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米国の薬価高騰は誰のせい?医薬品メーカーvs薬剤給付管理会社、ロビー活動で火花【海外ニュース】

更新日

ロイター通信

(写真:ロイター)

 

[ワシントン ロイター]米国の薬剤給付管理(PBM)会社を代表する主要団体が、2023年のロビー活動費を前年から倍増させ、1500万ドル超を支出したことが、ロイターが議会の開示資料を調べた結果、明らかになった。

 

PBM ロビー活動費を倍増

医薬品業界では、メーカーの団体である米国研究製薬工業協会(PhRMA)が投じた2700万ドルに次ぐ規模だ。PhRMAは、中間業者であるPBMを非難することで薬価高騰への批判をかわそうとしている。

 

PBMのロビー団体Pharmaceutical Care Management Association(PCMA)が昨年費やした1500万ドルは、22年の860万ドル、21年の780万ドルを大きく凌ぐものだ。23年の数字は、先週、第4四半期のロビー活動に関する資料が開示されたことで明らかになった。

 

米国連邦議会の議員や連邦取引委員会(FTC)は、医療費の増加にPBMがどう関わっているのか調査してきた。提案されているいくつかの法案では、PBMが得る手数料も含めて取引内容を公表するよう求めている。

 

カイザーファミリー財団(KFF)の医療政策担当バイスプレジデント、ラリー・レビット氏は「近年、政策立案者らは、薬価高騰の原因はPBMにもある程度の責任があると認識するようになった」と指摘。「より厳しい規制を課そうとする動きをかわすため、PBMがロビー活動を強化したことは驚くべきことではない」と語った。

 

PBMは、クライアント(主に雇用主と健康保険会社)に代わって製薬会社と処方薬の支払いについて交渉し、保険給付の対象となる医薬品のリストにどれを含めるか決定する。

 

PBMを批判する人たちは、PBMは値下げ交渉ではなく、価格を吊り上げることで自らを富ませてきたと主張する。PBMはこうした指摘を否定した上で、自分たちは顧客の医薬品コストを抑えるために重要な役割を果たしており、アスターマーケットの割引のほとんどは顧客に提供されると主張している。

 

PCMAは、CVSヘルスのケアマーク、シグナグループのエクスプレス・スクリプツ、ユナイテッド・ヘルスグループのオプタムRx、プライム・セラピューティクス、ヒューマナといったトップPBMが加盟している。

 

PCMAの広報担当者は、処方薬にかかるコストの削減でPBMが果たしている役割について、議員や国民への啓発が不可欠だと指摘。PhRMAはこの1年間、薬価が高いのは「中間業者」のせいだとする広告をテレビやインターネットで流してきた。PCMAの広報担当者は「大手製薬会社は、高額な医薬品コストの責任を他者になすりつけるため、異常に高額な広告費お投じ続けている」と述べた。

 

「PBMモデルは崩壊」

一方、PhRMAの広報担当、ニック・マギー氏は「崩壊したPBMモデルの内情を目の当たりにする人が増えるほど、システムを修正する必要があることが明らかになる」と強調。「全米各地で、規制当局、政策立案者、患者、医療提供者、薬剤師、小規模PBMなどからなる超党派の合唱団が行動を求める声を大きくしている」と語った。

 

KFFのレビット氏は、PhRMAはPBMに対する監視の推進に大きな役割を果たしているが、規制強化の背景はそれだけではないと指摘する。同氏によると、民主党と共和党はその慣行を徹底的に追求しており、雇用主は取引の透明性向上を求めているという。レビット氏は「インフレ抑制法の成立によって、PBMをより緻密に精査する超党派の取り組みに道が開かれた」と話す。

 

PhRMAは2001年以降、医薬品業界でロビー活動支出トップの座を維持しており、全米でも支出額トップ5に入る。23年に投じた2700万ドルは、インフレ抑制法に基づくメディケア初の薬価交渉など、さまざまな問題で業界への支持を集めるために使われた。

 

バイオテクノロジーイノベーション機構(BIO)は23年に複数の会員の脱退を経験し、ロビー活動費は業界2位から7位に後退した。BIOの広報担当者は、支出額は毎年変動しており、ある特定の問題に基づいているわけではないと述べた。BIOは19年から22年にかけて年間1200万~1300万ドルをロビー活動に費やした。

 

(取材:Ahmed Aboulenein、編集:Caroline Humer/Bill Berkrot、翻訳:AnswersNews)

 

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