中央社会保険医療協議会(中医協)総会は11月17日、ファイザーのトランスサイレチン型心アミロイドーシス治療薬「ビンマックカプセル」やアステラス製薬の抗がん剤「パドセブ点滴静注用」など新薬12成分16品目の薬価収載を了承した。収載は11月25日。武田薬品工業の再生医療等製品「アロフィセル注」についても、同日付での収載が了承された。
ビンマック ピーク時524億円の販売予想
「ビンマックカプセル」(一般名・タファミジス)は、トランスサイレチン型心アミロイドーシス(野生型および変異型)に対する治療薬。同疾患では、1回4カプセル服用する同社の「ビンダケル」(タファミジスメグルミン)が承認されているが、ビンマックはタファミジスメグルミンの生理活性成分であるタファミジス遊離酸を含有することで1回1カプセルの服用で済むようにした。薬価はビンダケルを最類似薬とする類似薬効比較方式Iで算定され、算定薬価は61mg1カプセル15万5464.00円。ピーク時に524億円の販売を見込んでいる。
「パドセブ点滴静注用」(エンホルツマブ ベドチン)は、抗ネクチン-4抗体に殺細胞性抗がん剤を結合させた抗体薬物複合体(ADC)で、適応は「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮がん」。中外製薬の抗HER2ADC「カドサイラ」を最類似薬とする類似薬効比較方式Iで算定された薬価は、10%の有用性加算IIがついて30mg1瓶9万9609円。ピーク時に118億円の売り上げを予想している。
アトピー性皮膚炎に対する2つの経口JAK阻害薬も薬価収載が了承された。ファイザーの「サイバインコ錠」(アブロシチニブ)とアッヴィの「リンヴォック錠」(ウパダシチニブ水和物)で、リンヴォックはアトピー性皮膚炎専用の30mg製剤が追加される。新規のJAK阻害薬であるサイバインコは、リンヴォックを最類似薬とする類似薬効比較方式Iで薬価算定され、薬価は50mg1錠2678.40円、100mg1錠5221.40円、200mg1錠7832.30円となった。ピーク時の販売予測は、リンヴォックの30mg製剤が103億円、サイバインコは166億円。
国内初のRET阻害薬や長時間作用型成長ホルモン製剤も収載
このほか、11月25日付で薬価収載されるのは、
▽天然型黄体ホルモン製剤「エフメノカプセル」(プロゲステロン)=富士製薬工業
▽抗がん剤「レットヴィモカプセル」(セルペルカチニブ)=日本イーライリリー
▽成長ホルモン製剤「ソグルーヤ皮下注」(ソマプシタン)=ノボノルディスクファーマ
▽ポンペ病治療薬「ネクスビアザイム点滴静注用」(アバルグルコシダーゼ アルファ)=
サノフィ
▽全身性エリテマトーデス治療薬「サフネロー点滴静注」(アニフロルマブ)=アストラゼネカ
など。
レットヴィモは国内初のRET阻害薬。適応は「RET融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」で、ピーク時に156億円の売り上げを見込む。ソグルーヤは長時間作用型の成長ホルモン製剤で、投与回数の大幅な減少によって患者負担の軽減が期待される。
アロフィセルは526万円
再生医療等製品では、武田の「アロフィセル注」(ダルバドストロセル)の収載が了承された。同種異系脂肪組織由来間葉系幹細胞で、適応は「非活動期または軽症の活動期クローン病患者における複雑痔瘻の治療」。原価計算方式で算定された薬価は4瓶1組562万4円。1回につき4瓶を投与する。ピーク時の販売予測は52億円。