2019年に国内で承認された新薬(新医薬品)をAnswersNewsが企業別に集計したところ、承認数が最も多かったのは7つの承認を取得したMSDでした。2位は承認数6の小野薬品工業と中外製薬。新規有効成分では、4つの新薬が承認された小野がトップとなりました。
2位は承認数6の小野と中外
医薬品医療機器総合機構(PMDA)が年度別にまとめている「新医薬品の承認品目一覧」をもとに、2019年1月~12月に承認された新薬を「新規有効成分」と「その他(適応拡大や新投与経路など)」に分けて集計しました。新医療用配合剤は新規有効成分としてカウントし、後発医薬品やバイオシミラーは除外しています。
19年に新医薬品の承認を取得したのは56社で、このうち最多となる7つの承認を取得したのはMSD。βラクタマーゼ阻害薬配合の抗菌薬「ザバクサ」や高脂血症治療用配合剤「ロスーゼット」(販売はバイエル薬品と共同)が承認されたほか、免疫チェックポイント阻害薬「キイトルーダ」の頭頸部がんと腎細胞がんなど、5つの適応拡大の承認を取得しました。
2位は小野薬品工業と中外製薬で、承認数は6。小野は▽褐色細胞腫治療薬「デムサー」▽慢性心不全治療薬「コララン」▽抗がん剤「ビラフトビ」▽同「メクトビ」――の4つの新規有効成分の承認を取得しました。中外は抗がん剤「ロズリートレク」が新規有効成分として承認されたほか、免疫チェックポイント阻害薬「テセントリク」の適応拡大(トリプルネガティブ乳がん、進展型小細胞肺がん)などが承認されました。
承認取得数5で上位3社に続いたのは、ヤンセンファーマと武田薬品工業。ともに新規有効成分で2つ、適応拡大などで3つの新医薬品が承認されました。新規有効成分では、ヤンセンが前立腺がん治療薬「アーリーダ」など、武田がうつ病治療薬「トリンテリックス」などの承認を取得しています。
6位(承認数4)は、第一三共やアストラゼネカ、アッヴィなど7社。第一三共は自社創製の高血圧症治療薬「ミネブロ」や疼痛治療薬「タリージェ」など、アストラゼネカは慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬「ビレーズトリ」などの承認を取得しました。アッヴィは白血病治療薬「ベネクレクスタ」を発売し、がん領域に参入しました。
ピーク時100億円以上は12品目
新規有効成分に限ってランキングしてみると、トップは4つの承認を取得した小野で、第一三共が承認数3で続きました。
19年に承認された新規有効成分44品目のうち、中央社会保険医療協議会(中医協)資料でピーク時に100億円以上(薬価ベース)の売り上げを見込むのは12品目。最高はアレクシオンファーマの発作性夜間ヘモグロビン尿症治療薬「ユルトミリス」(331億円)で、アステラス・アムジェン・バイオファーマの骨粗鬆症治療薬「イベニティ」(329億円)、第一三共のタリージェ(259億円)と続きました。
先駆け審査指定制度の対象品目では、中外のロズリートレクが承認。「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」の評価に基づいて厚生労働省が開発公募を行った品目では、▽小野のコララン▽大日本住友製薬の造血幹細胞移植前治療薬「リサイオ」▽帝人ファーマのアデノシンデアミナーゼ欠損症治療薬「レブコビ」▽藤本製薬の低セレン血症治療薬「アセレンド」――が承認を取得しました。
承認数は3年連続増加
19年に承認された新医薬品は適応拡大などを含めて計123(前年比18増)。3年連続で増加し、過去5年間で最多となりました。新規有効成分は44で、過去5年では58品目が承認された16年に次ぐ多さでした。
領域(PMDAが承認品目一覧で用いている「分野」)別では、前年に引き続き「がん」が最多。適応拡大などを含めて36の新医薬品が承認されました。次いで多かったのは「呼吸器・アレルギー・炎症」(17)。「中枢神経・末梢神経」(15)、「循環器・パーキンソン病、脳循環・代謝、アルツハイマー病」(12)、「抗菌・抗ウイルス薬」(10)も2ケタの承認となりました。
(亀田真由)
AnswersNews編集部が製薬企業をレポート
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