺産だ。

 

1月10日にasundexianの収益見通しが明らかになると、バイエルの株価は4%以上値を上げ、5週間ぶりの高値となった。

 

最近の株価のアンダーパフォーマンスは、ヘッジファンドのベテラン、ジェフリー・ウッベン氏が運営するアクティビストファンド、インクルーシブ・キャピタル・パートナーズ(米国)を引きつけた。別のアクティビストであるエリオット・マネジメント(同)は2019年に11億ドル相当のバイエル株を取得したが、今のところ目立った動きはない。

 

asundexianは、バイエルが10日に収益見通しを示した4つの新薬(うち2つはすでに発売)の1つだ。同社は、4新薬のピーク時売上高が計120億ユーロを超える可能性があるとしている。

 

4新薬の1つである慢性腎臓病治療薬「ケレンディア」(フィネレノン)は、従来の10億ユーロ以上から30億ユーロ以上へとピーク時の収益予測を見直した。バイエルの医薬品部門トップ、ステファン・オエルリッヒ氏によると、米国での売れ行きが好調で、中国でも成長が見込まれることから、より明るい見通しになったという。

 

2026年にも申請

asundexianは、中期の臨床試験で出血に関する安全性の結果が良好だったため、既存の直接作用型経口抗凝固薬からの切り替えに期待が寄せられている。同社は現在、より大規模な後期臨床試験で検証を進めている。

 

asundexianは第XI因子阻害薬として知られる新しいクラスの薬剤だ。このクラスにはスイス・ノバルティスも参入しており、パートナーのプライベートエクイティファンド、ブラックストーン(米国)と抗体医薬abelacimabを開発する新会社アンソス・セラピューティクス(米国)を設立。米ブリストル・マイヤーズスクイブは同ジョンソン・エンド・ジョンソンと共同で新薬候補milvexianを開発している。

 

オエルリッヒ氏によると、バイエルの開発プログラムはライバル企業より進んでおり、2026年初めには当局への申請が可能だという。同氏は、進行中の臨床第3相試験について「被験者登録の進捗は目覚ましい。われわれは先行しており、今後も先頭を走っていけるだろう」と話した。

 

オエルリッヒ氏は、心房細動における脳卒中予防の世界市場は300億ドルに達することが予想されるとし、今回発表した収益目標は現実的だと述べた。

 

(Ludwig Burger/Patricia Weiss、編集:Mark Potter、翻訳:AnswersNews)

 

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