中央社会保険医療協議会(中医協)総会は11月15日、ノボノルディスクファーマの肥満症治療薬「ウゴービ皮下注」やジェンマブの抗がん剤「エプキンリ皮下注」など新薬13成分35品目の薬価収載を了承した。収載は22日付。
ウゴービ、ピーク時に328億円の販売を予想
ノボノルディスクファーマの肥満症治療薬「ウゴービ皮下注」(一般名・セマグルチド)はGLP-1受容体作動薬。今年3月に承認を取得したが、供給体制を整えてから発売するとして薬価収載を見送っていた。薬価は原価計算方式(組成・投与形態が同一で効能・効果が異なる既収載品がある新薬の薬価算定の特例)で算定され、0.25mg0.5mL1キット1876円、0.5mgが3201円、1mgが5912円、1.7mgが7903円、2.4mgが1万740円。有用性加算II(5%)がついたが、原価開示度が50%未満のため加算係数はゼロとなった。ピーク時に年間投与患者数10万人、年間販売金額328億円を見込む。
ジェンマブの「エプキンリ皮下注」(エプコリタマブ)は抗CD3/CD20二重特異性抗体で、対象疾患は大細胞型B細胞リンパ腫と濾胞性リンパ腫。薬価はアムジェンの「ビーリンサイト点滴静注用」(ブリナツモマブ)を最類似薬とする類似薬効比較方式Iで算定。有用性加算II(10%)がつき、薬価は4mg0.8mL1瓶13万7724円、48mg0.8mL1瓶159万5363円となった。ピーク時の予測販売金額は307億円。
高コレステロール血症向けsiRNA「レクビオ」は195億円
がん領域では、抗HER2抗「ハーセプチン」と同「パージェタ」の配合剤「フェスゴ配合皮下注」(ペルツズマブ/トラスツズマブ/ボルヒアルロニダーゼ アルファ、中外製薬)も収載。ピーク時に344億円の販売を見込む。2021年9月に承認された大原薬品工業の「メグルダーゼ静注用」(グルカルピダーゼ)も2年越しで収載にこぎつけた。同薬はメトトレキサート・ロイコボリン救援療法によるメトトレキサート排泄遅延時の解毒に使用する薬剤。
家族性高コレステロール血症・高コレステロール血症に対するsiRNA医薬品「レクビオ皮下注」(インクリシランナトリウム)も収載される。薬価は、アムジェンの抗PCSK9抗体「レパーサ皮下注」(エボロクマブ)を最類似薬とする類似薬効比較方式Iで算定。新規の作用機序を持ち、投与間隔が長く利便性が高いことが評価され、有用性加算I(40%)がついた。薬価は300mg1.5mL1筒44万3548円。ピーク時に195億円の販売を予想している。
「レクビオ」「フォゼベル」「アレモ」に有用性加算I
このほか、11月22日付で薬価収載されるのは、
▽高リン血症治療薬「フォゼベル錠」(テナパノル塩酸塩)=協和キリン
▽全身型重症筋無力症治療薬「ジルビスク皮下注」(ジルコプランナトリウム)=ユーシービージャパン
▽同「リスティーゴ皮下注」(ロザノリキシズマブ)=同
▽血友病治療薬「アレモ皮下注」(コンシズマブ)=ノボノルディスクファーマ
▽血友病A治療薬「オルツビーオ静注用」(エフアネソクトコグ アルファ)=サノフィ
――など。
フォゼベルは、既存のリン吸着薬で効果不十分な透析患者を対象に行った臨床試験で有効性を示したことが評価され、有用性加算I(40%)を取得。ピーク時に193億円の販売を見込む。
抗TFPI抗体のアレモにも35%の有用性加算Iがついた。臨床試験でインヒビター保有血友病患者に対する有効性が検証されたことが評価された。
ピーク時の予測販売金額が100億円を超えたのは、▽フォゼベル▽レクビオ▽ウゴービ▽エプキンリ▽オルツビーオ▽リスティーゴ――の5成分。フォゼベル、レクビオ、ウゴービ、エプキンリの4成分は費用対効果評価の対象となった。