製薬業界 きょうのニュースまとめ読み（2023年5月12日）

アンジェス、米アイガーから導入の早老症治療薬を申請

アンジェスは5月12日、早老症治療薬「ゾキンヴィ」（一般名・ロナファルニブ）を申請したと発表した。同薬は米アイガー・バイオファーマシューティカルズが開発した「ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群」と「プロセシング不全性のプロジェロイド・ラミノパチー」に対する治療薬。米国では2020年に承認され、アンジェスは昨年5月に日本での独占販売に関する契約を結んだ。国内の投与患者数は数人程度となる見込み。

「キイトルーダ」化学療法との併用療法、HER2陰性胃がんで申請

MSDは5月12日、抗PD-1抗体「キイトルーダ」（ペムブロリズマブ）について、HER2陰性胃腺がん、食道胃接合部腺がんに対する化学療法との併用療法を申請したと発表した。米国や欧州でも申請中。

武田　IBDの疾患啓発でローソンとコラボ

武田薬品工業は5月12日、ローソンと協働して炎症性腸疾患（IBD）の疾患啓発活動を行うと発表した。ローソンは、トイレの大切さを考えるきっかけづくりとしてアートトイレの展開を進めており、アートトイレを導入する5店舗（導入予定含む）を中心にIBDに関するポスターを掲示するほか、全国の店舗のPOSレジ画面で啓発を行う。

決算

三菱ケミカルグループ（2023年3月期、5月12日発表）

医薬品事業の売上収益は5354億円（38.8%増）、営業利益843億円（前期は157億円の赤字）。ノバルティスとの係争が決着したことで、これまで収益認識できていなかった多発性硬化症治療薬「ジレニア」のロイヤリティ収入1259億円を一括計上し、3期ぶりの黒字となった。国内医療用医薬品では、乾癬・クローン病・潰瘍性大腸炎治療薬「ステラーラ」（662億円、28.5%増）などが拡大。筋萎縮性側索硬化症治療薬「ラジカヴァ」の海外売上高は87.8％増の462億円だった。24年3月期は売上収益3885億円（27.4%減）、営業利益230億円（72.7％減）を見込む。

生化学工業（2023年3月期、5月12日発表）

売上高334億5600万円（前期比4.0%減）、営業利益21億1400万円（53.0%減）。ロイヤリティ収入が前期比100%減となったことで減収減益となった。24年3月期は売上高325億5000万円（2.7％減）、営業利益1億円（95.3%減）を予想。増産体制の整備や燃料費高騰による原価上昇で大幅な減益を見込む。

日本ケミファ（2023年3月期、5月12日発表）

売上高315億5900万円（前期比2.9%減）、営業利益2億4100万円の赤字（前期は8億2500万円の黒字）。後発医薬品の売上高は、昨年12月に一部製品の出荷を一時停止したことなどが響き、前期比5.6%減の248億300万円にとどまった。主力のアルカリ化療法剤「ウラリット」なども薬価改定の影響を受けた。24年3月期の業績予想は、売上高327億円（3.6%増）、営業利益2億円。

ヤクルト本社（2023年3月期、5月12日発表）

医薬品製造販売事業の売上高は127億6300万円（前期比24.9%減）、営業利益1億円の赤字（前期は26億円の黒字）。薬価改定に加え、抗がん剤「オニバイド」のプロモーション契約が昨年9月に終了したことが響いた。24年3月期以降、医薬品事業は「その他事業部門」に含め、個別の業績開示は行わない。

メディパルHD（2023年3月期、5月12日発表）

売上高3兆3600億800万円（前期比2.1%増）、営業利益489億7200万円（7.3%増）。化粧品や一般用医薬品の卸売事業が好調だった。医療用医薬品等卸売事業は、薬価改定の影響で医療用医薬品の売上高が前年を下回ったものの、新型コロナ関連商材が順調に推移して0.6%増の2兆1896億円。24年3月期は売上高3兆5100万円（4.5%増）、営業利益490億円（0.1%増）を見込む。

東邦HD（2023年3月期、5月12日発表）

売上高1兆3885億6500万円（前期比9.7%増）、営業利益128億1300万円（2.3％増）。抗がん剤やスペシャリティ医薬品の売り上げが順調に推移したのに加え、新型コロナウイルス感染症の治療薬や検査キットが寄与した。24年3月期は売上高1兆3250億円、営業利益115億円を見込む。従来は営業外収益に計上していた製薬企業などからの情報提供料収入を売上高に含めることとしたため、増減は公表していない。