医師向けの薬剤比較アプリ「イシヤク」で、2023年10~12月に会員医師が検索した医薬品を製品別にランキングしました。
2位は慢性心不全治療薬「エンレスト」
2023年10~12月にイシヤクで医師が最も検索した薬剤は、中外製薬の抗インフルエンザウイルス薬「タミフルカプセル/ドライシロップ」(一般名・オセルタミビルリン酸塩)。2位はノバルティスファーマの慢性心不全治療薬「エンレスト錠」(サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物)で、3位は第一三共のインフルエンザ治療薬「イナビル吸入懸濁用/吸入粉末剤」(ラニナミビルオクタン酸エステル水和物)でした。
インフルエンザは今シーズン、例年より早く流行が本格化。特に小児向け製剤の需要が増大し、タミフルのドライシロップ製剤は昨年11月から限定出荷を行っています。中外製薬や厚生労働省が5歳以上の患者には吸入薬の使用を検討するよう呼びかけていることもあり、吸入薬であるイナビルの検索数も増えました。
インフルエンザや新型コロナウイルス感染症を含め、感染症の流行も続いており、関連する薬剤では前回(7~9月)1位だった塩野義製薬の鎮咳薬「メジコン」(デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物)が5位。あゆみ製薬の解熱鎮痛薬「カロナール」(アセトアミノフェン)は12位でした。
このほか、前回のランキング圏外から20位以内に入ったのは、ノボノルディスクファーマの経口GLP-1受容体作動薬「リベルサス」(14位)や協和キリンの制吐薬/消化管運動改善薬「ナウゼリン」(17位)など。リベルサスは、同一成分の肥満症治療薬「ウゴービ」が11月に薬価収載されたこともあってか、関心が高まりました。
【ピックアップ】抗インフルエンザウイルス薬
インフルエンザ向け抗ウイルス薬をピックアップしてみると、1位タミフル、2位イナビルに続く検索数3位は、塩野義製薬の「ゾフルーザ」(バロキサビル マルボキシル)。4位は同社の「ラピアクタ」(ペラミビル水和物)、5位はグラクソ・スミスクラインの「リレンザ」(ザナミビル水和物)でした。
ゾフルーザは、キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬。ノイラミニダーゼ阻害薬であるほかの4剤とは異なる作用を持ちます。流行の早期化・長期化を背景に需要が拡大し、塩野義は昨年11月から今年1月にかけて限定出荷を行いました。
【データ提供】医師向け薬剤比較アプリ「イシヤク」(flixy)
「医師にとって最も使いやすい!」を目指して現役医師が開発した医師向け薬剤比較アプリ(医師以外も登録可能)。医師の処方の観点から、ほかの薬剤との比較を主眼に2万以上の薬剤の特徴を簡潔にまとめている。全薬剤に専門医コメントも掲載しており、処方した医師の実感などを確認できる。さらに、肺がんに特化した最新の国内外の学会まとめスライドも掲載している。iOS・Androidアプリ・WEBサイト。 |