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腫瘍由来T細胞療法「Amtagvi」など、5新薬が承認―2024年2月に米FDAが承認した新薬

更新日

亀田真由

(写真:ロイター)

 

2024年2月に米FDA(食品医薬品局)が承認した主な新薬と適応拡大を、領域別にまとめました。

 

【新薬】重度の凍傷に対する「Aurlumyn」など

【2024年2月に米FDAが承認した主な新薬】*=優先審査、★=RMAT 〈製品名/一般名/社名/適応/国内の開発状況〉▼がん/Amtagvi*★/lifileucel/米イオバンス/切除不能または転移性悪性黒色腫/-/▼消化器/Eohilia*/budesonide/武田薬品工業/好酸球性食道炎(11歳以上)/-/▼感染症/Exblifep*/cefepime/enmetazobactam/仏/独Allecra/複雑性尿路感染症(18歳以上)/-/▼その他/Aurlumyn*/iloprost/米Eicos/成人の重度の凍傷/-/Letybo/letibotulinumtoxinA/韓国ヒューゲル/中等度から重度の眉間のしわ/-|※米FDA(食品医薬品局)や各社の発表資料をもとに作成 国内開発状況は各社のパイプライン情報などを参照

 

がん

Amtagvi|米イオバンス

「Amtagvi」(lifileucel)は、切除不能または転移性の悪性黒色腫に対する腫瘍由来T細胞免疫療法。患者の腫瘍組織からT細胞を分離し、培養増殖した後、点滴で患者に投与します。対象は、PD-1阻害薬とBRAF阻害薬などの分子標的薬による治療歴のある患者。臨床試験での全奏効率と奏効期間に基づいて迅速承認されました。

 

消化器

Eohilia|武田薬品工業

「Eohilia」は、ステロイドのbudesonideの経口懸濁液。好酸球性食道炎(EoE)の治療薬として承認されました。EoEに特化して開発された新規製剤で、振ることで流動性が高まり、飲み込むと粘度の高い状態に戻るのが特徴です。臨床試験では、食道の炎症を抑え、嚥下能力を改善することが確認されました。

 

感染症

Exblifep|仏/独Allecra

抗菌薬「Exblifep」は、βラクタム系抗菌薬cefepimeと新規βラクタマーゼ阻害薬enmetazobactamの配合剤。腎盂腎炎を含む複雑性尿路感染症の治療薬として承認されました。新規抗菌薬の創出に対するインセンティブを定めたGAIN法に基づき、5年間の特許延長が認められています。臨床試験では、ESBL産生菌とAmpC産生菌の両方を介するグラム陰性菌感染症に対する有効性を確認。欧州でも近く承認される見通しです。

 

その他

Aurlumyn|米Eicos

「Aurlumyn」(iloprost)は、成人の重度の凍傷に対する初の治療薬。血管拡張作用によって血液凝固を防ぎ、指や足の切断リスクを軽減すると考えられています。有効成分のiloprostは、肺動脈性肺高血圧症治療薬「Ventavis」として米国で2004年に承認されています。

 

Letybo|韓国ヒューゲル

「Letybo」(letibotulinumtoxinA)はA型ボツリヌス毒素製剤。適応は「中等度から重度の眉間のしわの一時的な改善」です。欧州や中国でも承認されています。

 

【適応拡大】「Xolair」食物アレルギーなど

【2024年2月に米FDAが承認した主な適応拡大】※*=優先審査、★=ブレークスルーセラピー〈製品名(●は国内未承認薬)/一般名/社名/適応/同適応での日本の開発状況〉▼がん/Onivyde/irinotecan liposome/仏イプセン/"転移性膵臓腺がんの1次治療(+oxaliplatin+fluorouracil+leucovorin)/P2/Tepmetko*★/tepotinib/独メルク/"【完全承認】MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の転移性非小細胞肺がん/承認/Tagrisso*/osimertinib/英アストラゼネカ/EGFR遺伝子エクソン19欠損またはエクソン21 L858R変異陽性の局所進行または転移性の非小細胞肺がんの1次治療(成人、+プラチナベースの化学療法+pemetrexed)/-/●Pepaxto/melphalan flufenamide/スウェーデン・オンコペプチド/"【承認取り下げ】再発・難治性の多発性骨髄腫"/-/▼免疫/Xolair*★/omalizumab/米ジェネンテック/IgEを介した食物アレルギー(1歳以上)/-/▼感染症/Biktarvy/bictegravir/emtricitabine/tenofovir alafenamide/米ギリアド/HIV感染症(M184V/I耐性でウイルスが抑制されている患者)/-/Veklury/remdesivir/米ギリアド/新型コロナウイルス感染症(生後28日未満の小児、体重1.5kg以上3kg未満)/-|※米FDA(食品医薬品局)や各社の発表資料をもとに作成国内開発状況は各社のパイプライン情報などを参照

 

がん

Onivyde|仏イプセン

抗がん剤「Onivyde」(irinotecan liposome)は、転移性膵臓腺がん1次治療としてoxaliplatin、fluorouracil、leucovorinとの併用療法が承認。臨床試験では、nab-パクリタキセル/ゲムシタビン併用療法群と比べて全生存期間と無増悪生存期間を有意に改善しました。日本では、日本セルヴィエが「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な膵がん」を対象に販売しており、未治療患者を対象としたP2試験を進めています。

 

Tepmetko|独メルク

MET阻害薬「Tepmetko」(tepotinib)は、「MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の転移性非小細胞肺がん」の適応で完全承認を取得しました。同薬は2021年2月にP2試験の全奏効率と奏功期間をもとに迅速承認を取得。161人の追加患者に対する評価と、28カ月のフォローアップ期間での奏効期間の評価に基づいて正式承認されました。日本では20年から販売を行っています。

 

Tagrisso|英アストラゼネカ

EGFR阻害薬「Tagrisso」(osimertinib)は、プラチナベースの化学療法、pemetrexedとの併用療法が、「EGFR遺伝子エクソン19欠損またはエクソン21 L858R変異陽性の局所進行または転移性の非小細胞肺がんの1次治療」の適応で承認。P3試験では、標準治療のTagrisso単剤療法と比べて病勢進行または死亡のリスクを38%減らし、無増悪生存期間の中央値を8.8カ月延長しました。

 

【承認取り下げ】Pepaxto|スウェーデン・オンコペプチド

ペプチド薬物複合体(PDC)の「Pepaxto」(melphalan flufenamide)は、再発・難治性の多発性骨髄腫に対するdexamethasoneとの併用療法の承認が取り下げられました。21年に迅速承認を受けていましたが、検証的試験で臨床的有効性が確認できませんでした。オンコペプチドは、完全承認を持つ欧州での販売に注力する方針です。

 

免疫

Xolair|米ジェネンテック

抗IgE抗体「Xolair」(omalizumab)は、IgEを介した食物アレルギーに適応拡大。繰り返し投与することで偶発的に抗原に暴露した時のアレルギー反応を軽減することが可能となります。2つ以上の食物アレルギーを持つ168人の患者を対象に行った臨床試験の結果に基づき承認されました。日本では共同開発を行うノバルティスが喘息やアレルギー性鼻炎、慢性蕁麻疹を対象に販売を行っています。

 

感染症

Biktarvy|米ギリアド・サイエンシズ

抗HIV薬「Biktarvy」(bictegravir/emtricitabine/tenofovir alafenamide)は、M184V/I耐性を持ち、ウイルス量が抑制されているHIV感染者に使用できるようになりました。M184V/I耐性は、治療抵抗性の患者に一般的にみられる耐性の1つ。耐性により治療が十分に受けられていない患者に対する治療選択肢として期待されています。

 

バイオシミラー

【2024年2月に米FDAが承認したバイオシミラー】〈製品名/一般名/社名/適応〉Simlandi/adalimumab/アイルランドAlvotech/関節リウマチ、若年性特発性関節炎、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、尋常性乾癬、化膿性汗腺炎、ぶどう膜炎|※米FDA(食品医薬品局)や各社の発表資料をもとに作成

 

Simlandi|アイスランドAlvotech

抗TNFα抗体「Humira」(adalimumab)のバイオシミラー。Humiraとの互換品として指定されるバイオシミラーは初めてです。米国では提携先のイスラエル・テバが販売します。

 

AnswersNews編集部が製薬企業をレポート

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