中央社会保険医療協議会(中医協)総会は5月18日、中外製薬の加齢黄斑変性・糖尿病黄斑浮腫治療薬「バビースモ硝子体内注射液」やバイエル薬品の慢性腎臓病治療薬「ケレンディア錠」など新薬14成分18品目の薬価収載を了承した。収載は5月25日。先駆け審査指定制度の対象品目であるサノフィの酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症治療薬「ゼンフォザイム点滴静注用」も同日付で収載される。
バビースモ ピーク時320億円の販売予測
「バビースモ硝子体内注射液」(一般名・ファリシマブ)は、VEGFとAng-2を標的とするバイスペシフィック抗体。中外製薬にとっては初の眼科領域の製品となる。類似薬効比較方式IIで算定された薬価は、過去6年間に収載された類似薬の最低1日薬価(1805円)に合わせる形で設定され、6mg0.05mL1瓶16万3894円となった。ピーク時に320億円の販売を見込む。
「ケレンディア錠」(フィネレノン)はMR拮抗薬で、2型糖尿病を合併する慢性腎臓病の治療薬。薬価は原価計算方式で算定され、10mg1錠149.10円、20mg1錠213.10円となった。ピーク時の販売予測は264億円。
「ゼンフォザイム点滴静注用」(オリプダーゼ アルファ)はヒトスフィンゴミエリンホスホジエステラーゼ類縁体で、3月に日本で世界初の承認を取得。薬価は原価計算方式で算定され、有用性加算II(10%)と市場性加算I(10%)、先駆加算(10%)がついたが、原価の開示度が50%未満だったため加算係数がゼロとなり、実質的に加算は適用されなかった。薬価は20mg1瓶57万420円で、ピーク時に3.3億円の売り上げを予測している。
4新薬 原価開示度50%未満で加算ゼロ
このほか、5月25日付で薬価収載されるのは、
▽遅発性ジスキネジア治療薬「ジスバルカプセル」(バルベナジントシル酸塩)=田辺三菱製薬
▽顕微鏡的多発血管炎・多発血管炎性肉芽腫症治療薬「タブネオスカプセル」(アバコパン)=キッセイ薬品工業
▽慢性骨髄性白血病治療薬「セムブリックス錠」(アシミニブ塩酸塩)=ノバルティスファーマ
▽直接作用型第Xa因子阻害薬中和剤「オンデキサ静注用」(アンデキサネット アルファ)=アレクシオンファーマ
▽ムコ多糖症VII型治療薬「メプセヴィ点滴静注液」(ベストロニダーゼ アルファ)=アミカス・セラピューティクス
▽遺伝性血管性浮腫治療薬「タクザイロ皮下注」(ラナデルマブ)=武田薬品工業
▽アトピー性皮膚炎に伴うそう痒治療薬「ミチーガ皮下注」(ネモリズマブ)=マルホ
など。
タブネオスとオンデキサ、メプセヴィは原価計算方式で薬価算定され、いずれも有用性加算IIと市場性加算Iがついたが、ゼンフォザイムと同じように原価の開示度によって加算係数がゼロとなった。
新薬創出・適応外薬解消等促進加算が適用されるのは、ジスバル、タブネオス、セムブリックス、オンデキサ、メプセヴィ、ゼンフォザイム、タクザイロの7成分。ジスバル、ケレンディア、オンデキサの3成分は費用対効果評価の対象となった。