1. Answers>
  2. AnswersNews>
  3. ニュース解説>
  4. トランプ政権の政策、製薬・バイオの大型M&Aに冷や水…しぼむ「大型買収活発化」の観測
ニュース解説

トランプ政権の政策、製薬・バイオの大型M&Aに冷や水…しぼむ「大型買収活発化」の観測

更新日

ロイター通信

[ニューヨーク ロイター]製薬・バイオテクノロジー企業の大型M&Aが停滞している。株式市場を混乱させ、世界的な貿易戦争を引き起こす予測不能なホワイトハウスの経済政策に経営陣が苦慮しているからだと、ヘルスケア投資銀行の幹部4人が語った。

 

数カ月・数四半期単位で取引が延期に

トランプ氏の大統領選勝利によってM&Aが活発化するとの観測が高まったが、それもすっかり薄らいでしまっているようだ。政治的な不確実性の高まりによって、一部のディールが数カ月あるいは数四半期という単位で先送りされているとバンカーたちは話す。

 

関連記事:製薬企業のM&A、再び活発化か…トランプ政権発足で規制緩和に期待、買収発表相次ぐ

 

買収相手の評価額や価格交渉について話し合うはずの経営幹部会議は、今や、自社に直接的な影響があるかどうかにかかわらず、トランプ氏の気まぐれな政策に戸惑う経営陣を落ち着かせることに費やされているという。

 

ある大手ヘルスケア取引担当者は、「彼らは『まさかこんなことになるとは思わなかった』とか『関税をかける、かけない』とか、そんなことばかり話している」と言う。「それにCEOは気を散らされている」とし、「私はその話題から皆を離そうとする。なぜなら、私に付け加えることは何もないからだ。話したところで、どこにも行き着かない」と彼は語った。

 

バンカーたちが懸念しているのは、関税や株式市場の変動だけではないという。トランプ氏がワクチン懐疑論者を厚生長官に任命し、FDA(食品医薬品局)など関連機関の職員を大量に解雇し、医薬品価格の引き下げを推進し、研究助成を削減しようとしていることは、製薬企業の収益減少と将来のパイプラインの縮小につながる可能性がある。

 

小規模M&Aが中心に

M&Aの成長は今年もヘルスケア関連の小規模な取引によって牽引されるとバンカーたちは見ている。ただ、取引の減少や縮小は、経済の不確実性、事業資金の不足、将来の成長見通しに対する信頼感の低下の表れを反映している可能性があると、バンカーやアナリストは指摘している。

 

バークレイズのバイオテクノロジー株式資本市場ビジネス担当マネージングディレクター、ダン・コックス氏は、「政権交代による不確実性は、投資コミュニティに多くのリスク回避行動を引き起こしている」と述べた。

 

TDコーエンのアナリスト、スティーブ・スカラ氏は、米国の関税とそれに対する他国の報復措置、型破りな要職人事、地政学的な緊張が、製薬業界の投資家を不安にさせていると語った。

 

関税は一部のヘルスケアセクターにより大きな影響を与える可能性がある。GEヘルスケア、インテュイティブサージカル、アイリズムといった医療機器メーカーは、部品を中国やメキシコからの輸入に頼っており、最近の決算説明会で関税が収益を圧迫する可能性に言及した。

 

関連記事:トランプ関税、困惑する製薬企業…「医薬品も貿易戦争の標的に」懸念、米欧に回避訴え

 

モルガン・スタンレーのアナリスト、モニカ・グエラ氏は今月、投資家向けのメモで、ロバート・F・ケネディ・ジュニア厚生長官がワクチン使用を弱体化させる可能性や、メディケイドの大幅な削減に言及。公衆衛生だけでなく、これらのプログラムに医薬品を供給する製薬会社にも悪影響を与える可能性があるとした。

 

バーンスタインのアナリスト、ウィリアム・ピカリング氏は、「多くの人々は、株式市場には『トランプ・プット』があると考えていた」と指摘。共和党の大統領は株式市場を満足させるために必要なことは何でもするという期待があったが、「今では、そうではないことは明らかだ」と話した。

 

小規模の非公開バイオテックがターゲットに

米国株の下落は今のところ対処可能と見られている。しかし、バンカーやアナリストは、景気後退の噂が大きくなれば状況は変わる可能性があると言う。

 

今年のM&Aの成長が小規模な取引によって牽引されるとバンカーらが考えるのは、大手製薬企業がベストセラー医薬品の特許切れに直面する中、買収を通じてパイプラインや製品ラインアップを再構築する必要に迫られているからだ。

 

メルク、ファイザー、ブリストル・マイヤーズスクイブ、アッヴィは、一部の主力品が特許切れを迎えることで、今後10年以内に数十億ドルもの収益を失う可能性がある。

 

バンカーやアナリストは、こうした企業が大企業との合併ではなく、開発中の新薬候補を持つ小規模な非公開バイオテクノロジー企業を買収する可能性が高いと見ている。

 

バークレイズのコックス氏によれば、大手製薬企業は商業初期段階にある企業に140億ドルを費やすよりも、承認取得や開発進展による追加のマイルストン支払いを伴う10~20億ドル程度の買収を行う可能性が高いという。

 

(取材:Sabrina Valle、編集:Dawn Kopecki/Bill Berkrot、翻訳:AnswerseNews)

 

あわせて読みたい

メールでニュースを受け取る

  • 新着記事が届く
  • 業界ニュースがコンパクトにわかる

オススメの記事

人気記事

メールでニュースを受け取る

メールでニュースを受け取る

  • 新着記事が届く
  • 業界ニュースがコンパクトにわかる