中央社会保険医療協議会(中医協)総会は11月13日、日本イーライリリーのアルツハイマー病治療薬「ケサンラ点滴静注液」やアムジェンの活動性甲状腺眼症治療薬「テッペーザ点滴静注用」など新薬17成分19品目の薬価収載を了承した。収載は20日。ギリアド・サイエンシズのトリプルネガティブ乳がん治療薬「トロデルビ点滴静注用」なども収載される。
「テッペーザ」「アセノベル」に45%の有用性加算
ケサンラ(一般名・ドナネマブ)の薬価は、エーザイの「レケンビ」(レカネマブ)を比較薬とする類似薬効比較方式Iで算定。アミロイドβプラークの除去が確認された場合は投与が完了できることが評価され、5%の有用性加算IIがついた。薬価は350mg20mL1瓶6万6948円(1日薬価8560円)。ピーク時の販売予測は796億円(予測投与患者数2.6万人)で、986億円(3.2万人)を見込むレケンビを下回った。
テッペーザ(テプロツムマブ)はインスリン様成長因子-1受容体(IGF-1受容体)阻害薬。薬価は原価計算方式で算定され、45%の有用性加算Iと10%の市場性加算がついたが、原価の開示度が低く加算係数はゼロとなった。薬価は500mg1瓶97万9920円で、ピーク時に494億円の販売を見込む。
ノーベルファーマの「縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーにおける筋力低下の進行抑制」を適応症とする「アセノベル徐放錠」(アセノイラミン酸)も45%の有用性加算Iを取得。同薬には市場性加算I(10%)と迅速導入加算(5%)もついた。
ギリアド・サイエンシズの抗TROP2抗体薬物複合体トロデルビ(サシツズマブ ゴビテカン)にも40%の有用性加算Iが適用された。薬価は同じトリプルネガティブ乳がんの適応を持つ抗PD-L1抗体「テセントリク」を比較薬とする類似薬効比較方式Iで算定され、200mg1瓶18万7195円となった。ピーク時に93億円の販売を予想している。
ピーク時販売予測100億円超は5成分
このほか、13日付で収載されるのは
▽不眠症治療薬「クービビック錠」(ダリドレキサント塩酸塩)=ネクセラファーマ
▽ランバート・イートン筋無力症候群「ファダプス錠」(アミファンプリジンリン酸塩)=ダイドーファーマ
▽肺動脈性肺高血圧症治療薬「ユバンシ配合錠」(マシテンタン/タダラフィル)=ヤンセンファーマ
▽胆道がん治療薬「タスフィゴ錠」(タスルグラチニブコハク酸塩)=エーザイ
▽大腸がん治療薬「フリュザクラカプセル」(フルキンチニブ)=武田薬品工業
▽筋萎縮性側索硬化症治療薬「ロゼバラミン筋注用」(メコバラミン)=エーザイ
▽インスリン製剤「アウィクリ注フレックスタッチ」(インスリン イコデク)=ノボノルディスクファーマ
▽非小細胞肺がん治療薬「ライブリバント点滴静注」(アミバンタマブ)=ヤンセンファーマ
――など。
ピーク時に100億円を超える販売を見込むのは、ケサンラとテッペーザのほか、クービビック(199億円)、ユバンシ(107億円)、アウィクリ(131億円)。ケサンラ、テッペーザ、アウィクリ、トロデルビの4成分は費用対効果評価の対象となった。