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PARP阻害薬にCDK4/6阻害薬…乳がんに新薬ラッシュ 免疫チェックポイント阻害薬も申請間近

更新日

乳がんで新薬の登場が相次いでいます。今年はPARP阻害薬「リムパーザ」が遺伝性乳がんに適応を広げ、CDK4/6阻害薬では2剤目となる「ベージニオ」が承認。免疫チェックポイント阻害薬のほか、新たな分子標的薬の開発も進んでおり、向こう数年で選択肢はさらに広がりそうです。

 

リムパーザ 1300人以上にBRCA遺伝子変異検査

「今までのところ、日本で1300人以上の乳がん患者にBRCA遺伝子変異の検査が行われている。これはかなりの数であると言える」。アストラゼネカのステファン・ヴォックスストラム社長は11月15日の記者会見で、今年7月に遺伝性乳がん治療薬として承認された「リムパーザ」(一般名・オラパリブ)の普及に手応えを示しました。

 

リムパーザは今年4月、日本初のPARP阻害薬として、再発卵巣がんに対する維持療法の適応で発売。7月にBRCA遺伝子変異陽性の進行・再発乳がんへの適応拡大が承認されました。BRCAは遺伝性乳がんの原因遺伝子の1つ。BRCAの変異があるからといって必ずがんを発症するわけではありませんが、発症リスクは一般的な日本人に比べて数倍から十数倍とされています。

 

リムパーザがターゲットとするPARP(ポリアデノシン5’二リン酸リボースポリメラーゼ)は、損傷したDNAの修復を助ける酵素。リムパーザはPARPの働きを阻害することで、酸細胞内でのDNA修復を阻害し、がん細胞を死滅させるという作用機序を持ちます。BRCA遺伝子変異を持つ転移性乳がんを対象に行われた臨床第3相(P3)試験「OlympiAD」では、化学療法に比べて病勢進行・死亡のリスクを42%低下させました。

 

CDK4/6阻害薬 2剤目の「ベージニオ」が承認

進行・再発乳がんに相次いで新薬が登場する中、PARP阻害薬のほかにもう1つ、新規作用機序の薬剤として最近出てきたのがCDK4/6阻害薬です。17年12月にファイザーが「イブランス」(パルボシクリブ)を発売したのに続き、今年9月には日本イーライリリーの「ベージニオ」(アベマシクリブ)が承認を取得。ベージニオは11月に薬価収載されており、近く発売される見通しです。

 

イブランスとベージニオ

 

イブランスとベージニオは、がん細胞の細胞周期を停止させ、増殖を抑制する薬剤です。対象は両剤ともホルモン受容体陽性/HER2陰性の進行・再発乳がん。いずれも、ホルモン療法と併用した臨床試験で無増悪生存期間の大幅な延長が示されており、「ホルモン療法の期間を延ばし、抗がん剤治療の開始時期を遅らせることで患者のQOL向上につながる」(国立がん研究センター中央病院乳腺・腫瘍内科の田村研治科長)ことが期待されます。

 

一方、HER2陽性の乳がんでは、13年から14年にかけて、中外製薬が「パージェタ」(ペルツズマブ)と「カドサイラ」(トラスツズマブ エムタンシン)を立て続けに発売しました。パージェタは抗HER2抗体で、「ハーセプチン」(トラスツズマブ)と併用することでがん細胞の増殖シグナルを広範に遮断。カドサイラはトラスツズマブに殺細胞性の抗がん剤を結合させた抗体薬物複合体(ADC)です。

 

最近承認された再発・進行乳がん治療薬の表。<ベージニオ(アベマシクリブ)>、社名:日本イーライリリー、適応:HR陽性・HER2陰性、作用機序:CDK4/6阻害薬、承認年:2018。<リムパーザ(オラパリブ)>、社名:アストラゼネカ、適応:BRCA遺伝子変異陽性・HER2陰性、作用機序:PARP阻害薬、承認年:2018。<イブランス(パルボシクリブ)>、社名:ファイザー、適応:HR陽性・HER2陰性、作用機序:CDK4/6阻害薬、承認年:2017。<カドサイラ(トラスツズマブエムタンシン)>、社名:中外製薬、適応:HER2陽性、作用機序:抗HER2ADC、承認年:2014。<パージェタ(ペルツズマブ)>、社名:中外製薬、適応:HER2陽性、作用機序:抗HER2抗体、承認年:2013。

 

テセントリクは18年申請予定 PI3K阻害薬やAKT阻害薬が開発後期に

開発段階にも多くの新薬候補が控えています。

 

幅広いがんへの効果が期待される免疫チェックポイント阻害薬では、中外製薬の「テセントリク」(アテゾリズマブ)とMSDの「キイトルーダ」(ペムブロリズマブ)が乳がんを対象に開発を進めています。いずれもP3試験の段階にあり、テセントリクは18年中の申請を予定しています。

 

ノバルティスのアルペリシブは、がん細胞の増殖シグナル経路の1つであるPI3Kを阻害する薬剤で、ホルモン受容体陽性/HER2陰性を対象にホルモン療法との併用で開発が進められています。

 

AKT阻害薬は、細胞増殖や細胞死に密接に関わっているとされるAKTを阻害する薬剤で、トリプルネガティブ乳がん(エストロゲン受容体陰性/プロゲステロン受容体陰性/HER2陰性)に対する分子標的治療として期待されています。国内では現在、中外製薬のイパタセルチブがP3試験、アストラゼネカのcapivasertibがP2試験を実施中。イパタセルチブは20年の申請を目指しています。

 

HER2を標的とした治療薬では、第一三共が抗HER2ADCトラスツズマブ デルクステカンを開発。21年度の承認取得を目指していますが、開発は順調に進んでおり、申請の前倒しも検討しています。中外製薬は、併用で用いられているハーセプチンとパージェタの配合剤を開発中。P3試験を実施しています。

 

国内で開発中の芋菜乳がん治療薬(P2以降)の表。【P3】<アテゾリズマブ(テセントリク)>、社名:中外製薬、作用機序:抗PD-L1抗体。<ペムブロリズマブ(キイルトーダ)>、社名:MSD、作用機序:抗PD-1抗体。<アルペリシブ(BLY719)>、社名:ノバルティス、作用機序:PI3K阻害薬。<トラスツズマブデルクステカン(DS-8201)>、社名:第一三共、作用機序:抗HER1ADC。<イパタセルチブ(RG7440)>、社名:中外製薬、作用機序:AKT阻害薬。<トラスツズマブ/ペルツズマブ(RG6264)>、社名:中外製薬、作用機序:抗HER2抗体(配合剤)。【P2】<capivasertib(AZD5363)>、社名:アストラゼネカ、作用機序:AKT阻害薬。<entinostat(KHK2375)>、社名:協和発酵キリン、作用機序:ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬。

 

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