「エコシステム構築を国家戦略に」日米欧製薬団体が共同提案
日本製薬工業協会(製薬協)、米国研究製薬工業協会(PhRMA)、欧州製薬団体連合会(EFPIA)は5月16日、6月に政府が策定する骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)と成長戦略に向けた共同提案を発表した。3団体は「国民の健康を守り、活力ある社会経済を維持していくためには、国民が革新的な新薬・ワクチンにアクセスできる環境が必要であり、そのためには日本市場の魅力と競合優位性を確保し、イノベーションを呼び込む研究開発投資を継続・発展させていかなければならない」と指摘。▽創薬イノベーションエコシステムの構築を国家戦略に位置付けた上で推進▽官民の戦略的な対話の活性化と「医薬品産業ビジョン2021」の実現に向けたKPIの設定・評価の推進▽研究開発や規制に関する環境の整備・見直し▽透明性・予見性があり、イノベーションを促進する薬価制度と、特許期間中の新薬の薬価水準の維持――の4点を求めている。
塩野義 新規抗真菌薬olorofim、英社から欧州・アジアでの開発・販売権取得
塩野義製薬は5月16日、英F2Gと、同社が開発している新規抗真菌薬olorofimの欧州・アジア地域での開発と販売に関するライセンス契約を結んだと発表した。olorofimは既存の抗真菌薬とは異なる新規作用機序を持つ経口薬。契約によって塩野義は同薬の欧州・アジアでの開発・販売権を取得し、一時金1億ドル(約129億円)と開発・販売マイルストン最大3億8000万ドル、売り上げに応じたロイヤリティを支払う。現在、F2Gは侵襲性アスペルギルス症を対象としたグローバル臨床第3相(P3)試験の準備を進めており、両社は同試験を含む開発プログラムを共同で進める。
塩野義 コロナワクチン、12~19歳対象のP2/3試験開始
塩野義製薬は5月16日、開発中の新型コロナウイルスワクチン「S-268019」について、12~19歳の青少年を対象とした国内臨床P2/3試験を開始したと発表した。初回免疫(1回目・2回目)と追加免疫で接種した場合の安全性と免疫原性を評価し、臨床的有用性を検討する。塩野義は今後、5~11歳の小児を対象とした臨床試験も行うとしている。
アルフレッサHD、製薬子会社2社を合併
アルフレッサホールディングス(HD)は5月16日、医薬品等製造事業を行う子会社のアルフレッサファーマとサンノーバを来年4月1日付で合併すると発表した。アルフレッサファーマを存続会社とする吸収合併を行う。両社の経営資源を統合し、事業を強化するのが狙い。
アルフレッサHDが新中計、25年3月期に営業利益率1.5%以上
アルフレッサHDは5月16日、2025年3月期までの3カ年の中期経営計画を発表した。主力の医療用医薬品等卸売事業では、スペシャリティ領域へのリソース集中と、デジタルトランスフォーメーション(DX)による事業変革を掲げた。最終年度の数値目標は、売上高2兆7000億円(22年3月期は2兆5856億円)、営業利益率1.5%以上(同1.1%)。
決算
大正製薬HD(2022年3月期、5月13日発表)
売上高2682億300万円(前期比4.9%減)、営業利益107億4300万円(46.2%減)。医薬事業の売上高は385億円(30.1%減)。中外製薬との提携終了に伴い骨粗鬆症治療薬「エディロール」の販売を終えたことが響いた。23年3月期の業績予想は売上高2805億円(4.6%増)、営業利益160億円(48.9%増)で、医薬事業は369億円(4.3%減)を見込む。
わかもと製薬(2022年3月期、5月16日発表)
売上高83億8300万円、営業利益は1300万円の赤字。22年3月期から収益認識に関する会計基準を適用しており、前期との比較は開示していない。同基準適用前の前期の売上高は88億9500万円、営業利益は7億5400万円の赤字だった。医薬事業の売上高は51億4900万円(前期は56億1200万円)で、長期収載品の売り上げ減少などが響いた。23年3月期は、売上高85億円(1.4%増)、営業利益は9000万円の黒字を予想している。
アルフレッサHD(2022年3月期、5月16日発表)
売上高2兆5856億4300万円、営業利益290億9100万円。22年3月期から収益認識に関する会計基準を適用しており、前期との比較は開示していない。同基準適用前の前期の売上高は2兆6104億2700万円、営業利益279億2900万円だった。販売価格の管理を強化するとともに診断薬などの「メディカル品」の販売促進により売上総利益率の改善を図った一方、減価償却費などの経費が増加した。23年3月期は売上高2兆6180億円(前期比1.3%増)、営業利益295億円(1.4%増)を見込んでいる。