各社公表の有価証券報告書をもとに、製薬会社85社の2021年度の平均年収をランキングにまとめました。1000万円の大台を超えたのは11社で、1位は6年連続でバイオベンチャーのソレイジア・ファーマ。大手新薬メーカーでは中外製薬がトップとなりました。
1000万円超は11社
集計対象としたのは、7月末時点で直近の事業年度の有価証券報告書を公表した国内の製薬会社85社。新薬メーカーのほか、後発医薬品メーカーやOTC(一般用医薬品)メーカー、バイオベンチャーが含まれます。ランキングに用いたのは、2021年4月期~22年3月期の有価証券報告書に記載されている従業員の平均年収。大半は22年3月期または21年12月期の数字です。
今回のランキングで1位となったのはソレイジア・ファーマ。平均年収は前年比10万円(0.7%)増の1490万円(平均年齢51.4歳)で、6年連続のトップとなりました。2位は1247万円(48.1歳)のサンバイオ、3位は1228.5万円(45.3歳)のそーせいグループ。4位は昨年2位だったシンバイオ製薬で、上位5社のうち4社をバイオベンチャーが占めました。
ソレイジアは、国内外の製薬会社やバイオベンチャーからがん領域の新薬候補を導入し、日本やアジアで開発・販売するバイオベンチャー。21年12月期末の従業員数は21人で、同期の業績は売上収益5億5900万円(23.1%増)、営業利益24億1900万円の赤字(前期は41億1600万円の赤字)でした。同社を含む上位4社のうち21年度(サンバイオは22年1月期、ほかの3社は21年12月期)に営業黒字を確保したのはそーせいGとシンバイオ製薬の2社。そーせいGの21年12月期の営業利益は前期比306.8%増の37億7500万円となり、従業員の平均年収も76.9万円(6.7%)アップしました。20年12月から抗がん剤「トレアキシン」の自社販売を開始したシンバイオ製薬は黒字化を達成しています。
一般的に大台とされる1000万円を超えたのは上位4社を含め11社。1000万円を上回った会社の数は昨年と同じでした。
持株会社の大塚ホールディングス(HD)を除く大手新薬メーカー5社では、中外製薬が55.7万円(5.1%)増の1155.8万円でトップ。同社は好調な業績を背景に年収アップが続いており、この5年間で約200万円増加しています。一方、長らく1000万円以上を維持してきたエーザイは920.1万円と122.3万円(11.7%)の大幅ダウン。昨年、新薬大手でトップだった第一三共も21.9万円(2.0%)減少し、28.5万円(2.6%)増となった武田薬品工業にも抜かれました。
サンバイオなど大幅増、エーザイ122万円ダウン
前年からの増加額が最も大きかったのは、ランキング2位のサンバイオ。175.4万円(16.4%)増加し、1000万円を超えました。増加額2位は体外診断用医薬品を手掛けるミズホメディー。同社の21年12月期業績は、新型コロナウイルス感染症の検査需要を追い風に売上高が前期の3.1倍、営業利益が16.1倍となり、従業員の平均年収も160.8万円(30.5%)アップしました。クリングルファーマやデ・ウエスタン・セラピテクス研究所も2割近い増加となっています。
一方、前年からのダウンが最も大きかったのは、196.6万円(20.5%)減となった大幸薬品。21年12月期は主力製品「クレベリン」の販売不振で赤字に転落し、今年6月には希望退職者の募集を行いました。1000万円の大台を割り込んだエーザイも100万円を超えるダウンとなりました。22年3月期まで3期連続の営業減益となった塩野義製薬は、前年に続いて40万円を超えるダウン。事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)による経営再建を目指す日医工も5.0%減少しました。
全85社のランキング
AnswersNews編集部が製薬企業をレポート
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