中央社会保険医療協議会(中医協)総会は8月28日、アルナイラム・ジャパンのトランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー治療薬「オンパットロ」や中外製薬の抗がん剤「ロズリートレク」、アンジェスの遺伝子治療薬「コラテジェン」など新薬12成分17品目と再生医療等製品1成分1品目の薬価収載を了承した。9月4日に収載する。
オンパットロに有用性加算40%
アルナイラム・ジャパンの「オンパットロ」(一般名・パチシランナトリウム)は、国内初のsiRNA核酸医薬。薬価はファイザーの「ビンダケル」を最類似薬とする類似薬効比較方式Iで算定。遺伝子変異型や疾患の進行程度によらず有効性が示されていることなどが評価され、有用性加算I(加算率40%)がついた。薬価は8.8mg4.4mL1瓶98万6097円(1日薬価8万40円)で、ピーク時に89億円の売上高を見込んでいる。
中外製薬の「ロズリートレク」(エヌトレクチニブ)は、NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発固形がんに対する治療薬。ファイザーの「ザーコリ」を最類似薬とする類似薬効比較方式Iで算定され、有用性加算II(10%)と先駆け審査指定制度加算(10%)がつき、薬価は100mg1カプセル5214.20円、200mg1カプセル9889.90円(1日薬価2万9669.70円)となった。ピーク時の売上高予測は11.7億円。
ユルトミリスとビレーズトリは費用対効果評価
このほか薬価収載が了承されたのは、
▽抗がん剤「ヴァンフリタ」(キザルチニブ塩酸塩)=第一三共
▽肝類洞閉塞症候群(肝中心静脈塞栓症)治療薬「デファイテリオ」(デフィブロチドナトリウム)=日本新薬
▽2型糖尿病治療薬「ゾルトファイ」(インスリン デグルデク/リラグルチド)=ノボ ノルディスク ファーマ
▽発作性夜間ヘモグロビン尿症治療薬「ユルトミリス」(ラブリズマブ)=アレクシオンファーマ
▽慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬「ビレーズトリ」(ブデソニド/グリコピロニウム臭化物/ホルモテロールフマル酸塩水和物)=アストラゼネカ
など。
デファイテリオには有用性加算II(10%)と市場性加算I(10%)が、ユルトミリスには有用性加算II(5%)がついた。ピーク時の売上高予測が100億円を超えたのはユルトミリス(331億円)とビレーズトリ(189億円)で、両剤は費用対効果評価の対象となった。
コラテジェンは1回60万円
再生医療等製品では、国内初の遺伝子治療薬として注目されるアンジェスの「コラテジェン」(ベペルミノゲン ペルプラスミド)の収載を了承。薬価は4mg1.6mL1瓶60万360円となった。同薬は慢性動脈塞栓症(閉塞性動脈硬化症・バージャー病)が対象で、虚血部位に対して1カ所あたり0.5mgを計8カ所に4週間間隔で2回投与(1回の総投与量は4mg)。新薬創出・適応外薬解消等促進加算の対象にはなったが、有用性系加算はつかなかった。