医師向けの薬剤比較アプリ「イシヤク」で、2022年10~12月に会員の医師が検索した薬剤を製品別・薬効別にランキングしました。2022年の年間トップ10もまとめています。
【製品別】「デエビゴ」年間通じてトップ
イシヤクで2022年10~12月に医師が最も検索した薬剤は、エーザイの不眠症治療薬「デエビゴ錠」(一般名・レンボレキサント)でした。同薬は年間を通して検索数1位をキープし、22年に最も検索された薬剤となりました。10位となった「ベルソムラ錠」(スボレキサント)を含め、オレキシン受容体拮抗薬を含む睡眠薬全体への関心も高く、イシヤクが医師向けにアプリ上で提供している疾患別・薬効別に治療薬をまとめた資料でも、22年は「睡眠薬」が最も多く見られたといいます。
22年10~12月の検索数2位は、前回(22年7~9月)に続いてノバルティスファーマの慢性心不全・高血圧症治療薬「エンレスト錠」(サクビトリルバルサルタン)。年間でも2位となりました。
3位は、前回9位だったシオノギファーマの鎮咳薬「メジコン」(デキストロメトルファン)。前回3位のあゆみ製薬の解熱鎮痛薬「カロナール」(アセトアミノフェン)は12位となりました。いずれも、新型コロナウイルス感染拡大の影響で需要が増加した薬剤です。MSDの抗ウイルス薬「ラゲブリオカプセル」(モルヌピラビル)は17位でした。
4位は第一三共の疼痛治療薬「タリージェ錠」(ミロガバリン)で、前回の12位から順位を8つ上げました。神経障害性疼痛治療薬では、ヴィアトリス製薬の「リリカ」(プレガバリン)も20位から7位にランクアップ。5位は、武田薬品工業の高血圧症治療薬「アジルバ」(アジルサルタン)でした。
新たにトップ20に入ったのは、18位の第一世代抗ヒスタミン薬「ポララミン」(d-クロルフェニラミン、高田製薬)と、19位の慢性便秘症治療薬「グーフィス」(エロビキシバット、EAファーマ)。同じく慢性便秘症を対象とするClC-2チャネル活性化剤「アミティーザ」(ルビプロストン、ヴィアトリス製薬)は16位。胆汁酸トランスポーター阻害薬のグーフィスと比較されたとうかがえます。
22年の年間検索数トップ10には、デエビゴやエンレスト、カロナールなどが並んでいます。
【薬効別】年間トップは「第二世代抗ヒスタミン薬」
2022年10~12月の薬効別の検索数は、1位から4位までが前回(22年7~9月)、前々回(22年4~6月)と同じ顔ぶれとなりました。医師の検索数が最も多かったのは、アレルギー性鼻炎治療薬の第二世代抗ヒスタミン薬。2位は高血圧症・狭心症治療薬のカルシウム拮抗薬(ジヒドロピリジン系)で、3位はアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)、4位はプロトンポンプ阻害薬(PPI)でした。
年間を通して見ても、トップは第二世代抗ヒスタミン薬。薬効内の製品がトップ20にランクインしたのは花粉症シーズンに重なった2022年1~3月だけでしたが、1年で最も検索された薬効となりました。5位に糖尿病治療薬のDPP-4阻害薬が入り、同じく糖尿病などの治療に使用されるSGLT2阻害薬も9位となりました。
【データ提供】医師向け薬剤比較アプリ「イシヤク」(flixy)
「医師にとって最も使いやすい!」を目指して現役医師が開発した医師向け薬剤比較アプリ(医師以外も登録可能)。医師の処方の観点から、ほかの薬剤との比較を主眼に2万以上の薬剤の特徴を簡潔にまとめている。薬効検索や腎機能表示、疑義照会、レセプト返戻にも対応し、忙しい外来でも処方に必要な情報を確認できるのが特徴。全ての薬剤に専門医のコメントが掲載されており、処方した医師の実感などを確認できる。iOS・Androidアプリ。 |