欧米の大手製薬企業19社の2022年の決算を▽売上高・純利益▽研究開発費▽主力製品の売上高▽疾患領域・事業別売上高▽地域別売上高――5つの切り口からチャートで解説します。
【チャートで見る】欧米製薬大手2022年の決算
(1)売上高・純利益・研究開発費 |
ファイザー、売上高の57%をCOVID-19で稼ぐ
欧米大手製薬企業19社の2022年の決算発表から、主力製品(売り上げ上位3製品)の売上高とそれらが総売上高に占める割合をチャートにまとめました。主力3製品が総売上高に占める割合が高い企業(=主力3製品への売り上げ依存度が高い企業)から順に並べています。
COVID-19ワクチンの開発成功で一躍、大手製薬企業の仲間入りを果たした独ビオンテックと米モデルナは、総売上高のほぼすべてをCOVID-19ワクチンが占めています。COVID-19ワクチンの売上高は、ビオンテックが180.02億ドル、モデルナが184.35億ドル。ビオンテックは総売上高の99%、モデルナは96%をCOVID-19ワクチンで稼ぎました。
総売上高が1000億ドルを突破した米ファイザーは、COVID-19ワクチン「コミナティ」が378.06億ドルを売り上げ、経口抗ウイルス薬「パクスロビド」(日本の製品名は「パキロビッド」)も189.33億ドルを販売。総売上高の57%をこれらCOVID-19関連製品で稼いだことになります。
7社が上位3製品で売り上げの半分以上
売り上げ上位3製品が総売上高の半分以上を占めたのは、これら3社のほか、米ギリアド・サイエンシズ、米メルク、米アッヴィ、米バイオジェン。メルクは200億ドルを突破した免疫チェックポイント阻害薬「キイトルーダ」が総売上高の35%を占め、アッヴィも最主力の抗TNFα抗体「ヒュミラ」が37%を占めました。
反対に、上位3製品の占める割合が低かったのは、スイス・ロシュ(21%)や同ノバルティス(22%)、英グラクソ・スミスクライン(24%)など。英アストラゼネカも30%となっています。
各社とも主力製品はおおむね前年から売り上げを伸ばしましたが、ビオンテック、米バイオジェン、独バイエル、米アムジェンは売り上げトップの製品が前年を下回りました。バイオジェンは上位3製品すべてが減収です。