住友ファーマ、新社長に木村徹氏…住友化学から副社長
住友ファーマは5月14日、木村徹代表取締役専務執行役員が社長に昇格する人事を発表した。野村博社長は特別顧問に就く。代表取締役副社長執行役員には、住友化学代表取締役専務執行役員の酒井基行氏が就任する。6月25日に開く定時株主総会とその後の取締役会で正式決定する。同社は主力品の特許切れと、それに代わる新製品の伸び悩みで2024年3月期まで2期連続で最終赤字を計上。体制を刷新し、経営の立て直しを図る。
同社はまた、業績の低迷を踏まえて役員報酬の減額を行うと発表。今年5月から来年3月まで、代表取締役社長は基本報酬の30%を、そのほかの取締役は20%を減額する。24年3月期の業績連動型報酬(賞与)は、支給対象の全取締役について100%減額する。
武田薬品、スイス企業からアルツハイマー病薬を導入…最大21億ドル
武田薬品工業は5月13日、スイスのACイミューンとアルツハイマー病治療薬候補「ACI-24.060」に関する独占的オプションとライセンス契約を結んだと発表した。同薬はアミロイドβを標的とする能動免疫療法薬。脳内のプラークを除去するとともに、プラークの形成を抑制することでアルツハイマー病の進行を遅らせる可能性があるという。現在、ACイミューンが前駆期アルツハイマー病とダウン症候群を対象に臨床第1b/2相(P1b/2)試験を行っている。武田がオプション権を行使した場合、その後の開発は武田の費用負担で行い、全世界で申請、商業化の責任を負う。武田は一時金として1億ドルを支払い、マイルストンとして最大21億ドルを支払う。
住友ファーマ、ユニバーサルインフルワクチンのP1試験開始
住友ファーマと医薬基盤・健康・栄養研究所は5月14日、種類の異なるインフルエンザウイルスに幅広く効果を示す「ユニバーサルインフルエンザワクチン」の候補製剤「fH1/DSP-0546LP」について、欧州でP1試験を始めると発表した。幅広いインフルエンザウイルスに効果が期待される膜融合型ヘマグルチニン抗原と、免疫応答性を高めるTLR7アジュバントを組み合わせたワクチン。両者の共同研究から生み出された。
サノフィ「サークリサ」未治療患者への適応拡大を申請
サノフィは5月14日、多発性骨髄腫治療薬の抗CD38抗体「サークリサ点滴静注」(一般名・イサツキシマブ)について、未治療の患者への適応拡大を申請したと発表した。ボルテゾミブ・レナリドミド・デキサメタゾンの3剤併用療法に追加する。日本では2020年に発売され、現在、再発・難治性の患者を対象に4つのレジメンで承認されている。
住友ファーマ「ジェムテサ」米で適応拡大申請
住友ファーマは5月14日、米国で販売するβ3アドレナリン受容体作動薬「GEMTESA」(ビベグロン)について、前立腺肥大症を伴う過活動膀胱(OAB)への適応拡大の申請が米FDA(食品医薬品局)に受理されたと発表した。承認されれば、同適応を対象とする初のβ3アドレナリン受容体作動薬となる。同薬は、米国では「成人の切迫性尿失禁、尿意切迫感および頻尿の症状を伴うOAB」の適応で2021年から販売している。
生化学「ヘルニコア」米国で申請
生化学工業は5月14日、腰椎椎間板ヘルニア治療薬「SI-6603」(コンドリアーゼ、日本製品名・ヘルコニア)について、米国で申請が受理されたと発表した。申請は、米国で行った追加のP3試験の結果に基づく。生化学は同薬の開発・販売でスイスのフェリング・ファーマシューティカルズと提携。日本を除く全世界での権利を供与している。
決算
住友ファーマ(2024年3月期、5月14日発表)
▽売上収益3145億5800万円(前期比43.4%減)▽営業利益3548億5900万円の赤字(前期は769億7900万円の赤字)▽当期利益3149億6900万円の赤字(前期は745億1200万円の赤字)――。主力だった抗精神病薬「ラツーダ」の売り上げが特許切れで96.6%減の67億円と大きく減少。前立腺がん治療薬「オルゴビクス」などの基幹3製品が想定に届かず、減損損失の計上で赤字が拡大した。25年3月期は売上収益3380億円(7.5%増)、営業利益0円を予想。基幹3製品の拡大でコア営業利益は10億円の黒字を見込む一方、最終利益は3期連続の赤字となる。
東和薬品(2024年3月期、5月14日発表)
▽売上高2279億3400万円▽営業利益176億4700万円▽経常利益244億7700万円▽純利益161億7300万円――。子会社の決算期を変更したため、前期との比較は非開示。決算期を調整した前期との比較では17.4%の増収、197.4%の営業増益となった。25年3月期は売上高2615億円(14.7%増)、営業利益180億円(2.0%増)を見込む。
科研製薬(2024年3月期、5月14日発表)
▽売上高720億4400万円(前期比1.3%減)▽営業利益95億1300万円(18.9%増)▽経常利益99億5100万円(14.0%増)▽当期純利益80億2500万円(47.5%増)――。関節機能改善薬「アルツ」(180億4000万円、5.7%増)は伸びたものの、爪白癬治療薬「クレナフィン」(171億1600万円、4.8%減)や癒着防止吸収性バリア「セプラフィルム」が売り上げを落とした。販管費の減少で利益は大幅に増加。25年3月期は売上高751億円(4.2%増)、営業利益74億円(22.2%減)を予想。研究開発費の増加が響く。
日本化薬(2024年3月期、5月13日発表)
ライフサイエンス事業の売上高635億円(前期比2%増)、営業利益24億円(77%減)。バイオシミラーや抗がん剤の後発医薬品を中心に販売を伸ばしたものの、ライセンス契約の一時金を計上した影響で大幅な減益となった。25年3月期は売上高639億円(1%増)、営業利益66億円(174%増)を予想している。
メディパルHD(2024年3月期、5月14日発表)
▽売上高3兆5587億3200万円(前期比5.9%増)▽営業利益473億3000万円(3.4%減)▽経常利益645億7000万円(0.8%減)▽純利益414億7400万円(6.9%増)――。MP五協F&Cの子会社化や事業投資費の増加で販管費が増加し、営業利益はわずかに減益となった。25年3月期は売上高3兆6600億円(2.8%増)、営業利益500億円(5.6%増)を見込む。
アルフレッサHD(2024年3月期、5月14日発表)
▽売上高2兆8585億円(前期比6.0%増)▽営業利益384億6000万円(27.6%増)▽経常利益399億9700万円(21.8%増)▽純利益295億5800万円(14.6%増)――。新型コロナウイルス感染症治療薬やインフルエンザ関連商品など伸びたほか、一部製薬企業の流通体制変更や売り上げ総利益率改善の取り組みなどで増収増益となった。25年3月期は売上高2兆9650億円(3.7%増)、営業利益373億円(3.0%減)を予想している。