「高給取り」のイメージが強い製薬業界。AnswersNewsでは、各社が公表した有価証券報告書をもとに、製薬会社81社の平均年収ランキングをまとめました。
「大台」とされる1000万円を超えたのは8社で、昨年のランキングから3社増加。武田薬品工業は10年ぶりに1000万円台に乗りました。ランキング1位となったのは、今年3月に東証マザーズに新規上場したバイオベンチャーのソレイジア・ファーマ。増加額では、そーせいグループがトップとなりました。
1000万円超は8社 ソレイジアは1398万円
今回のランキングで集計対象としたのは、有価証券報告書を公開している国内の製薬会社81社。新薬メーカーのほか、後発品メーカーやOTCメーカー、バイオベンチャーが含まれます。ランキングに用いたのは、2016年4月期~17年3月期の有価証券報告書に掲載されている値。大半は17年3月期(16年度)のデータです。
今回のランキングでトップとなったのは、バイオベンチャーのソレイジア・ファーマで、平均年収は1397.9万円(平均年収49.1歳)。2位は1181.2万円(48.9歳)のシンバイオ製薬、3位は1151.5万円(45.8歳)のそーせいグループで、ベンチャーが上位を独占しました。
ソレイジア・ファーマは、今年3月に東証マザーズに新規上場。がん領域を戦略的疾患領域とし、世界の製薬企業から有望な新薬候補を導入して、日本や中国を中心とするアジア各国に供給することを目指しています。16年12月末現在の従業員数は単体で11人。マザーズ上場に伴い開示された16年12月期の売上高は5億100万円(前年同期比118.5%増)、営業損益は4億6200万円の赤字(15年12月期は7億200万円の赤字)でした。
一般的に「大台」とされる1000万円を超えたのは、これら3社を含め8社。前年から3社増えました。
第一三共やアステラス製薬など業界でも屈指の高待遇でおなじみの大手企業が並ぶ中、注目すべきは1015.1万円(40.4歳)で8位にランクインした武田薬品工業。国内最大手でありながら、年収ではこれまでほかの大手企業を下回っていましたが、16年度は前年度から55.5万円アップし、06年度以来10年ぶりに1000万円を超えました。
武田はここ数年、重点疾患領域を絞り込み、国境を超えて研究開発拠点を再編するなど、事業構造を大胆に見直してきました。クリストフ・ウェバー社長が就任した14年度以降、従業員数は単体で142人、連結で1428人減少(16年度末時点は単体6638人、連結2万9900人)。収益力回復に向け、合理化が進みます。
上位ではこのほか、中外製薬や塩野義製薬、田辺三菱製薬などが900万円超え。免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」の急拡大で16年度は大幅な増収増益となった小野薬品工業も年収を上げ、900万円台が目前です。
集計対象企業(新規上場のソレイジア・ファーマを除く80社)の平均年収は724.4万円(41.7歳)で、前年(723.4万円、41.6歳)から1万円増(0.1%増)と横ばい。企業別に見ると、前年から年収が上がったのは42社で、38社は減少しました。
そーせいG 前年から169万円アップ
前年からの増加額が最も大きかったのは、ランキング3位のそーせいグループ。前年から169.2万円(17.2%)のアップとなりました。同社の2016年度業績は、売上高189億100万円(前年度比131.9%増)、営業利益123億8900万円(1052.5%増)と大幅な増収増益。スイス・ノバルティスに導出したCOPD治療薬のロイヤリティー収入や、提携先からのマイルストン収入で、業績は好調です。
アップ額2位はグリーンペプタイドから7月に社名を変更したブライトパス・バイオ(97.7万円増)、3位はシンバイオ製薬(68.8万円増)と、バイオベンチャーが上位を独占。大手では武田薬品工業(55.5万円増)のほか、国内事業が好調な第一三共(41.2万円増)や、抗HIV薬のロイヤリティー収入が伸びる塩野義製薬(37.5万円増)が年収を大きく上げました。
沢井製薬は196万円減 正社員化が影響
一方、前年から年収を最も大きく減らしたのは、後発医薬品の沢井製薬。平均年収は579.5万円で、前年から196万円(25.3%)減少しました。
沢井は2016年7月、全国6工場で製剤や包装などの業務を担当する有期雇用社員を、勤務地と業務を限定した無期雇用の「工場正社員」に転換。平均年収にも影響したと考えられます。沢井の従業員数(単体)はこの1年で1013人増加しました(16年度末の単体従業員数は2466人)。
沢井に続いて減少額が大きかったのは、いずれもバイオベンチャーのラクオリア創薬(88.2万円減)やサンバイオ(57.3万円減)など。エーザイは55万円減り、抗精神病薬「エビリファイ」の特許切れが響く大塚ホールディングスも37万円減少しました。
【ランキング表】全81社を一気に
【AnswersNews編集部が製薬会社を分析!】 |
AnswersNews編集部が製薬企業をレポート
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