製薬業界 きょうのニュースまとめ読み（2022年5月12日）

日医工、私的整理を検討

日医工は5月12日、私的整理の一種である事業再生ADR（裁判外紛争解決手続き）による経営再建を検討していることを明らかにした。読売新聞が同日、「事業再生ADRでの経営再建を検討していることがわかった」と報じたことを受け、「事業収益構造の改善と財政状態の安定化に向けて取引金融機関との協議を行っており、事業再生ADRも含め経営再建を検討していることは事実」とのコメントを発表した。日医工は品質不正で業務停止命令を受け、業績が悪化しており、2022年3月期は186億円の最終赤字を見込んでいる。

大鵬、米カリナンオンコロジーとの共同出資会社を買収

大鵬薬品工業は5月12日、抗がん剤の開発を手掛ける米カリナンオンコロジーと共同出資で設立したカリナンパールを買収すると発表した。買収により、カリナンパールに導出した大鵬創製のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬「CLN-081/TAS6417」の米国を除くグローバルでの独占的権利を取得。米国では、大鵬とカリナンオンコロジーが共同開発・共同販売を行う。対価として大鵬は一時金2億7500万ドル（約354億円）を支払うほか、マイルストンとして最大1億3000万ドルを追加で支払う可能性がある。カリナンパールは、CLN-081/TAS6417を開発するために設立された会社。大鵬は開発の加速を狙ってスピンアウトしていた。

科研、10カ年の経営計画策定…31年度に売上高1000億円

科研製薬は5月12日、2031年度までの10カ年の長期経営計画を発表した。最終年度に売上高1000億円（21年度実績は760億円）、営業利益285億円（同170億円）を目指す。海外展開を強化することで海外売上高比率を21年度の9.1%から30%以上に引き上げるほか、10年間で8品目の新製品発売を目標としている。

決算

明治HD（2022年3月期、5月12日発表）

医薬品セグメントの売上高は1879億円（前期比2.9%減）、営業利益は186億円（2.3%減）。同社は22年3月期から「収益認識に関する会計基準」を適用しており、同基準を前期の売上高に適用した場合、22年3月期は3.2%の増収となる。新型コロナウイルスの感染拡大によって前期落ち込んだ抗菌薬の販売が回復したほか、コロナワクチン関連のアストラゼネカからの受託収入が売り上げに寄与。一方、薬価改定の影響や研究開発費の増加により、営業利益は減少した。23年3月期は同セグメントで売上高1960億円（4.3%増）、営業利益185億円（0.8%減）を計画している。

帝人（2022年3月期、5月12日発表）

ヘルスケアセグメントの売上高は1836億円（前期比23.5%増）、営業利益432億円（37.0%増）。武田薬品工業から買収した糖尿病治療薬が寄与したほか、昨年、下肢痙縮の適応拡大が承認された「ゼオマイン」が堅調に拡大した。23年3月期の同セグメントの業績予想は、売上高1550億円（15.6%減）、営業利益260億円（39.8%減）。22年3月期に388億円を売り上げた高尿酸血症・通風治療薬「フェブリク」への後発医薬品参入が響く。

あすか製薬HD（2022年3月期、5月12日発表）

売上高566億700万円（前期比2.6%増）、営業利益47億9500万円（32.9%増）。GnRHアンタゴニスト「レルミナ」や月経困難症治療薬「フリウェル」が大きく伸びたほか、甲状腺フルモン剤「チラーヂン」や抗菌薬「リフキシマ」が堅調だった。23年3月期は売上高575億円（1.6%増）、営業利益42億円（12.4%減）を見込む。

日本化薬（2022年3月期、5月12日発表）

医薬事業の売上高は520億8300万円（前期比3.3%増）、セグメント利益86億4500万円（16.2%増）。肺がん治療薬「ポートラーザ」やバイオシミラーなどが寄与し、増収増益となった。

JCRファーマ（2022年3月期、5月12日発表）

売上高510億8200万円（前期比69.8%増）、営業利益199億3300万円（141.1%増）。昨年発売のムコ多糖症II型治療薬「イズカーゴ」が30億円を売り上げたほか、アストラゼネカから新型コロナウイルスワクチン原液の製造を受託したことで大幅な増収増益となった。23年3月期の業績予想は売上高450億円（11.9%減）、営業利益145億円（27.3%減）。