中央社会保険医療協議会(中医協)総会は8月7日、ノバルティスファーマの発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)治療薬「ファビハルタカプセル」など新薬12成分17品目の薬価収載を了承した。収載は15日。重症熱性血小板減少症候群ウイルス感染症治療薬として承認された富士フイルム富山化学の「アビガン錠」も同適応に限って保険適用される。
ピーク時100億円超は3成分
ファビハルタ(一般名・イプタコパン塩酸塩水和物 )は経口の補体B因子阻害薬。薬価はSwedish Orphan Biovitrum Japanの「エムパペリ皮下注」を最類似薬とする類似薬効比較方式Iで算定され、有用性加算II(5%)がついた結果、200mg1カプセル7万3218.10円となった。ピーク時の予測投与患者数は年間496人、年間販売額は215億円を見込む。
ファビハルタのほかにピーク時の予測売上高が100億円を超えたのは、ユーシービージャパンの抗てんかん薬「ブリィビアクト錠」(ブリーバラセタム)とノーベルファーマの低亜鉛血症治療薬「ジンタス錠」(ヒスチジン亜鉛水和物)。ブリィビアクトは178億円、ジンタス錠は116億円の販売を予測している。
武田薬品工業の抗サイトメガロウイルス薬「リブテンシティ錠」(マリバビル)は、既存治療に難治性の患者で有効性が期待されることなどが評価され、40%の有用性加算Iを取得。原価の開示度によって加算係数は0.6となった。ファイザーの抗生物質製剤「ザビセフタ配合点滴静注用」にも35%の有用性加算Iを適用。既存のβ-ラクタマーゼ阻害薬より阻害するβ-ラクタマーゼが広範なことや、比較薬の「ザバクサ」(MSD)で効果不十分な患者の治療選択肢となり得ることが評価された。
アビガン(ファビピラビル)の薬価は原価計算方式で算定され、市場性加算I(10%)がついた結果、200mg1錠3万9862.50円となった。ピーク時の予測投与患者数は70人で、2.2億円の販売を見込む。
GSKの「オムジャラ」、リリーの「ジャイパーカ」なども収載
このほか15日に薬価収載されるのは、
▽骨髄線維症治療薬「オムジャラ錠」(モメロチニブ塩酸塩水和物)=グラクソ・スミスクライン
▽抗がん剤「ジャイパーカ錠」(ピルトブルチニブ)=日本イーライリリー
▽同「ハイイータン錠」(グマロンチニブ水和物)=海和製薬
▽先天性プロテインC欠乏症治療薬「セプーロチン静注用」(乾燥濃縮人プロテインC)=武田薬品
▽アトピー性皮膚炎・尋常性乾癬治療薬「ブイタマークリーム」(タピナロフ)=日本たばこ産業
など。GSKの気管支喘息治療薬「レスベア」(ビランテロールトリフェニル酢酸塩/フルチカゾンフランカルボン酸エステル)には小児用の製剤が収載される。