IQVIAは8月17日、2020年4~6月期の国内医療用医薬品市場は前年同期比2.5%減の2兆5797億9000万円だったと発表した。四半期ベースでマイナス成長となったのは19年1~3月期以来5四半期ぶり。4月の薬価改定に新型コロナウイルスの感染拡大が追い打ちをかけた。
市場の内訳を見ると、▽病院(病床100床以上)1兆1765億7700万円(前年同期比1.7%減)▽開業医(100床未満)4762億8300万円(6.9%減)▽薬局その他9269億3000万円(1.3%減)――で、3市場とも前年同期を下回ったのは18年7~9月期以来7四半期ぶり。開業医市場と薬局その他市場は3四半期連続のマイナス成長となった。
キイトルーダ 11.7%減でもトップ
製品別売上高(薬価ベース)では、MSDの免疫チェックポイント阻害薬「キイトルーダ」が278億8800万円でトップ。4月の薬価改定で特例拡大再算定により20.9%の薬価引き下げを受け、売り上げは前年同期から11.7%減となったが、19年4~6月期から続く首位を守った。
2位は小野薬品工業の同「オプジーボ」(270億5800万円、9.6%増)、3位は中外製薬の抗がん剤「アバスチン」(255億9700万円、15.1%減)。アバスチンは4月の改定で新薬創出・適応外薬解消等促進加算の返還で薬価が15%以上下がったことが響いた。
売り上げ上位10製品では、武田薬品工業の抗潰瘍薬「タケキャブ」やアストラゼネカの抗がん剤「タグリッソ」が2ケタ増となった一方、ファイザーの疼痛治療薬「リリカ」や第一三共の抗潰瘍薬「ネキシウム」、抗凝固薬「リクシアナ」は売り上げを落とした。ネキシウムは4月の改定で特例拡大再算定によって25%の薬価引き下げを受けている。
薬効別では、抗腫瘍薬が3755億7500万円(5.6%増)でトップ。2位は糖尿病治療剤(1560億5600万円、5.4%増)、3位は免疫抑制剤(1125億5000万円、1.5%増)だった。上位10薬効のうち6薬効で前年同期を下回り、喘息・COPD治療剤(13.7%減)やレジン-アンジオテンシン系作用薬(8.3%減)、脂質調整剤・動脈硬化用剤(5.5%減)などで減少幅が大きかった。